アイシャドウの捨て時

浅上秀

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大学生編

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「アイシャドウっていつ捨てればいいのかしら」

ベットから起き上がり顔を洗って、メイクボックスの前に腰かける。
メイクをしながら使い古して底が見えてパウダーが端に寄っているアイシャドウを片手にふと考える。

淡いベージュにラメにバーガンディ、二色のブラウン、合計四色に彩られたパレットを買ったのはもう三年も前のことだと気付く。

「あら、買ったのそんなに前から持っていたのね」

化粧品にも食べ物のように消費期限があることは知っている。
けれどなんだかもったいなくて、もういいだろうと感じるまでなかなか捨てられない。

「検索すれば出てくるかしら…」

アイシャドウ 使用期限 とスマホの検索画面を起動させて入力していく。
けれど調べる前にSNSのメッセージ通知がスマホの画面上部に現れ、私の目に飛び込んできた。

「ごめん、今日も会えなくなった」

その短い文章に一気に思考が持っていかれる。



いつからだったのだろうか。
約束してはドタキャンされ、また約束しては断られる。
彼とのトーク画面には同じような内容繰り返しの連絡。

最後に声を聴いたのはいつだっただろうか。
他愛もないことで電話をしたのは、会ったのは、デートをしたのは、キスをしたのは…。

「もう捨て時ってことね」




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