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外国へ遊びに行こう
教えてあげよう
しおりを挟む「て、テメェ、なんでここに居やがる!」
「聞いてなかったのか? 俺は眠りに関してはチート級(という設定)だからな。食べた瞬間に分かったよ、仲間だと思っていたクラスメイトに裏切られたって……なあ、どうしてこんなことをしたんだ」
親身に語りかける俺の姿を見て、第二王女がなんだか気持ち悪い物を見ていると言わんばかりにドン引きしている。
まあ、普段の俺の態度とは大違いだから仕方ないが……あとで嫌がらせでもしよう。
「奴隷か……もしこんなことがアイツらの耳に入ったら、お前はどういう風な扱いを受けるようになるんだろうな?」
「『黙れ』!」
「おいおい、考えてみろよ」
「な、なんで喋れる!?」
先ほどから俺を雑魚扱いしているアキラにとって、俺は速攻で話術に嵌って口を開かなくなる間抜け……とでも思っていたようだ。
残念だが、精神に関する耐性は極めていると言っても過言ではないからな。
「眠りってのは精神に関する事柄だからな。商人ってことは、たぶん命令か言葉に強制力でも持たせる能力なんだろう? だから俺はそれを無効化できる。それか、単純にお前より俺の方が強いからかもな(適当)」
「はぁ? んなわけねぇだろうが! オレはこの力で無敵の軍団を手に入れたんだ! あのワースト雑魚に続く二番目の雑魚に、コイツらを倒せるわけがねぇ!」
「おい、イム──なんか来るぞ!」
「レベル80超えの奴隷たちだ! お前らみたいな奴らもいるから、これから仲良くする同僚ってわけだな!」
なぜだか相手に情報を開示する、自称強者たちのテンプレを再現するアキラ。
まあ、レベル80もあれば中迷宮の単独踏破もそれなりにできる強さだから、鑑定されてもロクなステータスが出ない俺と第二王女は舐められて当然だ。
そんなこんなで、体に隠していた魔道具で隠し扉を御開帳!
そこから現れるのは、首輪を嵌めた美麗な女性たちと醜悪な男たちが半々程度に……。
「てっきり奴隷ハーレムでも築いているんだと思っていたが……なんでだ?」
「お前みたいに男が居たら、その処理をさせるためだよ。本当は処分してぇんだが、スキルが使えるから生かしてやってんだよ」
「ふーん、そうか……使えるのか」
解析で視てみれば、たしかにあればあったで便利だなーと思えるスキルを持っている男たちだった。
まあ、当然のように『状態:隷属』となっているけど……これはどうでもいいか。
「『この二人を捕縛しろ! 男の方は殺してもいいからな!』」
「ははっ、おいおい『止めてくれよ』。せめて『丁重に扱ってくれ』」
「はっ、んなことするわけねえだろ──さっさと捕まえろ!」
とても嫌そうに、彼らは行動を始める。
俺は一時的に魔力で壁を展開し、抵抗している風に演出を行う。
第二王女も拳を振るい、奴隷たちの意識を奪ってどうにかしようとしていた。
ただ、それは上手くいかない。
何故なら(魔力透過)やら(物理流動)だの、相性が悪いスキルを持っている奴が男たちの中に紛れているからだ。
俺はそんな男たちに捕縛され、第二王女は男に攻撃を無効化されたうえで、女たちが四肢を抑えている。
どうやら触れさせることは、アキラ的にアウトな事柄なようだ。
その様子を見て、とても満足げな表情を浮かべるアキラ……そういえば、屈服させるのが云々とか言っていた気がするな。
「なあ、俺に飲み物をくれないか?」
「はぁ、んなもんするわけねぇ──」
「畏まりました」
アキラの意見を完全スルーし、男の一人が俺から離れて飲み物を用意し始める。
その様子に口をポカーンと開き、愕然としている……バカなんだろうか?
「な、んな……」
「そうだ、ついでに菓子も用意してくれ。お前も食うよな? その拘束も邪魔だし、外してやってくれ」
「なんで、なんでコイツの言うことを聞いてるんだよ! おい、『止めろ』!」
第二王女を掴む手は離され、せっせとお茶会の準備を始める。
アキラはアキラで再び言うことを聞かせようと頑張っているが……無駄だ。
「俺が乗っ取った。お前が何を命じようと、もう何も聞いてくれないぞ。ほらほら、もう頑張るのは止めておけ」
「は、はぁ!? ど、どうやってだよ! 声だけどうにかしても、コイツらはオレの言うことしか聞かねぇはず……」
「うーん、企業秘密? 『捕まえとけ』」
「お、おい……止めろ、『放せよ』!」
だが残念、誰も言うことを聞かない。
商人としてのレベルは上げていたみたいだが、戦闘能力はあまりないようで──あっさりと捕縛された。
「くそ、放せよ卑怯者が!」
「おいおい、奴隷を使って俺たちを嬲り者にしようとしていた奴が、何を言っているんだよ? ──あっ、これ美味いな。お姉さん、これお代わりよろしく」
「……イム、これでいいのかよ?」
「いいのいいの、どうせこの後は恨み辛みを晴らすために忙しくなるんだから」
アキラにネタ晴らしをする気はないが……首輪にハッキングを掛け、乗っ取ったうえで奴隷の認識を書き換えただけだ。
主は俺と認識しているから、行動に悪意もないので首輪が絞まることもない。
「『認識解除』、『再定義──真実』。これで俺が伝えたいことが頭に入った……そうするとほらな、結局こうなる」
「や、やめ……ぐぎゃぁ!」
ハッとした彼らは、先ほどまで澱み切っていた瞳をギラギラと輝かせ、我先にとアキラへ暴行を始める。
俺たちはそれを咎めず、それをオカズにお茶会を楽しむ……うん、いい味だ。
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