ダンジョン行くなら監禁するよ？

第十四章 エルフに遭遇

2話

「グレン…ここはエルフの村なんだ」

「あぁ、それは薄々感じてる」

流石のグレンも村人たちが只者ではないこと、ましてや人外生物であることは察していた。

「一体、エルフの村に何の用だ？」

グレンは怪訝な顔をする。

「…ここはね、子供を授けてくれる祈りを捧げてくれる村なんだ。だから新婚向けのリゾートが近くにできたんだよ」

マルクが諭すような口調でグレンに話しかける。

「へぇ…って、子供！？」

「あぁ」

「子供を授けるって…俺は男だぞ！」

グレンが大声をあげる。

「うん、だから、だよ」

マルクが少し寂しげな眼差しになった。

「団長の紹介って言ってたけど…」

「団長も2人で来て祝福をしてもらったらしいんだけどね、何故か子供はできなかったみたいなんだ」

「あやつらはまた特殊だったからのぉ」

老人がしみじみと口を挟む。

「そうですね」

訳を知っているのかマルクも苦笑気味に老人に言葉を返した。

「特殊？」

事情を知らないグレンだけが首を傾げている。

「まぁ団長のことは置いておいて…」

マルクがグレンに向き直り、手を取った。
グレンの両手を包み込むように握る。

「お願い、一生のお願い。グレン、僕の子供を産んでくれないか？」

握った手に力が入る。

「どうしても僕はグレンと僕の子供が欲しい。慣れないことも多いだろうし、グレンに負担をかけてしまうことになると思う。それでもお願い…」

マルクは手を握ったまま頭を下げる。

「顔、あげろよ」

グレンがマルクの顔を上げさせる。

「イヤなんて言うと思ったか？俺がマルクの頼みを断れないの知ってるだろ？」

「グレン…ありがとう！」

2人は手を握り合ったままみつめあっていた。

「ごほんっ」

2人の甘い雰囲気を打ち壊すかのように咳払いが響いた。

「あっ」

老人の存在を思い出したグレンは途端になんだか恥ずかしくなり、マルクの手を解いた。

「気は澄んだかのぉ」

老人はとても優しい笑顔で2人に問いかけた。

「はい」

マルクは先ほどよりもとても清々しい表情をしていた。