2,597 / 2,712
DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門前篇 その25
しおりを挟む俺たち家族は全員、それぞれ休人が二回戦の相手となっていた。
俺の場合は飛行戦を得意とするタイプ、相手にとって不足なし。
≪それでは、二回戦開始!≫
特段語るべきことも無く、俺の試合は幕を開く。
それと同時に対戦相手は空を飛び、空からの攻撃を──
「──墜ちなさい」
「カヒュッ」
始める前に、“ニュートンの林檎”起動。
これまでの試合から飛ぶ機動は完全に読まれており、ピンポイントで脳内に重力魔法が作用する。
空を飛べば、三次元に動くならと高を括っていたのかもしれない。
結果、脳の防御を怠っていた対戦相手は、そのまま地面に落下し──
≪じょ、場外……試合終了! 何ということでしょう、僅か数秒! 勝者ノーネーム!≫
「…………なんだが、すみません」
頭の打ち所が悪かったのだろう、そのまま死亡判定となり舞台から強制排出となった。
残された俺は呆然としつつ、ある一つの結論に至る。
「──やっぱり、『林檎』は危険ですね」
高度な演算が必要になるとはいえ、相手の動きさえ読めれば移動中だろうと使えるのがこの術式最大の特徴。
今回のように空を飛んでいる、あるいは高速で動いている状況で、この術式が成功すると相手の自滅を誘うことができるのだ。
無論、先に語った通り脳内に防御を施していれば防ぐことは容易である。
それでも、俺以外の誰かがこの術式を使えば危険性はさらに高まるだろう。
「……『魔天』、それに『魔匠』かな? かなりヤバいだろう」
《防御無視の効果が魔力防御にも作用するのであれば、術式は必ずや効果を発揮することでしょう》
「オリジナルだからまだ何とかなるけど、似たような術式を誰かが開発してばら撒き始めたら詰むな。数人程度とはいえ、大量殺人ができる連中の誕生だ」
ちなみにだがこれ、魔物だとまた勝手が違う面倒な仕様。
内部構造が人に近しいならまだしも、さすがに血が通ってない個体などはな……。
一番効果を発揮するのが人族、というだけで普通に重力系の術式としても使えるけど。
…………それならそれで、もっと便利なモノがたくさんあるからな。
◆ □ ◆ □ ◆
俺の試合がこうだったので、まさかと思っていたが……その通りだったようだ。
ショウ、マイの試合もまた、同様に苦戦することなく勝利していた。
「相性、の問題だったかな。ショウの相手は魔法剣士タイプだったし、マイの相手は純粋な盾職だったし……その上位互換のショウ、それ以上に強いアタッカーが無数に居るマイが相手だとなぁ」
そんなこんなで、翌日には三回戦である。
ここより先、もう逸脱した連中を含め厄介な奴らばかり……同じことはもう起きない。
1
お気に入りに追加
643
あなたにおすすめの小説
トップ冒険者の付与師、「もう不要」と言われ解雇。トップ2のパーティーに入り現実を知った。
空
ファンタジー
そこは、ダンジョンと呼ばれる地下迷宮を舞台にモンスターと人間が暮らす世界。
冒険者と呼ばれる、ダンジョン攻略とモンスター討伐を生業として者達がいる。
その中で、常にトップの成績を残している冒険者達がいた。
その内の一人である、付与師という少し特殊な職業を持つ、ライドという青年がいる。
ある日、ライドはその冒険者パーティーから、攻略が上手くいかない事を理由に、「もう不要」と言われ解雇された。
新しいパーティーを見つけるか、入るなりするため、冒険者ギルドに相談。
いつもお世話になっている受付嬢の助言によって、トップ2の冒険者パーティーに参加することになった。
これまでとの扱いの違いに戸惑うライド。
そして、この出来事を通して、本当の現実を知っていく。
そんな物語です。
多分それほど長くなる内容ではないと思うので、短編に設定しました。
内容としては、ざまぁ系になると思います。
気軽に読める内容だと思うので、ぜひ読んでやってください。
悪役令嬢のお母様……でしたの
波湖 真
恋愛
わたくし、おかしい、おかしいと 思っておりましたの。
なんといいますか……わたくしの生きている世界に違和感?をいつも感じておりました。
何かが、何かが違うのです。
王女として生まれ、何不自由なく育ち、恋をして、公爵家の跡取りと結婚し、息子も生まれ、わたくし、幸せでしたの。
そして、この度、第二子である娘が生まれました。
それはそれは可愛らしくて、美しくて、世界一の娘です。
わたくしは生まれたばかりの娘を抱きしめて、幸せを噛みしめましたわ。
そう、主人である公爵が娘の名前を決めるまでは……。
「この子の名前はコーデリア。コーデリア・ド・バルタークとしよう」
その時、わたくしは、全てを思い出したの。
わたくしが何故この世界に違和感抱いていたのかを……。
わたくしには前世の記憶がありましたの。
その記憶を全て思い出しました。
好きだったもの……。
わたくし、前世で大好きだった小説の悪役令嬢コーデリアの母……でしたの。
この、今、腕の中でふにゃふにゃしている可愛い可愛い娘は……悪役令嬢ですの。
とっても意地悪になるのです。
これから、浮気者の王子と婚約して、振られてしまうのです。
わたくしは娘の不幸を思って涙が溢れましたわ。
そして、誓ったのですわ。
わたくしは、娘を、幸せにしてみせる!!
悪役令嬢の母に転生した麻美ことアドリアナの奮闘の物語です
異世界転移したら女神の化身にされてしまったので、世界を回って伝説を残します
高崎三吉
ファンタジー
その乙女の名はアルタシャ。
『癒し女神の化身』と称えられる彼女は絶世の美貌の持ち主であると共に、その称号にふさわしい人間を超越した絶大な癒しの力と、大いなる慈愛の心を有していた。
いかなる時も彼女は困っている者を見逃すことはなく、自らの危険も顧みずその偉大な力を振るって躊躇なく人助けを行い、訪れた地に伝説を残していく。
彼女はある時は強大なアンデッドを退けて王国の危機を救い
ある国では反逆者から皇帝を助け
他のところでは人々から追われる罪なき者を守り
別の土地では滅亡に瀕する少数民族に安住の地を与えた
相手の出自や地位には一切こだわらず、報酬も望まず、ただひたすら困っている人々を助けて回る彼女は、大陸中にその名を轟かせ、上は王や皇帝どころか神々までが敬意を払い、下は貧しき庶民の崇敬の的となる偉大な女英雄となっていく。
だが人々は知らなかった。
その偉大な女英雄は元はと言えば、別の世界からやってきた男子高校生だったのだ。
そして元の世界のゲームで回復・支援魔法使いばかりをやってきた事から、なぜか魔法が使えた少年は、その身を女に変えられてしまい、その結果として世界を逃亡して回っているお人好しに過ぎないのだった。
これは魔法や神々の満ち溢れた世界の中で、超絶魔力を有する美少女となって駆け巡り、ある時には命がけで人々を助け、またある時は神や皇帝からプロポーズされて逃げ回る元少年の物語である。
なお主人公は男にモテモテですが応じる気は全くありません。
余りモノ異世界人の自由生活~勇者じゃないので勝手にやらせてもらいます~
藤森フクロウ
ファンタジー
相良真一(サガラシンイチ)は社畜ブラックの企業戦士だった。
悪夢のような連勤を乗り越え、漸く帰れるとバスに乗り込んだらまさかの異世界転移。
そこには土下座する幼女女神がいた。
『ごめんなさあああい!!!』
最初っからギャン泣きクライマックス。
社畜が呼び出した国からサクッと逃げ出し、自由を求めて旅立ちます。
真一からシンに名前を改め、別の国に移り住みスローライフ……と思ったら馬鹿王子の世話をする羽目になったり、狩りや採取に精を出したり、馬鹿王子に暴言を吐いたり、冒険者ランクを上げたり、女神の愚痴を聞いたり、馬鹿王子を躾けたり、社会貢献したり……
そんなまったり異世界生活がはじまる――かも?
ブックマーク30000件突破ありがとうございます!!
第13回ファンタジー小説大賞にて、特別賞を頂き書籍化しております。
♦お知らせ♦
余りモノ異世界人の自由生活、コミックス1~3巻が発売中!
漫画は村松麻由先生が担当してくださっています。
第四巻は11月18日に発送。店頭には2~3日後くらいには並ぶと思われます。
よかったらお手に取っていただければ幸いです。
書籍1~7巻発売中。イラストは万冬しま先生が担当してくださっています。
コミカライズの連載は毎月第二水曜に更新となります。
漫画は村松麻由先生が担当してくださいます。
※基本予約投稿が多いです。
たまに失敗してトチ狂ったことになっています。
原稿作業中は、不規則になったり更新が遅れる可能性があります。
現在原稿作業と、私生活のいろいろで感想にはお返事しておりません。
ポータルズ -最弱魔法を育てようー
空知音
ファンタジー
ポータルズ。
そう呼ばれている世界群。
ここでは、各世界がポータルと呼ばれる門で繋がっている。
主人公は、くつろぐことが人生最大のテーマ。
その彼がポータルを通り、地球から異世界に転移してしまう。
視界に一つの点が見えるだけ、という最弱の「点魔法」を育てながら、異世界を生き抜けるだろうか。
ゆる~い主人公による、わくわくドキドキの冒険が今始まる。
どこか懐かしく、温かい。 読んだら元気が出る。
そんな作品を目指します。
R15は、戦闘シーンがあるので念のためです。
転生したら死にそうな孤児だった
佐々木鴻
ファンタジー
過去に四度生まれ変わり、そして五度目の人生に目覚めた少女はある日、生まれたばかりで捨てられたの赤子と出会う。
保護しますか? の選択肢に【はい】と【YES】しかない少女はその子を引き取り妹として育て始める。
やがて美しく育ったその子は、少女と強い因縁があった。
悲劇はありません。難しい人間関係や柵はめんどく(ゲフンゲフン)ありません。
世界は、意外と優しいのです。
契約書は婚姻届
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「契約続行はお嬢さんと私の結婚が、条件です」
突然、降って湧いた結婚の話。
しかも、父親の工場と引き替えに。
「この条件がのめない場合は当初の予定通り、契約は打ち切りということで」
突きつけられる契約書という名の婚姻届。
父親の工場を救えるのは自分ひとり。
「わかりました。
あなたと結婚します」
はじまった契約結婚生活があまー……いはずがない!?
若園朋香、26歳
ごくごく普通の、町工場の社長の娘
×
押部尚一郎、36歳
日本屈指の医療グループ、オシベの御曹司
さらに
自分もグループ会社のひとつの社長
さらに
ドイツ人ハーフの金髪碧眼銀縁眼鏡
そして
極度の溺愛体質??
******
表紙は瀬木尚史@相沢蒼依さん(Twitter@tonaoto4)から。
聖女の地位も婚約者も全て差し上げます〜LV∞の聖女は冒険者になるらしい〜
みおな
ファンタジー
ティアラ・クリムゾンは伯爵家の令嬢であり、シンクレア王国の筆頭聖女である。
そして、王太子殿下の婚約者でもあった。
だが王太子は公爵令嬢と浮気をした挙句、ティアラのことを偽聖女と冤罪を突きつけ、婚約破棄を宣言する。
「聖女の地位も婚約者も全て差し上げます。ごきげんよう」
父親にも蔑ろにされていたティアラは、そのまま王宮から飛び出して家にも帰らず冒険者を目指すことにする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる