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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門前篇 その32
しおりを挟むショウが『理操の導き手』に敗れた。
判定負けという形ではあるが、相手の思う通りの結果ともいえる……事実、ショウはそう考えているだろう。
「[ログアウト]したら、いろいろと話さないとな……」
とはいえ、ショウもそこまで落ち込んではいないだろう。
正しく言えば、落ち込んでも寝ればスッキリするぐらいのこと。
ショウは最強じゃない、いかにルリの息子として主人公体質みたいな存在だろうと、あらゆる敵を倒すことができる……そんな超人染みたスペックを有してはいないのだ。
そんなわけで、残念会をするぐらいでいいのだ……問題は、この後の試合だが。
俺とマイ、どちらも負けるのであればそれはそれでいい。
しかしどちらかが勝った時、とても気まずくなってしまう……。
うん、特に俺なんかいったいどういった発言をすればいいのか分からなくなりそうだ!
「こ、こほん……それについては後々じっくり相談させてもらうとして。もう一戦、気にしないといかんなぁ」
《『陰陽師』ですね》
「そう、『陰陽師』。あの娘もあの娘で、いろいろと隠しているからな……マイにも把握できている限りの情報、あと【陰陽師】の基礎情報は送ってあるから、参考にしてくれると嬉しいな」
本来、職業としての【陰陽師】には式神の使役数制限というものが存在する。
だが『超越者:陰陽師』にはそれが無く、無尽蔵の契約が可能となっていた。
まあ当然、何の代償も無くというわけでもない……単純に当人の素質が問題である。
それだけでなく、他の要素も持つからこそそのバランスに悩むのが【陰陽師】なのだ。
「まず定番の符、というかこれが一にして全な気もするか。攻撃、防御、バフデバフ、そして式神の使役……全部これだしな」
いちおう言っておくと、別の符を使わない運用方法もありはする。
だが『陰陽師』はそれを使わず、基本的に大半は符を使うスタイルだった。
「事前に仕込みをするのがコストとして面倒ではあるけど、いざ実戦となった時に超低コストで大半のことができるのがメリットか。ついでに言うと、それがあるからこそ別のことにも符以外の手段を用いれる点も」
当然、そちらの準備を怠っているわけも無いので、その対策も必要だ。
しかしながら、やはり彼女を相手取る場合に最大限警戒しなければならないのは──
「式神たち、だよな……」
《はい。契約できていること自体が異常なレベルの式神を、複数体。権能で可能なのはあくまで契約の数の制限の解除のみ、残りはすべて、彼女の才能によるものです》
「……本当、どうかしていると思う」
分かりやすく言うと、準逸脱者レベルの連中を同時に相手取るようなもの。
いかにマイが数で攻める従魔師とはいえ、相手も同じタイプだと……はてさて。
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