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イザック視点1
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ここ一年の僕の生活は、カトレア―ナ王女殿下のお世話を仰せつかったため多忙だった。
我が国の王子殿下からの頼みとあっては、王女殿下に学園生活を恙なく送って頂けるよう誠心誠意務めさせてもらった。
王女殿下の傍で学園生活を送るようになってから、婚約者であるローズマリーとは少し疎遠になってしまったが、こればかりはどうしようもできなかった。
全く接点がなくなるというのも婚約者としてはどうかと思い、我が家の馬車で彼女の屋敷へ迎えに行き学園にとも向かうことにした。
しかし、しばらくしてローズマリーが朝の迎えを辞退したいと言ってきた。
確かに、王女殿下の到着に間に合うように学園に向かわなければならないので通常よりも早く出発しなければらず、朝の準備にもう少し時間をかけたいという彼女の気持ちにも頷けるが。
しかし、婚約者の僕が任務で頑張っているのだから、それくらい我慢してくれないかと思わないでもなかった。
とにかく、別々に学園に向かうようになってから、ローズマリーとの接点がほぼなくなってしまった。
学園での王女殿下のお世話を仰せつかったものの、あまりに可憐で儚い王女殿下を見ていると放ってはおけなかった。
気が付くと、僕は王女殿下が帰宅するまで傍にいる毎日を過ごしていた。
休日になっても、王女殿下が我が国のことを色々知りたいし、僕といると有意義な時間が過ごせるという事をおっしゃった。
だから僕は王女殿下とできるだけ時間を合わせて共に過ごすようになっていた。
それは、僕にとっても新鮮な時間で、王女殿下と過ごす時間は今までにないくらい気分が高揚しとても有意義なものになっていた。
だから、婚約者であるローズマリーとの約束があっても、王女殿下からお誘いがあればそちらを優先してしまった。
それがいつからか、優先するというよりは無意識のうちに、ローズマリーとの約束のことなど忘れて王女殿下の元に馳せ参じていくようになっていた。
周りの人々は僕のことを責任感が強い男と評しているがそれはあながち間違えないだろうと思う。
そうなったきっかけは、婚約者のローズマリーの一言からだった。
10歳の頃に、僕たちの意思など関係なく婚約したのだが、思春期に入った僕たちは表立って無邪気にそれを喜ぶことはできなかった。
でも、僕はローズマリーのことを少し前から何度か見かけたことがあって、僕の婚約者になってくれたことが内心とても嬉しかった。
そう、ローズマリーと婚約できたことがとても嬉しかったんだ。
だから、10歳のローズマリーが責任感の強い人が好きだと言ったのを聞いて僕もそうなろうと決心して今までやってきた。
今回も王女殿下のお世話係を誠心誠意やらせていただく覚悟でいた。
毎日のように王女殿下の傍にいると王女殿下の些細な変化にも気が付けるようになってきた。
そしてある日、王女殿下が何かに耐えているようないつもと違う雰囲気を纏っているのに気が付いたんだ。
だからその日、僕は王女殿下を王族専用の休憩室へお連れした。
休憩室のソファーに座ってから、王女殿下の美しい瞳から堰を切ったように涙が溢れた。
びっくりした僕はハンカチを王女殿下に差し出したが、その涙が収まる気配がなかった。
儚ない王女殿下が何の理由からかは分からなかったが、このように打ちのめされているのを見て、鼓動が早まるのを抑えることが出来なかった。
王女殿下をどうにか落ち着かせようと近づくと、王女殿下がそのまま僕にしなだれかかってきた。
王女殿下が地面にしりもちをついた僕の膝の上で涙を流していた。
僕はその匂いと、魅惑的な泣き声、触れれば折れるような体と信じられないくらい柔らかな女性の体を感じ頭がくらくらしてしまった。
我が国の王子殿下からの頼みとあっては、王女殿下に学園生活を恙なく送って頂けるよう誠心誠意務めさせてもらった。
王女殿下の傍で学園生活を送るようになってから、婚約者であるローズマリーとは少し疎遠になってしまったが、こればかりはどうしようもできなかった。
全く接点がなくなるというのも婚約者としてはどうかと思い、我が家の馬車で彼女の屋敷へ迎えに行き学園にとも向かうことにした。
しかし、しばらくしてローズマリーが朝の迎えを辞退したいと言ってきた。
確かに、王女殿下の到着に間に合うように学園に向かわなければならないので通常よりも早く出発しなければらず、朝の準備にもう少し時間をかけたいという彼女の気持ちにも頷けるが。
しかし、婚約者の僕が任務で頑張っているのだから、それくらい我慢してくれないかと思わないでもなかった。
とにかく、別々に学園に向かうようになってから、ローズマリーとの接点がほぼなくなってしまった。
学園での王女殿下のお世話を仰せつかったものの、あまりに可憐で儚い王女殿下を見ていると放ってはおけなかった。
気が付くと、僕は王女殿下が帰宅するまで傍にいる毎日を過ごしていた。
休日になっても、王女殿下が我が国のことを色々知りたいし、僕といると有意義な時間が過ごせるという事をおっしゃった。
だから僕は王女殿下とできるだけ時間を合わせて共に過ごすようになっていた。
それは、僕にとっても新鮮な時間で、王女殿下と過ごす時間は今までにないくらい気分が高揚しとても有意義なものになっていた。
だから、婚約者であるローズマリーとの約束があっても、王女殿下からお誘いがあればそちらを優先してしまった。
それがいつからか、優先するというよりは無意識のうちに、ローズマリーとの約束のことなど忘れて王女殿下の元に馳せ参じていくようになっていた。
周りの人々は僕のことを責任感が強い男と評しているがそれはあながち間違えないだろうと思う。
そうなったきっかけは、婚約者のローズマリーの一言からだった。
10歳の頃に、僕たちの意思など関係なく婚約したのだが、思春期に入った僕たちは表立って無邪気にそれを喜ぶことはできなかった。
でも、僕はローズマリーのことを少し前から何度か見かけたことがあって、僕の婚約者になってくれたことが内心とても嬉しかった。
そう、ローズマリーと婚約できたことがとても嬉しかったんだ。
だから、10歳のローズマリーが責任感の強い人が好きだと言ったのを聞いて僕もそうなろうと決心して今までやってきた。
今回も王女殿下のお世話係を誠心誠意やらせていただく覚悟でいた。
毎日のように王女殿下の傍にいると王女殿下の些細な変化にも気が付けるようになってきた。
そしてある日、王女殿下が何かに耐えているようないつもと違う雰囲気を纏っているのに気が付いたんだ。
だからその日、僕は王女殿下を王族専用の休憩室へお連れした。
休憩室のソファーに座ってから、王女殿下の美しい瞳から堰を切ったように涙が溢れた。
びっくりした僕はハンカチを王女殿下に差し出したが、その涙が収まる気配がなかった。
儚ない王女殿下が何の理由からかは分からなかったが、このように打ちのめされているのを見て、鼓動が早まるのを抑えることが出来なかった。
王女殿下をどうにか落ち着かせようと近づくと、王女殿下がそのまま僕にしなだれかかってきた。
王女殿下が地面にしりもちをついた僕の膝の上で涙を流していた。
僕はその匂いと、魅惑的な泣き声、触れれば折れるような体と信じられないくらい柔らかな女性の体を感じ頭がくらくらしてしまった。
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