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「やっ…やめてぇ!!!」
「ラシータ様!ラシータ様!」
悪夢にうなされていたの手を何かあたたかなものが包み込んで、必死に私の名前を呼び掛けていた。
「助けて…」
藁にもすがる思いでそのぬくもりを求めて足を動かそうとしたとき、やっと目が覚めた。
涙が頬から零れ落ちる私の目の前にはロナルドがいた。
「ラシータ様」
「ロナルド…」
パット手を離したロナルドは、一礼すると部屋の片隅の定位置に戻っていった。
その後、再び寝込んだ私を心配したネルが部屋の外に執事を呼び出して医師を呼び出して戻ってきたとき、私の顔色が真っ青で寝台に座り込んでいたので慌てて駆けつけてきた。
騒ぎを聞きつけ再びセガールも駆けつけてきた。
「ラシータ、すごく顔色が悪い。ああ、君を一人にするのは心配だ。
医師が来るまでに君を私たちの夫婦の寝室に連れて行ってもいいか?気分がまた悪くなってもラシータの隣にはいつでも私がいることができる。さすがにこの寝台で二人で寝るには狭すぎるからな。」
そう言って有無を言わさずセガールは私を抱き上げて夫婦の寝室へ続く扉へ向きを変えた。
震えが…震えが止まらない…。胃の中からこみ上げるものを感じながら口元を抑えるのが精いっぱいだった。
「セガール、お願い。私を下ろして…。あなたの服を汚してしまうわ…。」
「服くらい気にするな。」
そう言って尚も夫婦の寝室に私を運ぼうとするセガールだったが急に足を止めた。
「失礼いたします。僭越ながら旦那様のお召し物は奥様がお選びになられたお気に入りのお召し物とお見受けいたします…。
せっかくそのような特別なお召し物が汚れては奥様も悲しまれることと存じますので是非私に奥様をお部屋まで運ばせてはいただけませんでしょうか。 」
「お願い、セガール…。」
頭を下げるロナルドと顔面蒼白で懇願する私に何も言えなくなったロナルドは、渋々ながらも私をロナルドに手渡してくれた。
「ラシータ様!ラシータ様!」
悪夢にうなされていたの手を何かあたたかなものが包み込んで、必死に私の名前を呼び掛けていた。
「助けて…」
藁にもすがる思いでそのぬくもりを求めて足を動かそうとしたとき、やっと目が覚めた。
涙が頬から零れ落ちる私の目の前にはロナルドがいた。
「ラシータ様」
「ロナルド…」
パット手を離したロナルドは、一礼すると部屋の片隅の定位置に戻っていった。
その後、再び寝込んだ私を心配したネルが部屋の外に執事を呼び出して医師を呼び出して戻ってきたとき、私の顔色が真っ青で寝台に座り込んでいたので慌てて駆けつけてきた。
騒ぎを聞きつけ再びセガールも駆けつけてきた。
「ラシータ、すごく顔色が悪い。ああ、君を一人にするのは心配だ。
医師が来るまでに君を私たちの夫婦の寝室に連れて行ってもいいか?気分がまた悪くなってもラシータの隣にはいつでも私がいることができる。さすがにこの寝台で二人で寝るには狭すぎるからな。」
そう言って有無を言わさずセガールは私を抱き上げて夫婦の寝室へ続く扉へ向きを変えた。
震えが…震えが止まらない…。胃の中からこみ上げるものを感じながら口元を抑えるのが精いっぱいだった。
「セガール、お願い。私を下ろして…。あなたの服を汚してしまうわ…。」
「服くらい気にするな。」
そう言って尚も夫婦の寝室に私を運ぼうとするセガールだったが急に足を止めた。
「失礼いたします。僭越ながら旦那様のお召し物は奥様がお選びになられたお気に入りのお召し物とお見受けいたします…。
せっかくそのような特別なお召し物が汚れては奥様も悲しまれることと存じますので是非私に奥様をお部屋まで運ばせてはいただけませんでしょうか。 」
「お願い、セガール…。」
頭を下げるロナルドと顔面蒼白で懇願する私に何も言えなくなったロナルドは、渋々ながらも私をロナルドに手渡してくれた。
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