14 / 28
セガール1
しおりを挟む
「ラシータ、今日は気晴らしに外に出かけよう。君の行きたいところに行こう。」
「え?ええ。ありがとう、セガール。でも、今は特に行きたいところも欲しい者もないの。だから気持ちだけで十分よ。あなただって忙しくしているのは知っているんだから、無理はしないで?」
「そんな悲しいこといわないでくれ、ラシータ。私が君と一緒に時間を過ごしたいんだ。頼むから一緒にどこかに出かけよう?」
「それは…分かったわ。じゃあ、あなたの行きたいところに。」
「ああ、ありがとう、ラシータ。」
ここ最近、様子のおかしかった妻があの夜会で寝込んで以降、ますます顔色が悪くなっていった。
そして私を見るその瞳からは、以前のような私を心から愛する熱が奥に押し込められ、その代わりに困惑と悲しみが見て取れた。
そんな彼女を目の前にすると苛めたくなるから困ったものだ。
いつも幸せそうに微笑むラシータが隣にいたが、今では一生懸命に私から一線を引こうとしているのに、それでも私から離れられない彼女が隣にいるのは新鮮で、愛おしさがこみ上げた。
一緒に街に出かけて、彼女の好みはすべて把握しているので思いつくままに買い与えた後は、愛を謳う観劇を共に鑑賞し、夜は素晴らしい料理に舌鼓を打った。
その間ずっとおびえる子猫のように私と共にいる彼女を横目で見つめ、独占しているという現状に歓喜した。
そして最高級宿の一室で夜を共に過ごした。
新たな一面を見せてくれるラシータに、私の理性は限界で、部屋に入るなり本能のまま朝まで愛を注ぎ続けた。
私がラシータを独占したいがためラシータの飲み物に避妊薬を混ぜていることなど知らない彼女を。
なぜラシータが特別なのか、なぜそれほどまでに執着し欲情してしまうのかなんて私にはわからない。
ただラシータを常に異常なまでに渇望し、彼女を閉じ込めて私がいなければ生きていけないほど依存させろと本能が訴えかけてくるのだ。
ただ私は、自分の本能に従っているまでだ。
そして、夜会で着飾ったラシータを目にするたび胸が締め付けられるほど独占欲に襲われる私の中では理性と本能が熾烈な争いを繰り広げてしまう。。
香水を好まないラシータからは、彼女自身の匂いがふんわりと漂い、それだけでたまらないのに、柔らかなその腰に触れているだけで、私のせいで乱れている彼女の痴態に脳が焼き尽くされそうになる。
ラシータと一緒にいたいのに大勢の前で彼女とそれ以上一緒にいるのは危険だと本能が訴えてくるのだ。
欲を今すぐに開放してからラシータのもとに戻って来いーーーと。
「え?ええ。ありがとう、セガール。でも、今は特に行きたいところも欲しい者もないの。だから気持ちだけで十分よ。あなただって忙しくしているのは知っているんだから、無理はしないで?」
「そんな悲しいこといわないでくれ、ラシータ。私が君と一緒に時間を過ごしたいんだ。頼むから一緒にどこかに出かけよう?」
「それは…分かったわ。じゃあ、あなたの行きたいところに。」
「ああ、ありがとう、ラシータ。」
ここ最近、様子のおかしかった妻があの夜会で寝込んで以降、ますます顔色が悪くなっていった。
そして私を見るその瞳からは、以前のような私を心から愛する熱が奥に押し込められ、その代わりに困惑と悲しみが見て取れた。
そんな彼女を目の前にすると苛めたくなるから困ったものだ。
いつも幸せそうに微笑むラシータが隣にいたが、今では一生懸命に私から一線を引こうとしているのに、それでも私から離れられない彼女が隣にいるのは新鮮で、愛おしさがこみ上げた。
一緒に街に出かけて、彼女の好みはすべて把握しているので思いつくままに買い与えた後は、愛を謳う観劇を共に鑑賞し、夜は素晴らしい料理に舌鼓を打った。
その間ずっとおびえる子猫のように私と共にいる彼女を横目で見つめ、独占しているという現状に歓喜した。
そして最高級宿の一室で夜を共に過ごした。
新たな一面を見せてくれるラシータに、私の理性は限界で、部屋に入るなり本能のまま朝まで愛を注ぎ続けた。
私がラシータを独占したいがためラシータの飲み物に避妊薬を混ぜていることなど知らない彼女を。
なぜラシータが特別なのか、なぜそれほどまでに執着し欲情してしまうのかなんて私にはわからない。
ただラシータを常に異常なまでに渇望し、彼女を閉じ込めて私がいなければ生きていけないほど依存させろと本能が訴えかけてくるのだ。
ただ私は、自分の本能に従っているまでだ。
そして、夜会で着飾ったラシータを目にするたび胸が締め付けられるほど独占欲に襲われる私の中では理性と本能が熾烈な争いを繰り広げてしまう。。
香水を好まないラシータからは、彼女自身の匂いがふんわりと漂い、それだけでたまらないのに、柔らかなその腰に触れているだけで、私のせいで乱れている彼女の痴態に脳が焼き尽くされそうになる。
ラシータと一緒にいたいのに大勢の前で彼女とそれ以上一緒にいるのは危険だと本能が訴えてくるのだ。
欲を今すぐに開放してからラシータのもとに戻って来いーーーと。
244
お気に入りに追加
789
あなたにおすすめの小説
【完結】大好きな幼馴染には愛している人がいるようです。だからわたしは頑張って仕事に生きようと思います。
たろ
恋愛
幼馴染のロード。
学校を卒業してロードは村から街へ。
街の警備隊の騎士になり、気がつけば人気者に。
ダリアは大好きなロードの近くにいたくて街に出て子爵家のメイドとして働き出した。
なかなか会うことはなくても同じ街にいるだけでも幸せだと思っていた。いつかは終わらせないといけない片思い。
ロードが恋人を作るまで、夢を見ていようと思っていたのに……何故か自分がロードの恋人になってしまった。
それも女避けのための(仮)の恋人に。
そしてとうとうロードには愛する女性が現れた。
ダリアは、静かに身を引く決意をして………
★ 短編から長編に変更させていただきます。
すみません。いつものように話が長くなってしまいました。
夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
【完結しました】
王立騎士団団長を務めるランスロットと事務官であるシャーリーの結婚式。
しかしその結婚式で、ランスロットに恨みを持つ賊が襲い掛かり、彼を庇ったシャーリーは階段から落ちて気を失ってしまった。
「君は俺と結婚したんだ」
「『愛している』と、言ってくれないだろうか……」
目を覚ましたシャーリーには、目の前の男と結婚した記憶が無かった。
どうやら、今から二年前までの記憶を失ってしまったらしい――。
【完結】母になります。
たろ
恋愛
母親になった記憶はないのにわたしいつの間にか結婚して子供がいました。
この子、わたしの子供なの?
旦那様によく似ているし、もしかしたら、旦那様の隠し子なんじゃないのかしら?
ふふっ、でも、可愛いわよね?
わたしとお友達にならない?
事故で21歳から5年間の記憶を失くしたわたしは結婚したことも覚えていない。
ぶっきらぼうでムスッとした旦那様に愛情なんて湧かないわ!
だけど何故かこの3歳の男の子はとても可愛いの。
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。
どなたか私の旦那様、貰って下さいませんか?
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
私の旦那様は毎夜、私の部屋の前で見知らぬ女性と情事に勤しんでいる、だらしなく恥ずかしい人です。わざとしているのは分かってます。私への嫌がらせです……。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
政略結婚で、離縁出来ないけど離縁したい。
無類の女好きの従兄の侯爵令息フェルナンドと伯爵令嬢のロゼッタは、結婚をした。毎晩の様に違う女性を屋敷に連れ込む彼。政略結婚故、愛妾を作るなとは思わないが、せめて本邸に連れ込むのはやめて欲しい……気分が悪い。
彼は所謂美青年で、若くして騎士団副長であり兎に角モテる。結婚してもそれは変わらず……。
ロゼッタが夜会に出れば見知らぬ女から「今直ぐフェルナンド様と別れて‼︎」とワインをかけられ、ただ立っているだけなのに女性達からは終始凄い形相で睨まれる。
居た堪れなくなり、広間の外へ逃げれば元凶の彼が見知らぬ女とお楽しみ中……。
こんな旦那様、いりません!
誰か、私の旦那様を貰って下さい……。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
【完結】内緒で死ぬことにした〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を、なぜわたしは生まれ変わったの?〜
たろ
恋愛
この話は
『内緒で死ぬことにした 〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を〜』
の続編です。
アイシャが亡くなった後、リサはルビラ王国の公爵の息子であるハイド・レオンバルドと結婚した。
そして、アイシャを産んだ。
父であるカイザも、リサとハイドも、アイシャが前世のそのままの姿で転生して、自分たちの娘として生まれてきたことを知っていた。
ただアイシャには昔の記憶がない。
だからそのことは触れず、新しいアイシャとして慈しみ愛情を与えて育ててきた。
アイシャが家族に似ていない、自分は一体誰の子供なのだろうと悩んでいることも知らない。
親戚にあたる王子や妹に、意地悪を言われていることも両親は気が付いていない。
アイシャの心は、少しずつ壊れていくことに……
明るく振る舞っているとは知らずに可愛いアイシャを心から愛している両親と祖父。
アイシャを助け出して心を救ってくれるのは誰?
◆ ◆ ◆
今回もまた辛く悲しい話しが出てきます。
無理!またなんで!
と思われるかもしれませんが、アイシャは必ず幸せになります。
もし読んでもいいなと思う方のみ、読んで頂けたら嬉しいです。
多分かなりイライラします。
すみません、よろしくお願いします
★内緒で死ぬことにした の最終話
キリアン君15歳から14歳
アイシャ11歳から10歳
に変更しました。
申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる