愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。

梅雨の人

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私に甘い婚約者様

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マーカス様はシューゼント王国から帰ってきた後から、これでもかというほどに私を甘やかしてくるようになった。

今日も朝からエスコートをしてくれているマーカス様と食堂へ向かった。

お義父様とお義母様がまだいらっしゃらないとすぐに私を座の上に乗せてしまうマーカス様には困ってしまう。
使用人たちもいるのに本当に恥ずかしい。

そんな私をいつもぎゅっと抱きしめたまま、器用に料理を私の口に運んでくるマーカス様は悔しいが本当にさわやかで様になっている。

学園ではさすがに慎んで膝の上にとまではいかないが、それでも私の口に料理を運んでくるのは相変わらずで、よほど気に入ってしまったんだろうと呆れてしまう。

ザッカリー様もバネッサ様も最近では慣れた光景のようで特に何もこれに関して言わなくなってしまった。

婚約してすぐに、マーカス様と私は「マーク」と「ローズ」とお互いを呼び合うようになった。
そう呼び合うのはお互いだけで、特別な感じがするのでとマーカス様にお願いされてしまっては首を縦に振るしかなかった。

私がマーカス様のことを「マーク」というのはなんだか恥ずかしくていちいち赤面していると、その度にマーカス様がなぜか悶えていた。

特に学園では私から片時とも離れたくないらしいマーカス様は本当に過保護だと思う。

私達の婚約は既に社交界でも学園内でも周知されていて、未だに他の女の子たちから羨望や嫉妬のまなざしを向けられるがマーカス様が守ってくれている安心感からか特に不安には感じたことはない。

結婚するまでは節度のある付き合いをするよう両家から言い渡されているマーカス様は、結婚式が待ち遠しいよとずっと溢していた。
私も待ち遠しいですと伝えるとマーカス様は、はぁーーーっと大きな息を吐き蹲ってしばらく動けなくなっていた。

「ローズ、ダメだよこれ以上僕を煽らないで。ぼくの婚約者が可愛すぎて辛い …。」

その日、そういったマーカス様と初めてキスをした。

マーカス様の顔が目の前に現れたかと思ったら唇に触れるような優しいキスがふってきた。

ボーっとした私を「可愛い…」と言ったマーカス様は、鳥がついばむようにチュッチュッとキスを繰り返してきて、気がついたら私とマーカス様は深いキスを交わしていた。
そうして次第に足の力が抜けてしまった私をマーカス様が抱きかかえて下さり、そのままマーカス様のキスの嵐に溺れてしまった。

その後の夕食の時間では、目の前にお義父様とお義母様そしてお義兄様がいらっしゃるにもかかわらず、マーカス様は私を膝の上から降ろしてはくれなかった。

苦笑を漏らすお義父様の隣にいらっしゃったお義母様は、本当にごめんなさいねと言うわりにはマーカス様をとめようとはしてくださらず、お義兄様はそれはそれは面白そうにその場を楽しんでいた。

皆さんに生暖かい目で見守ってもらえてるんだと思うと恥ずかしくて赤面したら、またマーカス様が「はぁっ、可愛い…つらい…」とぶつぶつ呟いていた。
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