上 下
2,590 / 2,712
DIY、とにかく戦い続ける

闘技大会無制限部門前篇 その18

しおりを挟む


 法則を捻じ曲げ、相手にルールを課す。
 そんな厄介な遺製具レリック使いが、ショウの対戦相手であった。

「攻撃の禁止、ただしそこに光線銃は含まれていない……なんか引っかかるんだよな」

《特定の、相手にのみ作用する制限というものには、必ず多大なコストが掛かるはず。それが無いということは──》

「お互いに作用はしているけど、それを掻い潜るために光線銃、ってわけだな。特定の動きとかそういうの…………あっ」

 舞台の上を改めて確認する。
 現状、ショウは攻撃するために近づいているのだが、光線銃を掻い潜り剣で攻撃しようとすると、それを結界が阻んでいた。

 どうやら剣の保持そのものは問題ないようだが、攻撃は通らなくなっているらしい。
 最悪の場合、持っていない間は装備の恩恵が機能しないだろうし、無いよりはマシか。

 そんなショウの攻撃が通じない、つまり一時的に隙を晒してしまっている状態。
 だが対戦相手は間近での反撃はしないで、いったん距離を取ってから光線銃を放つ。

「……一定距離での攻撃を禁ずる、みたいな条件か? 光線銃ならスキルとか無くとも使える仕様にしてあるし、状況に応じて禁止する距離を変えれば自分だけ有利な戦闘をすることができる」

《──おそらくは、それが正解かと》

「実際にあっちで戦ってたら、分からなかったかもしれないな。俯瞰して観て、考える余裕があるから何となくだ」

 ──だが、うちの息子は天才だからな。
 それに気づいたのだろう、再び接近すると見せかけて途中でバックステップ。

 その瞬間に剣を振りぬくと、そこから斬撃が放たれ対戦相手に飛んでいく。
 とっさに防御しようとしたのだが、それよりもショウの一撃の方が速い。

「さすがに一発じゃ決まらないだろうが、決めたことに意味があるからな……」

 最初から遠距離で斬撃を放てば、ただ禁止ルールを変えて防がれるだけ。
 だが今のようなやり方ができる、そう思わせるだけで相手の行動を妨害可能だ。

 事実、対戦相手がショウに何かを話し、それにショウも答えている。
 会話の内容は分からないが、おそらく遺製具の効果について話しているのだろう。

「遺製具はまだあるからな……全部使えば丸裸な状態だけど、負けるよりもマシって考えればやりかねんし──ッ、来たか」

《左手に光線銃、右手には……柄のみの武器ですね。アレも遺製具のようですが》

「アレは何となく分かる。何かを装填して、武器にできるタイプだな。問題は、具体的にどこまでその対象にできるか、だ」

 柄だけの武器、というのは男のロマンなので休人界隈で開発はされ続けている。
 だがその遺製具版ともなれば、できることの規模がまったく違う。

 ──シンプルに出力が凄い、とかならまだ楽なんだろうけどな……。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

凡人領主は優秀な弟妹に爵位を譲りたい〜勘違いと深読みで、何故か崇拝されるんですが、胃が痛いので勘弁してください

黄舞
ファンタジー
クライエ子爵家の長男として生まれたアークは、行方不明になった両親に代わり、新領主となった。 自分になんの才能もないことを自覚しているアークは、優秀すぎる双子の弟妹に爵位を譲りたいと思っているのだが、なぜか二人は兄を崇め奉る始末。 崇拝するものも侮るものも皆、アークの無自覚に引き起こすゴタゴタに巻き込まれ、彼の凄さ(凄くない)を思い知らされていく。 勘違い系コメディです。 主人公は初めからずっと強くならない予定です。

【完結】捨てられ令嬢は王子のお気に入り

怜來
ファンタジー
「魔力が使えないお前なんてここには必要ない」 そう言われ家を追い出されたリリーアネ。しかし、リリーアネは実は魔力が使えた。それは、強力な魔力だったため誰にも言わなかった。そんなある日王国の危機を救って… リリーアネの正体とは 過去に何があったのか

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する

こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」 そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。 だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。 「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」 窮地に追い込まれたフォーレスト。 だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。 こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。 これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

運極さんが通る

スウ
ファンタジー
『VRMMO』の技術が詰まったゲームの1次作、『Potential of the story』が発売されて約1年と2ヶ月がたった。 そして、今日、新作『Live Online』が発売された。 主人公は『Live Online』の世界で掲示板を騒がせながら、運に極振りをして、仲間と共に未知なる領域を探索していく。……そして彼女は後に、「災運」と呼ばれる。

異世界は黒猫と共に

小笠原慎二
ファンタジー
我が家のニャイドル黒猫のクロと、異世界に迷い込んだ八重子。 「チート能力もらってないんだけど」と呟く彼女の腕には、その存在が既にチートになっている黒猫のクロが。クロに助けられながらなんとか異世界を生き抜いていく。 ペガサス、グリフォン、妖精が従魔になり、紆余曲折を経て、ドラゴンまでも従魔に。途中で獣人少女奴隷も仲間になったりして、本人はのほほんとしながら異世界生活を満喫する。 自称猫の奴隷作者が贈る、猫ラブ異世界物語。 猫好きは必見、猫はちょっとという人も、読み終わったら猫好きになれる(と思う)お話。

処理中です...