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時は流れて2
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入学して間もないこの時期、同じ中学の出身者同士で集まるのは、男子も女子も同じみたい。
三島も、中学からの同級生と一緒になって喋ってた。
ずっと前、三島は事ある毎に、幽霊がいるとか言って、私を怖がらせてきた相手。って言っても、それは昔の話。
(三島、ある時から急にイジワルしなくなったんだよね。確か、ユウくんが亡くなったくらいからだったと思うんだけど)
どうしてそうなったのかは知らないけど、もちろん私にとってはそっちの方がいい。
おかげで、私も前みたいに三島を嫌いっては思ってなくて、小学生の頃からの付き合いの長さもあって、今では気兼ねなく話せる同級生って感じになっている。
そんな三島に向かって、声をかける。
「ねえ三島」
「よう、藤崎。なんだ?」
「三島、少し前からギターやってるでしょ。だったら、やっぱり軽音部に入の?」
「ああ、そのつもりだ。せっかく始めたんだし、ちゃんとやらないと勿体無いからな」
そこで三島は、傍に置いてあったケースを持ち上げる。
私がベースを入れているのとよく似てるけど、中身はギターだ。
これで私を含めて、軽音部員は少なくとも二人はいるってことになった。
すると、一緒にやって来た真由子が、私たちの間に割って入る。
「それにしても三島。確かあんたがギター始めたのって、藍がベースの練習するようになってからすぐだったよね」
「あ、ああ」
そうなの。
私がベースの弾き方を勉強し始めたすぐ後に、三島も、急にギターに興味を持ったって言い出したんだよね。
それに、初心者同士一緒にやった方が上達するって言って、私と一緒に何度か共に練習をしたこともあるの。
「たまたま藍と同じくらいにギターを始めるなんて、凄い偶然ね」
真由がニヤニヤ笑いながら言うと、なぜか三島が、とたんに慌てだす。
「べっ、別に、俺がギター始めたのと藤崎とは、何の関係もないからな。藤崎が始めたから俺もやるとか、そんなんじゃねーぞ!」
焦ったように言うのがなんだかおかしくて、思わず笑っちゃった。
「わかってるって。たまたまだよね」
それでも、自分に続くようなタイミングで始めたのは事実なのだから、偶然ってのは凄い。
おまけに、こうして同じ高校の軽音部に入るんだから、不思議な縁だ。
「たまたまでも、三島がギター始めてくれて、良かったって思ってるよ」
「そ、そうか?」
「うん。私のベースだけだと、できることも限られるしね。軽音部で一緒に弾くの、楽しみにしてる」
ベースだけで演奏するより、ギターも加わった方が、できることも増えるに決まってる。
何より、現在部員がほとんどいないっぽい軽音部。仲間が増えるのは、素直に嬉しかった。
「ま、まあ、俺だってメンバーは多い方がいいからな」
三島も私と同じように思ってるみたいで、照れたように顔を赤くさせながら、嬉しそうに頷く。
「じゃあ、私はそろそろ部室に行っておくね」
「ああ。それなら、俺も一緒に行こうか?」
私が荷物を手に取るのを見て、三島もそれに続こうとする。
だけどそこで、さっきまで三島が、友達と話をしていたのを思い出す。
「いいよ。三島、話している途中だったんでしょ。私は先に行くから、ゆっくり来なよ」
「えっ? いや、それは……」
私に気を使って話を切り上げようとしているのなら、そんなの悪いよね。
というわけで、三島の申し出を断った私は、そのまま一人で教室を出ていった。
それを見送る三島が、どこか寂しそうにしていたことには、最後まで気づかなかった。
三島も、中学からの同級生と一緒になって喋ってた。
ずっと前、三島は事ある毎に、幽霊がいるとか言って、私を怖がらせてきた相手。って言っても、それは昔の話。
(三島、ある時から急にイジワルしなくなったんだよね。確か、ユウくんが亡くなったくらいからだったと思うんだけど)
どうしてそうなったのかは知らないけど、もちろん私にとってはそっちの方がいい。
おかげで、私も前みたいに三島を嫌いっては思ってなくて、小学生の頃からの付き合いの長さもあって、今では気兼ねなく話せる同級生って感じになっている。
そんな三島に向かって、声をかける。
「ねえ三島」
「よう、藤崎。なんだ?」
「三島、少し前からギターやってるでしょ。だったら、やっぱり軽音部に入の?」
「ああ、そのつもりだ。せっかく始めたんだし、ちゃんとやらないと勿体無いからな」
そこで三島は、傍に置いてあったケースを持ち上げる。
私がベースを入れているのとよく似てるけど、中身はギターだ。
これで私を含めて、軽音部員は少なくとも二人はいるってことになった。
すると、一緒にやって来た真由子が、私たちの間に割って入る。
「それにしても三島。確かあんたがギター始めたのって、藍がベースの練習するようになってからすぐだったよね」
「あ、ああ」
そうなの。
私がベースの弾き方を勉強し始めたすぐ後に、三島も、急にギターに興味を持ったって言い出したんだよね。
それに、初心者同士一緒にやった方が上達するって言って、私と一緒に何度か共に練習をしたこともあるの。
「たまたま藍と同じくらいにギターを始めるなんて、凄い偶然ね」
真由がニヤニヤ笑いながら言うと、なぜか三島が、とたんに慌てだす。
「べっ、別に、俺がギター始めたのと藤崎とは、何の関係もないからな。藤崎が始めたから俺もやるとか、そんなんじゃねーぞ!」
焦ったように言うのがなんだかおかしくて、思わず笑っちゃった。
「わかってるって。たまたまだよね」
それでも、自分に続くようなタイミングで始めたのは事実なのだから、偶然ってのは凄い。
おまけに、こうして同じ高校の軽音部に入るんだから、不思議な縁だ。
「たまたまでも、三島がギター始めてくれて、良かったって思ってるよ」
「そ、そうか?」
「うん。私のベースだけだと、できることも限られるしね。軽音部で一緒に弾くの、楽しみにしてる」
ベースだけで演奏するより、ギターも加わった方が、できることも増えるに決まってる。
何より、現在部員がほとんどいないっぽい軽音部。仲間が増えるのは、素直に嬉しかった。
「ま、まあ、俺だってメンバーは多い方がいいからな」
三島も私と同じように思ってるみたいで、照れたように顔を赤くさせながら、嬉しそうに頷く。
「じゃあ、私はそろそろ部室に行っておくね」
「ああ。それなら、俺も一緒に行こうか?」
私が荷物を手に取るのを見て、三島もそれに続こうとする。
だけどそこで、さっきまで三島が、友達と話をしていたのを思い出す。
「いいよ。三島、話している途中だったんでしょ。私は先に行くから、ゆっくり来なよ」
「えっ? いや、それは……」
私に気を使って話を切り上げようとしているのなら、そんなの悪いよね。
というわけで、三島の申し出を断った私は、そのまま一人で教室を出ていった。
それを見送る三島が、どこか寂しそうにしていたことには、最後まで気づかなかった。
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