6 / 14
秘密の二人の関係に気づくまで
6話
しおりを挟む
その日の営業が終わり閉店作業も落ち着いたころだった。
「お疲れさまでした」
バイトを筆頭にちらほらと人が退勤していく。
「お疲れ様です」
俺は今日教えてもらった在庫の発注に四苦八苦していた。
「お先に失礼します」
「おつかれ」
店長は自分のパソコンに何かを打ち込んでおり、まだ仕事は終わらない様子だ。
その傍らではコーチが難しい顔をしてタブレットをのぞき込んでいた。
「ちょっといいかな」
「あ、はい」
店長とコーチの二人が休憩室から出て行った。
俺は興味本位にそっと二人のあとをつけてみる。
…
店長が先に倉庫にはいると後ろ手にコーチが扉を閉めた。
「うわ、やっぱりあの二人…」
だめだ。
疲れているから頭がそういう方向にしか働かない。
「とりあえず今日は帰ろう」
俺はこれ以上の詮索をやめて帰宅することにした。
…
久しぶりの休日。
接客業は土日こそ休めないが、平日はわりとフリーに休みが取れる。
それに平日のほうがどこも空いている気がする。
「今日は外出するつもりじゃなかったんだけどなぁ」
俺は実家から三駅ほど離れた場所に一人暮らししているが、実家にいる妹が拗らせた風邪が母にもうつったため諸々の買い出しを頼まれたのだ。
「えーと、風邪薬はこれで、冷えピタとスポーツドリンクと…」
ぶつぶついいながら大きめのドラックストアで商品を選んでいた。
「ん?あれ?」
棚を通り過ぎた後ろ姿に見覚えがあった。
「コーチ…?」
そそくさと棚の間を進んでいく後ろ姿を俺は何気なく追いかけてしまった。
「おまたせ」
レジで誰かを待たせていたようだ。
コーチの背中越しに見えた人は店長だった。
「…よし、俺は何も見ていない」
というか今日、店長も休みだったか。
頭の中でシフト表を思い浮かべるが、さすがに店長の休日は把握していなかったのでわからなかった。
「いやいや業務中に二人でいることもないだろ…というかドラッグストアに何の用だ?」
コーチの手元の商品を遠目にみるが何かわからなかった。
「次の方、こちらのレジへどうぞ」
二人はもう会計を済ませたらしく、足早に店を出て行った。
俺は追いかけたい気持ちにかられたが、自分の会計がまだなことを思い出し、慌ててレジに並んだのだった。
「お疲れさまでした」
バイトを筆頭にちらほらと人が退勤していく。
「お疲れ様です」
俺は今日教えてもらった在庫の発注に四苦八苦していた。
「お先に失礼します」
「おつかれ」
店長は自分のパソコンに何かを打ち込んでおり、まだ仕事は終わらない様子だ。
その傍らではコーチが難しい顔をしてタブレットをのぞき込んでいた。
「ちょっといいかな」
「あ、はい」
店長とコーチの二人が休憩室から出て行った。
俺は興味本位にそっと二人のあとをつけてみる。
…
店長が先に倉庫にはいると後ろ手にコーチが扉を閉めた。
「うわ、やっぱりあの二人…」
だめだ。
疲れているから頭がそういう方向にしか働かない。
「とりあえず今日は帰ろう」
俺はこれ以上の詮索をやめて帰宅することにした。
…
久しぶりの休日。
接客業は土日こそ休めないが、平日はわりとフリーに休みが取れる。
それに平日のほうがどこも空いている気がする。
「今日は外出するつもりじゃなかったんだけどなぁ」
俺は実家から三駅ほど離れた場所に一人暮らししているが、実家にいる妹が拗らせた風邪が母にもうつったため諸々の買い出しを頼まれたのだ。
「えーと、風邪薬はこれで、冷えピタとスポーツドリンクと…」
ぶつぶついいながら大きめのドラックストアで商品を選んでいた。
「ん?あれ?」
棚を通り過ぎた後ろ姿に見覚えがあった。
「コーチ…?」
そそくさと棚の間を進んでいく後ろ姿を俺は何気なく追いかけてしまった。
「おまたせ」
レジで誰かを待たせていたようだ。
コーチの背中越しに見えた人は店長だった。
「…よし、俺は何も見ていない」
というか今日、店長も休みだったか。
頭の中でシフト表を思い浮かべるが、さすがに店長の休日は把握していなかったのでわからなかった。
「いやいや業務中に二人でいることもないだろ…というかドラッグストアに何の用だ?」
コーチの手元の商品を遠目にみるが何かわからなかった。
「次の方、こちらのレジへどうぞ」
二人はもう会計を済ませたらしく、足早に店を出て行った。
俺は追いかけたい気持ちにかられたが、自分の会計がまだなことを思い出し、慌ててレジに並んだのだった。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
優しく抱きしめて《モブレ事件と寮生活の高校生たち》
市川パナ
BL
サッカー選手を目指す高校生のアズサ。ある夜、不審者に性的に襲われた事がきっかけで悪夢を見るようになってしまう。苦しむアズサに、寮の先輩が「ハグしたら慣らしていけるんじゃないか」と言い出して。(※1話目に恐怖系のモブレ未遂があります……!)
全3話です。
プロデューサーの勃起した乳首が気になって打ち合わせに集中できない件~試される俺らの理性~【LINE形式】
あぐたまんづめ
BL
4人の人気アイドル『JEWEL』はプロデューサーのケンちゃんに恋してる。だけどケンちゃんは童貞で鈍感なので4人のアプローチに全く気づかない。思春期の女子のように恋心を隠していた4人だったが、ある日そんな関係が崩れる事件が。それはメンバーの一人のLINEから始まった。
【登場人物】
★研磨…29歳。通称ケンちゃん。JEWELのプロデューサー兼マネージャー。自分よりJEWELを最優先に考える。仕事一筋だったので恋愛にかなり疎い。童貞。
★ハリー…20歳。JEWELの天然担当。容姿端麗で売れっ子モデル。外人で日本語を勉強中。思ったことは直球で言う。
★柘榴(ざくろ)…19歳。JEWELのまとめ役。しっかり者で大人びているが、メンバーの最年少。文武両道な大学生。ケンちゃんとは義兄弟。けっこう甘えたがりで寂しがり屋。役者としての才能を開花させていく。
★琥珀(こはく)…22歳。JEWELのチャラ男。ヤクザの息子。女たらしでホストをしていた。ダンスが一番得意。
★紫水(しすい)…25歳。JEWELのお色気担当。歩く18禁。天才子役として名をはせていたが、色々とやらかして転落人生に。その後はゲイ向けAVのネコ役として活躍していた。爽やかだが腹黒い。
初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
オレに触らないでくれ
mahiro
BL
見た目は可愛くて綺麗なのに動作が男っぽい、宮永煌成(みやなが こうせい)という男に一目惚れした。
見た目に反して声は低いし、細い手足なのかと思いきや筋肉がしっかりとついていた。
宮永の側には幼なじみだという宗方大雅(むなかた たいが)という男が常におり、第三者が近寄りがたい雰囲気が漂っていた。
高校に入学して環境が変わってもそれは変わらなくて。
『漫画みたいな恋がしたい!』という執筆中の作品の登場人物目線のお話です。所々リンクするところが出てくると思います。
僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした
なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。
「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」
高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。
そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに…
その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。
ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。
かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで…
ハッピーエンドです。
R18の場面には※をつけます。
総受けなんか、なりたくない!!
はる
BL
ある日、王道学園に入学することになった柳瀬 晴人(主人公)。
イケメン達のホモ活を見守るべく、目立たないように専念するがー…?
どきどき!ハラハラ!!王道学園のBLが
今ここに!!
【完結】遍く、歪んだ花たちに。
古都まとい
BL
職場の部下 和泉周(いずみしゅう)は、はっきり言って根暗でオタクっぽい。目にかかる長い前髪に、覇気のない視線を隠す黒縁眼鏡。仕事ぶりは可もなく不可もなく。そう、凡人の中の凡人である。
和泉の直属の上司である村谷(むらや)はある日、ひょんなことから繁華街のホストクラブへと連れて行かれてしまう。そこで出会ったNo.1ホスト天音(あまね)には、どこか和泉の面影があって――。
「先輩、僕のこと何も知っちゃいないくせに」
No.1ホスト部下×堅物上司の現代BL。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる