見捨てられたのは私

梅雨の人

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東吾様と夫婦になってからというもの東吾様は私を四六時中甘やかしてくださいます。 

お返しにというわけではございませんが、東吾様に喜んでいただきたくて私も東吾様が喜んでくれそうなことをせっせと考えては地道にお返しをさせて頂いております。 

私にだけに見せて下さる安心して緩んだお顔の東吾様のおそばにいるのはとても心地が良いのでございます。 

東吾様のおそばにいるだけで幸せで楽しくて安心できて、もうずっと前からここが私の居場所だった気が致しております。 

 ◇◇◇◇

「小雪、やっとまとまった休暇が取れることになったんだ。新婚旅行に行こう。」 

「新婚旅行…でございますか?」 

「ああ、新婚旅行だ。…小雪、今いやらしいこと考えただろう?顔が真っ赤だ。。…かわいいなあ…」 

「いやらしいことだなんて、そんな…その、新婚旅行なんて初めてで…お誘いいただけてとても…とてもうれしいです…」 

「初めて…?…まさか…そうか。君には悪いが俺は本当にうれしいんだがっ!?」 

「きゃあっ!東吾様っ?!」 

急に膝裏に手を添えられて抱きかかえられたまま東吾様にくるくる回されてしまいました。 

ものすごくうれしそうに破顔した東吾様がとてもかわいらしく見えてしまって、私も思わず声をあげて笑ってしまいました。 

 ◇◇◇◇
 

「小雪、旅行の手配が終わったぞ。」 

「東吾様、とても楽しみでございますね!」

「…小雪。もう本当になんでそんなにかわいいんだ?!」 

「東吾様、とても楽しみでございますね!」

「かわいいと何度連呼するつもりだ東吾。そう何度も連呼しまくってると安っぽく聞こえて来るぞ。なあ、小雪。…ああ、俺の妹は本当にかわいいなあ。こんなバカにかわいいと連呼されても頬を染めるなんて。おいで、小雪。」 

「駄目だ、小雪。こっちにきてよ、っと、捕まえた。」 

「と、東吾様…お兄様がいらっしゃいますのに……」 

お兄様の前ですのに、大人気のない東吾様に驚かされてしまいます。

東吾様に抱きかかえられるようにしてオロオロしておりますと、目の前であきれた顔のお兄様が苦笑いたしておりました。
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