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「兄さん!」
「ああ、やっと来たか亮真。」
「義姉さんがどんな想いでいると思ってるんだ!」
「まあ、座れ、亮真。」
急いでこられたのか亮真様の息が上がっておられます。
「それで?琴葉がここの離れに住むことになったと聞いたがどういうことだ?」
「その理由は兄さんが十分わかっているのではないか?」
「まあ、そう言われると耳が痛くなるがしかしお前の屋敷に世話になるというのは頂けない駄目だ。今回の件は私たち夫婦の問題だ。文句があっても離縁を拒む限り琴葉の住むべき場所はうちの屋敷だ。」
「義姉さんになぜそんな辛い思いをさせる必要がある?」
「私は琴葉に十分な程この状況を回避する機会を与えてきたつもりだ。それにいつまでも気が付かないままの琴葉は大河内家の嫁として荷が重すぎると私が判断した。」
「この状況を回避する機会?」
「ああ、この状況を回避する機会、だ。よく考えてみろ。とにかく私が言いたいのはそれだけだ。琴葉を連れて帰る。拒むなら強制的に離縁の手続きをすると伝えるんだ。荷物は後で回収する。すぐに連れてきてくれ。」
「わかった…」
◇◇◇◇
「太賀!迎えに来てくれたのね?!」
「ああ、屋敷に戻るぞ。」
「それじゃあ、美知恵さんは…?」
「もちろん琴葉が戻ってくるのを待ってくれている。」
「どうして?!どうしてまだあの女が私たちの屋敷に居座っているのよ?!」
「美知恵も琴葉と同様私の妻だ。彼女があそこにいて何の問題がある?」
「ひどいわ太賀!私という妻がいながらどうして?!」
「妻だという割には屋敷のこともすべて他人に丸投げで今まで楽が出来ていただろう?これからは、いや違うな。すでに琴葉の代わりは美知恵がこなしてくれているから何の問題もないだろう。問題があるというなら琴葉がすればいいだけだしな。琴葉にとってもこれまり通り何の問題もなく暮らせるんだからいいじゃないか。とにかく帰ろう。これ以上弟夫婦に迷惑もかけられない。行くぞ。小雪さん世話になったね。では。」
この部屋に入ってきてから一度も私と目線を合わせてくれなかったお義姉様が去り際に私に鋭い視線を送ってこられました。 何かお義姉様に気に入らないようなことをしてしまったのかと心配になってしまいました。自然と足がすくみます。
「小雪」
私の前にすっと亮真様が立ってくださいました。これで琴葉お義姉様が見えることはありません。
嵐のようにやってきて去っていったお義姉様が今後平穏に暮らしていけるとよいのですが。
ちらりと亮真様の顔色を窺うと、深く考え込んでおられるようでした。
「ああ、やっと来たか亮真。」
「義姉さんがどんな想いでいると思ってるんだ!」
「まあ、座れ、亮真。」
急いでこられたのか亮真様の息が上がっておられます。
「それで?琴葉がここの離れに住むことになったと聞いたがどういうことだ?」
「その理由は兄さんが十分わかっているのではないか?」
「まあ、そう言われると耳が痛くなるがしかしお前の屋敷に世話になるというのは頂けない駄目だ。今回の件は私たち夫婦の問題だ。文句があっても離縁を拒む限り琴葉の住むべき場所はうちの屋敷だ。」
「義姉さんになぜそんな辛い思いをさせる必要がある?」
「私は琴葉に十分な程この状況を回避する機会を与えてきたつもりだ。それにいつまでも気が付かないままの琴葉は大河内家の嫁として荷が重すぎると私が判断した。」
「この状況を回避する機会?」
「ああ、この状況を回避する機会、だ。よく考えてみろ。とにかく私が言いたいのはそれだけだ。琴葉を連れて帰る。拒むなら強制的に離縁の手続きをすると伝えるんだ。荷物は後で回収する。すぐに連れてきてくれ。」
「わかった…」
◇◇◇◇
「太賀!迎えに来てくれたのね?!」
「ああ、屋敷に戻るぞ。」
「それじゃあ、美知恵さんは…?」
「もちろん琴葉が戻ってくるのを待ってくれている。」
「どうして?!どうしてまだあの女が私たちの屋敷に居座っているのよ?!」
「美知恵も琴葉と同様私の妻だ。彼女があそこにいて何の問題がある?」
「ひどいわ太賀!私という妻がいながらどうして?!」
「妻だという割には屋敷のこともすべて他人に丸投げで今まで楽が出来ていただろう?これからは、いや違うな。すでに琴葉の代わりは美知恵がこなしてくれているから何の問題もないだろう。問題があるというなら琴葉がすればいいだけだしな。琴葉にとってもこれまり通り何の問題もなく暮らせるんだからいいじゃないか。とにかく帰ろう。これ以上弟夫婦に迷惑もかけられない。行くぞ。小雪さん世話になったね。では。」
この部屋に入ってきてから一度も私と目線を合わせてくれなかったお義姉様が去り際に私に鋭い視線を送ってこられました。 何かお義姉様に気に入らないようなことをしてしまったのかと心配になってしまいました。自然と足がすくみます。
「小雪」
私の前にすっと亮真様が立ってくださいました。これで琴葉お義姉様が見えることはありません。
嵐のようにやってきて去っていったお義姉様が今後平穏に暮らしていけるとよいのですが。
ちらりと亮真様の顔色を窺うと、深く考え込んでおられるようでした。
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