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第67話 思い通りにいかせない
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負け惜しみを吐いてきた剣聖に対し、気持ちのうえでは圧倒的優位。
「さあさあ、後悔して苦しみな! ショーの始まりだぜぇ?」
「くっ。投げナイフ。いや、別の剣か……? 大丈夫? フラータ。フラータ?」
フラータが居ない。さっきまで僕の後ろに居たはずなのに。
「おいおいどこを見てるんだ? こっちだよバーカ」
「リストーマ、くん……」
「フラータ! 剣聖、お前!」
「手を離せ! その汚い手を!」
「彼女は平和主義者だ! お前の触れていい存在じゃない!」
「野蛮人と一緒にするな!」
僕達の戦いを見守ってくれている人達も怒りを露わにしている。
しかし、突然の事で、フラータも怯えた様子で動けないらしい。
そう、フラータは優しい子だ。それはそうだ。でなきゃ魔王城を出てきていない。
なんて卑怯な……。
「なんのつもりだ。剣聖として、人質を取るような戦い方を恥ずかしいと思わないのか!」
「剣聖なんてオレにとっちゃただのジョブの名前だ。どうでもいい」
「落ちたな」
「言ってろ! これは、オマエが魔族だろうが何だろうが女を連れているのが悪いんだ」
「彼女は関係ないだろう!」
「あるよバーカ。こいつに何かすりゃオマエにとって損失なんだろ? 大事そうにしてるからなぁ? そうなんだろ? オレはな、オレを壊したオマエが、大事にしてるもんを全部ぶっ壊して、オマエを破壊したいだけなんだよお!」
「正気か?」
「ああ。正気さ。これでもマジ、大マジだぜ? でなきゃレプリカなんて投げねぇよ」
「レプリカ?」
投げナイフ。剣聖の剣をただの目くらましに使ったと思ったら、レプリカだって?
後方の地面に突き刺さっている聖剣はどう見ても本物なのに……。
「どう見ても本物って顔してるな。よく出来てるだろ? 一瞬でも全身で警戒するくらいにゃ出来のいいもんだ。そうでもしないと、今のオマエは意識をオレからそらさないだろ?」
「全部用意してたって事か」
「ああそうさ。オレが何もしないでおとなしくしていたとでも? こんな事だってできるんだぜ?」
「なっ」
いつの間にか、空中に大量の剣が浮かんでいた。
それらは、僕達を囲むようにして浮かんでいる。
半球状に浮かぶ剣そのどれもが聖剣だ。
「オレだって死ぬ程考えたんだぜ? ジョブ、スキルの最適解を。伝えられていた剣聖のスキルの奥義を身に付けるにはどうしたらいいのかを! 全て、オマエのスキルをどうにかするためにな。だが、思いついても実現するまでにゃちっとばかし時間がかかっちまった。だが、こうして実演できたんなら、それも誤差みたいなもんだ」
「貴様ぁ!」
「まあ待て。動くな。せっかくの力だ。何も知らせずに使っちまうのは、一方的すぎてオマエが可哀想だからな。それに、オレはオマエの絶望した顔が見たいんだ。何も知らずに死なれたんじゃあ目的が達成できないからな。ありがたく思え」
剣聖はフィールドから拾い上げた小石を無造作に上に投げた。
すると突然、浮かんでいた剣が小石目がけて飛んできた。
「見えただろ? 綺麗に真っ二つだ。少し動けばオマエも今の石みたく真っ二つだ。実現までに時間がかかったのは、ここにある聖剣全てを本物にするためだ」
「え……」
「そう。ここに浮かぶ聖剣は全て本物。オレの意のままに操れる地上最高の剣たち。さあどうする? 動かなきゃオレの手の中にあるこいつはオレのされるがまま。動いたらオマエは真っ二つ。よくて串刺し。自分から死ぬか、大切な仲間を見殺しにしてから死ぬか。好きな方を選べ。さあ、絶望しろ!」
全て本物。
地上にたった一本しかなかったはずの聖剣が、有象無象の剣のように大量展開されている。
確かに、動いたら僕の体はさっきの石のように真っ二つになるだろう。
そう、動いたら。
「動かなければいいんだな?」
「なに……?」
念じろ。実現しろ。
僕のスキルも限界を超えろ!
「消えた……。おい! あの魔王の娘をどこへやった!」
「はあ、はあ……。さあなぁ? お前に言うと思うか?」
僕の方から送るというプレゼント。
準備も無しにいきなりやったから、送り先はお金と一緒になっちゃったけど、これで僕の仲間に危険は及ばない。問題は無い。
「オマエ。今何しやがったって聞いてんだよ!」
「お前に教える義理はない。違うか?」
「調子に乗るなよ!」
「さあ、ここからが本当の戦いだ」
「さあさあ、後悔して苦しみな! ショーの始まりだぜぇ?」
「くっ。投げナイフ。いや、別の剣か……? 大丈夫? フラータ。フラータ?」
フラータが居ない。さっきまで僕の後ろに居たはずなのに。
「おいおいどこを見てるんだ? こっちだよバーカ」
「リストーマ、くん……」
「フラータ! 剣聖、お前!」
「手を離せ! その汚い手を!」
「彼女は平和主義者だ! お前の触れていい存在じゃない!」
「野蛮人と一緒にするな!」
僕達の戦いを見守ってくれている人達も怒りを露わにしている。
しかし、突然の事で、フラータも怯えた様子で動けないらしい。
そう、フラータは優しい子だ。それはそうだ。でなきゃ魔王城を出てきていない。
なんて卑怯な……。
「なんのつもりだ。剣聖として、人質を取るような戦い方を恥ずかしいと思わないのか!」
「剣聖なんてオレにとっちゃただのジョブの名前だ。どうでもいい」
「落ちたな」
「言ってろ! これは、オマエが魔族だろうが何だろうが女を連れているのが悪いんだ」
「彼女は関係ないだろう!」
「あるよバーカ。こいつに何かすりゃオマエにとって損失なんだろ? 大事そうにしてるからなぁ? そうなんだろ? オレはな、オレを壊したオマエが、大事にしてるもんを全部ぶっ壊して、オマエを破壊したいだけなんだよお!」
「正気か?」
「ああ。正気さ。これでもマジ、大マジだぜ? でなきゃレプリカなんて投げねぇよ」
「レプリカ?」
投げナイフ。剣聖の剣をただの目くらましに使ったと思ったら、レプリカだって?
後方の地面に突き刺さっている聖剣はどう見ても本物なのに……。
「どう見ても本物って顔してるな。よく出来てるだろ? 一瞬でも全身で警戒するくらいにゃ出来のいいもんだ。そうでもしないと、今のオマエは意識をオレからそらさないだろ?」
「全部用意してたって事か」
「ああそうさ。オレが何もしないでおとなしくしていたとでも? こんな事だってできるんだぜ?」
「なっ」
いつの間にか、空中に大量の剣が浮かんでいた。
それらは、僕達を囲むようにして浮かんでいる。
半球状に浮かぶ剣そのどれもが聖剣だ。
「オレだって死ぬ程考えたんだぜ? ジョブ、スキルの最適解を。伝えられていた剣聖のスキルの奥義を身に付けるにはどうしたらいいのかを! 全て、オマエのスキルをどうにかするためにな。だが、思いついても実現するまでにゃちっとばかし時間がかかっちまった。だが、こうして実演できたんなら、それも誤差みたいなもんだ」
「貴様ぁ!」
「まあ待て。動くな。せっかくの力だ。何も知らせずに使っちまうのは、一方的すぎてオマエが可哀想だからな。それに、オレはオマエの絶望した顔が見たいんだ。何も知らずに死なれたんじゃあ目的が達成できないからな。ありがたく思え」
剣聖はフィールドから拾い上げた小石を無造作に上に投げた。
すると突然、浮かんでいた剣が小石目がけて飛んできた。
「見えただろ? 綺麗に真っ二つだ。少し動けばオマエも今の石みたく真っ二つだ。実現までに時間がかかったのは、ここにある聖剣全てを本物にするためだ」
「え……」
「そう。ここに浮かぶ聖剣は全て本物。オレの意のままに操れる地上最高の剣たち。さあどうする? 動かなきゃオレの手の中にあるこいつはオレのされるがまま。動いたらオマエは真っ二つ。よくて串刺し。自分から死ぬか、大切な仲間を見殺しにしてから死ぬか。好きな方を選べ。さあ、絶望しろ!」
全て本物。
地上にたった一本しかなかったはずの聖剣が、有象無象の剣のように大量展開されている。
確かに、動いたら僕の体はさっきの石のように真っ二つになるだろう。
そう、動いたら。
「動かなければいいんだな?」
「なに……?」
念じろ。実現しろ。
僕のスキルも限界を超えろ!
「消えた……。おい! あの魔王の娘をどこへやった!」
「はあ、はあ……。さあなぁ? お前に言うと思うか?」
僕の方から送るというプレゼント。
準備も無しにいきなりやったから、送り先はお金と一緒になっちゃったけど、これで僕の仲間に危険は及ばない。問題は無い。
「オマエ。今何しやがったって聞いてんだよ!」
「お前に教える義理はない。違うか?」
「調子に乗るなよ!」
「さあ、ここからが本当の戦いだ」
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