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第27話 アリサの力
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「何ができるかくらいは、ちゃんと見せておかないとね」
腕を回し張り切っているのか、アリサはそんなことを言っている。
いやいや正気か?
ここは森の中だ。派手に氷系魔法を使っても、木でさえぎられて見にくいんじゃないのか。
「ドーラも少し協力してくれる?」
「いいけど、本当にここでやるの?」
「もちろん」
まあ、アリサのことだ。何か考えがあるんだろう。
心配になるが、今はアリサがメインだ。
俺はアリサを信じることにして、おとなしく助けを求められるまで待つことにした。
「それじゃ始めますね」
「ああ」
リルに確認すると、アリサはその場でアクロバットを始めた。
側転、バク宙、空中で氷系魔法を発動し、足場を作っての二段ジャンプ、などなど。
流れるように動きながらアリサは氷を地面から生やしていた。
なるほど、巨大な氷を作るわけではなかったのか。
俺としてはてっきり、最大級の氷のオブジェクトでも作るとばかり思っていたが、人と同じサイズの氷で何かをするなら、森の中でも問題はないか。
「そろそろだよ。ブレスの準備をしてて」
「わかった」
スムーズに耳打ちを受け、頷く。
と言っても、俺にできるのは、アリサの指示でブレスを使うために、呼吸を合わせておくことだけだ。
あくまで冷静にアリサの様子を見ておく。それが一番の準備だ。
そのため、リラックスして見ていたところ、アリサは俺の予想を超えてきた。
いくつかの氷が像へと形を変えていく。それは見覚えのある人の形になっていった。
「これは」
「今! 薄くブリザードブレス」
「え、ぶ、ブリザードブレス?」
てっきりファイアブレスだと思っていた俺は、少しまごつきつつも、初めてのブリザードブレスを吐き出した。
薄くという指示の通り、キラキラと雪のように太陽光を反射させながら、氷像に降りかかっていく。
そこには、まるでステージの上で芸を披露しているような、俺たちサーカス冒険団のメンバーの氷像が輝いていた。
「フィニーッシュ!」
どうやら、これでよかったようだ。
像の前で決めポーズをし、アリサは頭を下げた。
反応がない。
誰も動かない。
もしかして、アリサはリルたちにも氷系魔法を使ってしまったのか。
そんな不安を裏切るように、パチパチと手を叩く音が響き出した。
「すごいな。こんな繊細なものを作れるなんて」
「本当だよ。これじゃオレたちの立場がないって」
「ワタシもこれから大丈夫かな」
「いや、ははは。ありがとうございます。でも、いつもより動きやすかったんですよ」
「それはリルのスキルのおかげじゃない?」
「そうなの?」
改めてリルのスキルについて俺はアリサに説明した。
「なるほど。すごいスキルですね」
「ありがとう。しかし、こんなものを見せられては認めざるを得ないな。それに、まだ正式に入団を認めてなかった」
「え! あたしまだ認められてなかったんですか?」
驚いた様子のアリサにリルは首を横に振った。
「いや、いつもやってることをしていなかっただけさ。すでにアリサの入団は認めていたよ」
リルはそこで咳払いすると、アリサの目をじっと見つめた。
「アリサをサーカス冒険団、団員四号に任命する」
「ありがとうござい、ま、す?」
なんだか歯切れの悪い反応。
「嫌なの?」
「そうじゃなくて、ここにいるのは五人でしょ? あたしは団員四号じゃなくて五号なんじゃと思って」
「ああ、それなら問題ない。私は団員〇号だ。そもそも団員じゃなくて団長だからな」
「なるほど」
それでいいの? 納得なの?
まあ、深く突っ込んでも仕方ないことか。
「あたしも、他のみんなもいい感じだね」
「確かに。リルのスキルもあるし、アリサのメニューも前より成長を実感できるし。それがいいんじゃない?」
「ああ。アリサがいなかった時は、デタラメに量をこなしていただけだからな。やっと練習と言える気がする」
「そこまでじゃないですよ。それに、今日は初日なので様子見で、まだまだ詰めが甘いと思います。あとは、少しずつ修正していけば必要な練習はできるはずです」
どこか確信している様子でアリサは言ってのけた。
しかし、ここまで人に的確な練習を促せるとは、アリサには一体何が見えているんだろう。
「アリサには一体何が見えているんだ?」
あ、リルも同じこと考えてたみたいだ。
「あたしは、ただ足りないと思うところを、こうすればいいんじゃないかってアドバイスしてるだけですよ」
「それにしては的確すぎやしないか? 私もスキルで人の適性が見えているのだが、アドバイスができるレベルまで使えてないのだが」
「うーん。だとすると、そうですね」
確かに、アリサにリルと同じようなスキルがあるという話は聞いたことがない。
アリサはただの氷系の魔法使いだ。
今の見た目に魔女らしさはないが、それでも操るのは魔法のはずだ。
人にアドバイスするのは別なような。
「確かに、あたしが最初から持っていたスキルとしては氷系の魔法だけです。それに、最初から人の力を見抜けたわけじゃないんです。今も一番得意なのは氷系魔法です。ただ、ドーラの冒険者カードを見たのなら分かると思いますが、スキルは結構後からでも習得できるんですよ」
「え、いつの間に俺が冒険者登録したって知ってたの?」
なんか話の腰を折った気がするが、思わず口から出ていた。
そんな俺に、アリサは手刀を切って舌を出した。
そしてなぜかリルまで申し訳なさそうにしている。
「ごめん。ドーラが寝てる間に見ちゃった。あと話を聞いちゃった」
「すまない。つい嬉しくなって話してしまった」
「別に隠してないからいいけど。通りでブリザードブレスとか知ってるわけだよ」
まあ、俺も自分で練習していたことがスキルのレベルまで上がっていることは知らなかった。
そこまで意識して練習しているだけでもアリサはすごいと思うけどな。
「ということは、オレもドーラみたいにブレスができるっていうこと?」
「それは難しいと思います。道具を使った火吹き芸ならできると思うんですけど、あれはどうすればできるのかよくわかりませんし」
「え? そうなの?」
「じゃあ、ドーラはどうやって何も使わずに人吹いていたか説明できるの?」
「難しいこと聞くなぁ」
そんなこと考えたことなかった。
昔から当たり前のようにできたせいで、できる感覚というものが、できない感覚と比較できない。
ということは、わからない。
「ほらね? ドーラが説明できないのに、人に教えられませんよ。あたしが人に教えられるのは、あたしが見てわかることだけなんです」
俺の回答を待たずにアリサは話を終えた。
「それでも十分すぎるほどすごいけどなぁ」
「この力を使わせてくれたのは前はドーラだけだったよ」
最後にぼそっとアリサが言ってきた。
腕を回し張り切っているのか、アリサはそんなことを言っている。
いやいや正気か?
ここは森の中だ。派手に氷系魔法を使っても、木でさえぎられて見にくいんじゃないのか。
「ドーラも少し協力してくれる?」
「いいけど、本当にここでやるの?」
「もちろん」
まあ、アリサのことだ。何か考えがあるんだろう。
心配になるが、今はアリサがメインだ。
俺はアリサを信じることにして、おとなしく助けを求められるまで待つことにした。
「それじゃ始めますね」
「ああ」
リルに確認すると、アリサはその場でアクロバットを始めた。
側転、バク宙、空中で氷系魔法を発動し、足場を作っての二段ジャンプ、などなど。
流れるように動きながらアリサは氷を地面から生やしていた。
なるほど、巨大な氷を作るわけではなかったのか。
俺としてはてっきり、最大級の氷のオブジェクトでも作るとばかり思っていたが、人と同じサイズの氷で何かをするなら、森の中でも問題はないか。
「そろそろだよ。ブレスの準備をしてて」
「わかった」
スムーズに耳打ちを受け、頷く。
と言っても、俺にできるのは、アリサの指示でブレスを使うために、呼吸を合わせておくことだけだ。
あくまで冷静にアリサの様子を見ておく。それが一番の準備だ。
そのため、リラックスして見ていたところ、アリサは俺の予想を超えてきた。
いくつかの氷が像へと形を変えていく。それは見覚えのある人の形になっていった。
「これは」
「今! 薄くブリザードブレス」
「え、ぶ、ブリザードブレス?」
てっきりファイアブレスだと思っていた俺は、少しまごつきつつも、初めてのブリザードブレスを吐き出した。
薄くという指示の通り、キラキラと雪のように太陽光を反射させながら、氷像に降りかかっていく。
そこには、まるでステージの上で芸を披露しているような、俺たちサーカス冒険団のメンバーの氷像が輝いていた。
「フィニーッシュ!」
どうやら、これでよかったようだ。
像の前で決めポーズをし、アリサは頭を下げた。
反応がない。
誰も動かない。
もしかして、アリサはリルたちにも氷系魔法を使ってしまったのか。
そんな不安を裏切るように、パチパチと手を叩く音が響き出した。
「すごいな。こんな繊細なものを作れるなんて」
「本当だよ。これじゃオレたちの立場がないって」
「ワタシもこれから大丈夫かな」
「いや、ははは。ありがとうございます。でも、いつもより動きやすかったんですよ」
「それはリルのスキルのおかげじゃない?」
「そうなの?」
改めてリルのスキルについて俺はアリサに説明した。
「なるほど。すごいスキルですね」
「ありがとう。しかし、こんなものを見せられては認めざるを得ないな。それに、まだ正式に入団を認めてなかった」
「え! あたしまだ認められてなかったんですか?」
驚いた様子のアリサにリルは首を横に振った。
「いや、いつもやってることをしていなかっただけさ。すでにアリサの入団は認めていたよ」
リルはそこで咳払いすると、アリサの目をじっと見つめた。
「アリサをサーカス冒険団、団員四号に任命する」
「ありがとうござい、ま、す?」
なんだか歯切れの悪い反応。
「嫌なの?」
「そうじゃなくて、ここにいるのは五人でしょ? あたしは団員四号じゃなくて五号なんじゃと思って」
「ああ、それなら問題ない。私は団員〇号だ。そもそも団員じゃなくて団長だからな」
「なるほど」
それでいいの? 納得なの?
まあ、深く突っ込んでも仕方ないことか。
「あたしも、他のみんなもいい感じだね」
「確かに。リルのスキルもあるし、アリサのメニューも前より成長を実感できるし。それがいいんじゃない?」
「ああ。アリサがいなかった時は、デタラメに量をこなしていただけだからな。やっと練習と言える気がする」
「そこまでじゃないですよ。それに、今日は初日なので様子見で、まだまだ詰めが甘いと思います。あとは、少しずつ修正していけば必要な練習はできるはずです」
どこか確信している様子でアリサは言ってのけた。
しかし、ここまで人に的確な練習を促せるとは、アリサには一体何が見えているんだろう。
「アリサには一体何が見えているんだ?」
あ、リルも同じこと考えてたみたいだ。
「あたしは、ただ足りないと思うところを、こうすればいいんじゃないかってアドバイスしてるだけですよ」
「それにしては的確すぎやしないか? 私もスキルで人の適性が見えているのだが、アドバイスができるレベルまで使えてないのだが」
「うーん。だとすると、そうですね」
確かに、アリサにリルと同じようなスキルがあるという話は聞いたことがない。
アリサはただの氷系の魔法使いだ。
今の見た目に魔女らしさはないが、それでも操るのは魔法のはずだ。
人にアドバイスするのは別なような。
「確かに、あたしが最初から持っていたスキルとしては氷系の魔法だけです。それに、最初から人の力を見抜けたわけじゃないんです。今も一番得意なのは氷系魔法です。ただ、ドーラの冒険者カードを見たのなら分かると思いますが、スキルは結構後からでも習得できるんですよ」
「え、いつの間に俺が冒険者登録したって知ってたの?」
なんか話の腰を折った気がするが、思わず口から出ていた。
そんな俺に、アリサは手刀を切って舌を出した。
そしてなぜかリルまで申し訳なさそうにしている。
「ごめん。ドーラが寝てる間に見ちゃった。あと話を聞いちゃった」
「すまない。つい嬉しくなって話してしまった」
「別に隠してないからいいけど。通りでブリザードブレスとか知ってるわけだよ」
まあ、俺も自分で練習していたことがスキルのレベルまで上がっていることは知らなかった。
そこまで意識して練習しているだけでもアリサはすごいと思うけどな。
「ということは、オレもドーラみたいにブレスができるっていうこと?」
「それは難しいと思います。道具を使った火吹き芸ならできると思うんですけど、あれはどうすればできるのかよくわかりませんし」
「え? そうなの?」
「じゃあ、ドーラはどうやって何も使わずに人吹いていたか説明できるの?」
「難しいこと聞くなぁ」
そんなこと考えたことなかった。
昔から当たり前のようにできたせいで、できる感覚というものが、できない感覚と比較できない。
ということは、わからない。
「ほらね? ドーラが説明できないのに、人に教えられませんよ。あたしが人に教えられるのは、あたしが見てわかることだけなんです」
俺の回答を待たずにアリサは話を終えた。
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「この力を使わせてくれたのは前はドーラだけだったよ」
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