21 / 26
恐怖
しおりを挟む
「メグ、なんか悪かったな。大丈夫か?」
「うん、平気だよ。ブラッドって相変わらず人気者なんだね。」
「…、まあ、俺はお前に人気がなけりゃ何も意味がないと思っているけどな。」
「ちょっと!あんたまあまあだったじゃないか!あんたがあの女にああいってやらなきゃ、私がぎゃふんと言ってやろうとおもってたのにさ!ほらほら、疲れたろ?メグも少し休憩してきな。」
少し休憩することになったので、ぐっすり眠っているテオを確認してから、ブラッドとお茶を飲むことにした。
「さっきの女の人本当によかったの?あんなことを言ってしまったら、仕事とかやりづらくなるんじゃない?」
「大丈夫だ。全く問題ないから。」
「もしも私とテオに遠慮してるんなら、私たちは大丈夫だから。ブラッドがもし誰かいい人がいるのなら、無理にここに来てくれなくても…。」
…大丈夫、とまで言葉が出なかった。あんなに心がえぐられても、傷つけられてもまだブラッドのことをふっ切れていないのだから。
そう言ってからテオのおでこにキスをして、私はまたルーナさんたちの元へ戻っていった。
その日の夜遅く、テオの鳴き声で目が覚めた私は異変に気が付いた。
焦げたようなにおいが鼻をついてくるのだ。
テオを抱きかかえて、外に逃げようとした。
でも、ドアの取っ手が熱く一瞬で私の手はやけどを負ってしまった。
恐怖で身がすくむ。
煙が室内にどんどん侵入してくる。
この離れはルーナさんたちの住む母屋とはさほど離れていない。
どうかルーナさんたちが気が付いてくれることを祈る。
テオはずっと泣きっぱなしだ。
煙の量から見てかなりの火があがっているのがわかる。
実際数分のことだったのかもしれないが酷く長い時間に感じた。
「メグ―――!!テオ――――!!」
ルーナさんとサムさんの声が遠くから聞こえる。
煙で息も絶え絶えになってきたときに、窓が割れた音を聞いた。
目の前に炎が迫ってくる。
意識がもうろうとする中、腕の中のテオを抱きしめたまま床に蹲ることしかできなかった。
「うん、平気だよ。ブラッドって相変わらず人気者なんだね。」
「…、まあ、俺はお前に人気がなけりゃ何も意味がないと思っているけどな。」
「ちょっと!あんたまあまあだったじゃないか!あんたがあの女にああいってやらなきゃ、私がぎゃふんと言ってやろうとおもってたのにさ!ほらほら、疲れたろ?メグも少し休憩してきな。」
少し休憩することになったので、ぐっすり眠っているテオを確認してから、ブラッドとお茶を飲むことにした。
「さっきの女の人本当によかったの?あんなことを言ってしまったら、仕事とかやりづらくなるんじゃない?」
「大丈夫だ。全く問題ないから。」
「もしも私とテオに遠慮してるんなら、私たちは大丈夫だから。ブラッドがもし誰かいい人がいるのなら、無理にここに来てくれなくても…。」
…大丈夫、とまで言葉が出なかった。あんなに心がえぐられても、傷つけられてもまだブラッドのことをふっ切れていないのだから。
そう言ってからテオのおでこにキスをして、私はまたルーナさんたちの元へ戻っていった。
その日の夜遅く、テオの鳴き声で目が覚めた私は異変に気が付いた。
焦げたようなにおいが鼻をついてくるのだ。
テオを抱きかかえて、外に逃げようとした。
でも、ドアの取っ手が熱く一瞬で私の手はやけどを負ってしまった。
恐怖で身がすくむ。
煙が室内にどんどん侵入してくる。
この離れはルーナさんたちの住む母屋とはさほど離れていない。
どうかルーナさんたちが気が付いてくれることを祈る。
テオはずっと泣きっぱなしだ。
煙の量から見てかなりの火があがっているのがわかる。
実際数分のことだったのかもしれないが酷く長い時間に感じた。
「メグ―――!!テオ――――!!」
ルーナさんとサムさんの声が遠くから聞こえる。
煙で息も絶え絶えになってきたときに、窓が割れた音を聞いた。
目の前に炎が迫ってくる。
意識がもうろうとする中、腕の中のテオを抱きしめたまま床に蹲ることしかできなかった。
700
お気に入りに追加
4,888
あなたにおすすめの小説
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

初恋の幼馴染に再会しましたが、嫌われてしまったようなので、恋心を魔法で封印しようと思います【完結】
皇 翼
恋愛
「昔からそうだ。……お前を見ているとイライラする。俺はそんなお前が……嫌いだ」
幼馴染で私の初恋の彼――ゼルク=ディートヘルムから放たれたその言葉。元々彼から好かれているなんていう希望は捨てていたはずなのに、自分は彼の隣に居続けることが出来ないと分かっていた筈なのに、その言葉にこれ以上ない程の衝撃を受けている自分がいることに驚いた。
「な、によ……それ」
声が自然と震えるのが分かる。目頭も火が出そうなくらいに熱くて、今にも泣き出してしまいそうだ。でも絶対に泣きたくなんてない。それは私の意地もあるし、なによりもここで泣いたら、自分が今まで貫いてきたものが崩れてしまいそうで……。だから言ってしまった。
「私だって貴方なんて、――――嫌いよ。大っ嫌い」
******
以前この作品を書いていましたが、更新しない内に展開が自分で納得できなくなったため、大幅に内容を変えています。
タイトルの回収までは時間がかかります。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
私はどうしようもない凡才なので、天才の妹に婚約者の王太子を譲ることにしました
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
フレイザー公爵家の長女フローラは、自ら婚約者のウィリアム王太子に婚約解消を申し入れた。幼馴染でもあるウィリアム王太子は自分の事を嫌い、妹のエレノアの方が婚約者に相応しいと社交界で言いふらしていたからだ。寝食を忘れ、血の滲むほどの努力を重ねても、天才の妹に何一つ敵わないフローラは絶望していたのだ。一日でも早く他国に逃げ出したかったのだ。

婚約者は他の女の子と遊びたいようなので、私は私の道を生きます!
皇 翼
恋愛
「リーシャ、君も俺にかまってばかりいないで、自分の趣味でも見つけたらどうだ。正直、こうやって話しかけられるのはその――やめて欲しいんだ……周りの目もあるし、君なら分かるだろう?」
頭を急に鈍器で殴られたような感覚に陥る一言だった。
そして、チラチラと周囲や他の女子生徒を見る視線で察する。彼は他に想い人が居る、または作るつもりで、距離を取りたいのだと。邪魔になっているのだ、と。

婚約者が義妹を優先するので私も義兄を優先した結果
京佳
恋愛
私の婚約者は私よりも可愛い義妹を大事にする。いつも約束はドタキャンされパーティーのエスコートも義妹を優先する。私はブチ切れお前がその気ならコッチにも考えがある!と義兄にベッタリする事にした。「ずっとお前を愛してた!」義兄は大喜びして私を溺愛し始める。そして私は夜会で婚約者に婚約破棄を告げられたのだけど何故か彼の義妹が顔真っ赤にして怒り出す。
ちんちくりん婚約者&義妹。美形長身モデル体型の義兄。ざまぁ。溺愛ハピエン。ゆるゆる設定。

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる