123 / 147
117
しおりを挟む
「そうか…分かったよ、小雪さん。ああ、そうだ。美知恵と息子を待たせていたんだった。息子も成長してね、今日は乳母に任せて美知恵を屋敷で休ませてるんだよ。甘いものが好きみたいだから何個かついでに持って帰ってやろうと思ってね。」
「美知恵さんはお元気でいらっしゃいますか?」
「ああ、おかげさまで元気にしているよ。小雪さんがとても幸せそうにしていたと伝えても良いだろうか。」
「ええ、私からもよろしくお伝えくださいませ。」
「良かった、ありがとう。ああ、必ず伝えておくよ。会えてよかった。一宮殿、小雪さん、お先に失礼します。」
ルナ洋菓子店の箱をお土産に抱えて店を出て行った太賀様を見送った直後に、東吾様の注文してくださったケーキと飲み物が私たちの席に運ばれてきました。
「美味しそう…」
「食おう、小雪。」
「ええ、亮真様。ああ、どれからにいたしましょう。やっぱりこの洋ナシケーキから…いえ、最後に取っておきたい気も致しますし…どういたしましょうか…」
「くくくっ、好きに食べたらいい、足りなければ追加で注文すればいいだけだ。」
「でもそんなにたくさんはお腹に入らないでしょう?」
「心配いらない。俺は大食漢だと以前教えたのを覚えているか?大食いでうちの母は乾いた笑いばかり出していたんだぜ?」
「そこまでですか…では、大船に乗ったつもりで頂きますね、東吾様。」
「ああ、食べよう食べよう!」
ルナ洋菓子店と聞いて、以前でしたら亮真様と琴葉様のことを思い出しては悲しい思いをしていたのでしょうが、東吾様はそんな思いを一気に吹き飛ばしてくださいました。
辛い思い出も、新たに幸せで楽しい思い出に変えて下さる東吾様は私にどのような魔法をかけて下さったのでしょう。
まるでその全てで私を包み込んで幸せを分け与えてくださっているような気分にさせてくださいます。
太賀お義兄様にお会いしてもようやく大河内家の皆様のことを思い出したくらいで、願うのは皆さまがご健勝で幸せに過ごせていますようにということだけでございました。
東吾様と一緒になってから大河内家の皆様を思い出す暇もないくらい幸せにして頂けていたのだと改めて実感したのでした。
「美知恵さんはお元気でいらっしゃいますか?」
「ああ、おかげさまで元気にしているよ。小雪さんがとても幸せそうにしていたと伝えても良いだろうか。」
「ええ、私からもよろしくお伝えくださいませ。」
「良かった、ありがとう。ああ、必ず伝えておくよ。会えてよかった。一宮殿、小雪さん、お先に失礼します。」
ルナ洋菓子店の箱をお土産に抱えて店を出て行った太賀様を見送った直後に、東吾様の注文してくださったケーキと飲み物が私たちの席に運ばれてきました。
「美味しそう…」
「食おう、小雪。」
「ええ、亮真様。ああ、どれからにいたしましょう。やっぱりこの洋ナシケーキから…いえ、最後に取っておきたい気も致しますし…どういたしましょうか…」
「くくくっ、好きに食べたらいい、足りなければ追加で注文すればいいだけだ。」
「でもそんなにたくさんはお腹に入らないでしょう?」
「心配いらない。俺は大食漢だと以前教えたのを覚えているか?大食いでうちの母は乾いた笑いばかり出していたんだぜ?」
「そこまでですか…では、大船に乗ったつもりで頂きますね、東吾様。」
「ああ、食べよう食べよう!」
ルナ洋菓子店と聞いて、以前でしたら亮真様と琴葉様のことを思い出しては悲しい思いをしていたのでしょうが、東吾様はそんな思いを一気に吹き飛ばしてくださいました。
辛い思い出も、新たに幸せで楽しい思い出に変えて下さる東吾様は私にどのような魔法をかけて下さったのでしょう。
まるでその全てで私を包み込んで幸せを分け与えてくださっているような気分にさせてくださいます。
太賀お義兄様にお会いしてもようやく大河内家の皆様のことを思い出したくらいで、願うのは皆さまがご健勝で幸せに過ごせていますようにということだけでございました。
東吾様と一緒になってから大河内家の皆様を思い出す暇もないくらい幸せにして頂けていたのだと改めて実感したのでした。
1,081
お気に入りに追加
4,104
あなたにおすすめの小説
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
本編完結 彼を追うのをやめたら、何故か幸せです。
音爽(ネソウ)
恋愛
少女プリシラには大好きな人がいる、でも適当にあしらわれ相手にして貰えない。
幼過ぎた彼女は上位騎士を目指す彼に恋慕するが、彼は口もまともに利いてくれなかった。
やがて成長したプリシラは初恋と決別することにした。
すっかり諦めた彼女は見合いをすることに……
だが、美しい乙女になった彼女に魅入られた騎士クラレンスは今更に彼女に恋をした。
二人の心は交わることがあるのか。
モラハラ王子の真実を知った時
こことっと
恋愛
私……レーネが事故で両親を亡くしたのは8歳の頃。
父母と仲良しだった国王夫婦は、私を娘として迎えると約束し、そして息子マルクル王太子殿下の妻としてくださいました。
王宮に出入りする多くの方々が愛情を与えて下さいます。
王宮に出入りする多くの幸せを与えて下さいます。
いえ……幸せでした。
王太子マルクル様はこうおっしゃったのです。
「実は、何時までも幼稚で愚かな子供のままの貴方は正室に相応しくないと、側室にするべきではないかと言う話があがっているのです。 理解……できますよね?」
私が妻です!
ミカン♬
恋愛
幼い頃のトラウマで男性が怖いエルシーは夫のヴァルと結婚して2年、まだ本当の夫婦には成っていない。
王都で一人暮らす夫から連絡が途絶えて2か月、エルシーは弟のような護衛レノを連れて夫の家に向かうと、愛人と赤子と暮らしていた。失意のエルシーを狙う従兄妹のオリバーに王都でも襲われる。その時に助けてくれた侯爵夫人にお世話になってエルシーは生まれ変わろうと決心する。
侯爵家に離婚届けにサインを求めて夫がやってきた。
そこに王宮騎士団の副団長エイダンが追いかけてきて、夫の様子がおかしくなるのだった。
世界観など全てフワっと設定です。サクっと終わります。
5/23 完結に状況の説明を書き足しました。申し訳ありません。
★★★なろう様では最後に閑話をいれています。
脱字報告、応援して下さった皆様本当に有難うございました。
他のサイトにも投稿しています。
わたしは不要だと、仰いましたね
ごろごろみかん。
恋愛
十七年、全てを擲って国民のため、国のために尽くしてきた。何ができるか、何が出来ないか。出来ないものを実現させるためにはどうすればいいのか。
試行錯誤しながらも政治に生きた彼女に突きつけられたのは「王太子妃に相応しくない」という婚約破棄の宣言だった。わたしに足りないものは何だったのだろう?
国のために全てを差し出した彼女に残されたものは何も無い。それなら、生きている意味も──
生きるよすがを失った彼女に声をかけたのは、悪名高い公爵子息。
「きみ、このままでいいの?このまま捨てられて終わりなんて、悔しくない?」
もちろん悔しい。
だけどそれ以上に、裏切られたショックの方が大きい。愛がなくても、信頼はあると思っていた。
「きみに足りないものを教えてあげようか」
男は笑った。
☆
国を変えたい、という気持ちは変わらない。
王太子妃の椅子が使えないのであれば、実力行使するしか──ありませんよね。
*以前掲載していたもののリメイク
【完結】私の婚約者はもう死んだので
miniko
恋愛
「私の事は死んだものと思ってくれ」
結婚式が約一ヵ月後に迫った、ある日の事。
そう書き置きを残して、幼い頃からの婚約者は私の前から姿を消した。
彼の弟の婚約者を連れて・・・・・・。
これは、身勝手な駆け落ちに振り回されて婚姻を結ばざるを得なかった男女が、すれ違いながらも心を繋いでいく物語。
※感想欄はネタバレ有り/無しの振り分けをしていません。本編より先に読む場合はご注意下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる