ダンジョン行くなら監禁するよ？

本編完結後 番外編

子育ての苦労 SIDEグレン 前編

※表現注意

マルクは仕事で家にはいない日中、グレンはほとんどの時間、赤ん坊と共にいる。

女性を含め、他人をグレンに近づけることを嫌うマルクは乳母を用意しなかった。
グレンは自分とマルクの母から教わりながら、慣れない育児にいそしんでいる。

「かわいいなぁ」

赤ん坊は先ほどまで大泣きしていたが、オムツを換えてあげると機嫌がよくなりそのまま眠ってしまった。
グレンは愛おしそうに赤ん坊の顔を覗き込む。

「俺にもマルクにも似てない気がするのはなんでだ…」

グレンの母親はいつもグレンの赤ん坊だったころに似ていると言ってくれる。
グレンにはこんなにかわいらしい赤子が自分に似ているとは思えず、よく小首をかしげている。
その様子を見てマルクが微笑んでいるのはご愛敬だ。

…

ただ出産してからの体の変化に慣れず、グレンは戸惑うことが多い。
特にグレンの中で問題なのが胸部だ。

「胸が痛い」

ぼそりと部屋の中でグレンがつぶやいた。
母乳が精製されるようになってから、一定時間経つと乳が張って痛い。

「寝てるしなぁ」

赤ん坊が飲んでくれるのが一番である。
しかしその前に温かいタオルなどで胸部を温めてからでないと出が悪い。

「はぁ」

「どうかした？」

「うわっ、お、おかえり、マルク」

いつの間かマルクが家に帰ってきていた。

「ただいま」

マルクがグレンの頬に口づける。

「ん」

「で、何かあった？」

「あー、うん…」

母乳で胸が張っていて痛いとは言えず、グレンは言いよどんでしまった。

「話してくれなきゃわかんないよ？」

マルクが優しくグレンを問い詰める。

「うっ…」

マルクが一歩、また一歩とグレンに近づいてくる。
そしてその腕の中にグレンを閉じ込めたマルクは耳元でささやいた。

「言いなさい」