戦争奇譚

2回目の出撃

　そしてしばらくして船内にサイレンが鳴り響き、僕は慌てて飛び起きた。隣の春流は、布団に入ったまま震えていた。

「春流…大丈夫か？」

「…う、うん。ひ、飛衛はまた出るの？」

「うん、それが任務だから…」

「飛衛に何かあったら、わ、私…」

　泣きそうな春流の頭をポンポンと撫でる

「僕は大丈夫だよ、春流がいるから絶対に戻ってくる！」

「飛衛…」

（飛衛少尉、直ちに出撃せよ！）

　室内に添えつけているスピーカーから艦長の声が木霊した。

「じゃ、行ってくる！」


　戦闘機・疾風ハヤブサのコックピットに乗り組み。レバーに手をかけて、曇天の空へと飛び立つ。

「もうこんなにも夢戦がっ！この間の借りを返しに来たぜ！！」

　異様な形をする夢戦。現れるものは、日に日に違ってくる。円状のものや楕円型や無数に伸びる手足のような形などたくさんの種類が存在している。こいつらは、戦闘の意思があるかないかを見極めて、攻撃をしてくる。当然、僕も戦う意思がある。こいつらは、僕の大切な人を傷つけたから。

「だからっ！絶対に墜としてやるっ！！」

　レバーについているスイッチに手を触れて、備え付けの機銃が発動する。上下に高度を取りながら、迅速に夢戦を次々と墜としていく。

（いい戦果だ。帰投してくれ）

「了解」

　レバーを手前に押して高度を下げて、母艦ボカンたる戦艦榛名へと向かった。