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ショウの大学生活

誕生日 中編

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ショウが悩んでいるうちにあっという間にイツキの誕生日は来てしまった。

「…よし」

意外と甘いものが好きなイツキのために近所のパティスリーのケーキを用意して、スーパーで酒とツマミになりそうな総菜を買った。
プレゼントも安価ではあったが用意している。

「喜んで、くれっかな…」

柄にもない言葉をつぶやいてしまい、思わずショウは顔を覆った。



19時ごろ、ショウの家のチャイムが鳴った。

「お邪魔します」

仕事帰りのイツキがやってくる。

「…誕生日、おめでとう」

本当の誕生日は昨日だったが。

「ありがとう!!」

イツキは嬉しそうにショウに抱き着く。
ショウはおずおずとその背中に手をまわした。

「俺、料理できねぇからスーパーのだけど…」

テーブルの上には所狭しと総菜と缶ビールが並んでいる。

「ううん、、十分だよ、ありがとう」

イツキはスーツの上を脱いでネクタイを緩めた。
腕時計を外してカバンの中にしまうと手洗い場へむかった。
その後ろ姿に若干、欲を覚えながらイツキは缶ビールのプルタブに触れた。

「さて、乾杯でもしようか!」

「うん」

缶ビールを手にする。

「乾杯」

「乾杯」

カツンと音を立てて缶がぶつかる。
それぞれの喉元をビールが通過する音が部屋に響く。

「うはぁ、身体に沁みる…」

「腹減った」

アルコールに酔いしれるイツキを尻目にショウは総菜にがっついた。

「へぇ、こんなのまであるんだ」

イツキは居酒屋のおつまみの三種盛りのようなトレーに舌鼓を打っている。

「うん、これも旨いぞ」

すぐにビールは一缶あき、また新しい缶があけられる。
それと同時に食べ終わったプラスチックのトレーの量もどんどん増えていく。

「昨日、母さんと何食った?」

「あー、母さんの行きたがってたフレンチ」

「え、母さんの行きたいとこ行ったの?」

「うん、どこでもいいって言っちゃったからね」

「ふーん」



あらかた机の上が片付いた時だった。

「ちょっとトイレ行ってくるね」

イツキが席を立ったタイミングでショウは隠していたプレゼントを後ろ手に持ち、イツキの席にケーキを置いた。

「お待たせ…っえ?」

いそいそとトイレから戻ってきたイツキは目を見開いた。

「ケーキ買っといてくれたの?」

こくりとショウは頷く。

「ここ、前に気になってるって言ったとこ…」

ショウはちゃんと覚えていた。

「ん」

そしてショウは後ろ手に隠していたプレゼントを差し出す。

「え、プレゼントまであんの!?」

イツキは受け取るとすぐに包装紙を開いた。

「あんまし高いもの買えなかったけど…」

そこにはレザーのキーケースが入っている。

「ありがとう、嬉しいよ」

イツキは思わず涙ぐんでいた。

「早く食えよ、ケーキ」

ショウは照れ隠しにそういうと缶ビールを煽った。


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