上 下
2,572 / 2,712
DIY、とにかく戦い続ける

闘技大会開発技部門終了 その10

しおりを挟む


 女神のようにもてはやされているルリ様。
 どうやらその知名度はかなりのもので、信仰値がカンストを超えてバグってしまうほどだったようだ。

「──他に質問はあるかしら?」

「……いえ、ございませんです」

 その後、俺とクレセンキャットでいくつかの質問をしたのだが、どれも常識外れというか「わたし、何かしちゃいました?」みたいな感じの回答連発。

 お陰で、クレセンキャットのテンションもかなり低下してしまった。
 自分たちの布教をどれだけ頑張っても、さすがにそうはならんと分かるからこそだ。

 ルリは布教したいと思っているわけじゃない、ただそこに存在するだけで自然と人々が崇め奉ってしまう……それだけのカリスマと実績を兼ね揃えている。

 要するに、信じる者は救われるという宗教の大前提を実現しまくっているので、見合った対価を手にしているわけだ。

 当人は無自覚だろうし、それを誇るような真似もしていない。
 無欲の勝利、聖女……ではなく聖母らしい振る舞いが、自然と人々を惹きつけるのだ。


 閑話休題あふれるママみ


 そんなこんなで質問も終わった。
 クレセンキャットは護衛を引き連れ、この教会を去る。

「──では、私はこれにて。お二方、今回は本当にありがとうございます。アズル様、そしてツクル様……お二方に、月猫様の祝福があらんことを」

「失名神話の神々、御方々の祝福があらんことを」

「えーっと……祈っておくわね」

 三人それぞれ、お互いに祝詞を唱えてから解散という流れになった。
 ……ルリだけ少しアレなのは、他ならぬ彼女自身がその崇められている神様だからだ。

 ただ、ルリが祈った瞬間、俺たちにバフが掛かるエフェクトが発生。
 クレセンキャットと共に[ステータス]を見てみれば、一定時間の命運上昇が発生中。

「「…………」」

「?」

 命運、幸運とは似て非なる概念。
 だがそれゆえに、休人たちだけでなく原人たちもが彼女を崇め奉り、他の宗教団体や神話の神々も彼女に手を出せないでいる。

 バフの詳細を調べれば、たしかに記されている効果内容。
 そのうちの一つ──蘇生の確定成功、ルリ以外の神様には実現できない効果だ。

  ◆   □   ◆   □   ◆

 残されたのは俺とルリ、そして彼女を守護する騎士団。
 だがその騎士団も彼女の指示でこの場から外され、俺と彼女だけが残った。

「無制限部門、出るんでしょう?」

「そのつもりだけど……まさか」

「ううん、出ないわ。ちょっと、やるべきことがある気がして」

「…………物凄く不安になってきた」

「大丈夫よ。ちゃんと最後まで上手くいく、そんな気がするもの」

 裏を返すと、最後まで終わった後には保証が無いわけなんですけど。
 ……どうやら今回の闘技大会、一筋縄ではいかないようで。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

凡人領主は優秀な弟妹に爵位を譲りたい〜勘違いと深読みで、何故か崇拝されるんですが、胃が痛いので勘弁してください

黄舞
ファンタジー
クライエ子爵家の長男として生まれたアークは、行方不明になった両親に代わり、新領主となった。 自分になんの才能もないことを自覚しているアークは、優秀すぎる双子の弟妹に爵位を譲りたいと思っているのだが、なぜか二人は兄を崇め奉る始末。 崇拝するものも侮るものも皆、アークの無自覚に引き起こすゴタゴタに巻き込まれ、彼の凄さ(凄くない)を思い知らされていく。 勘違い系コメディです。 主人公は初めからずっと強くならない予定です。

【完結】捨てられ令嬢は王子のお気に入り

怜來
ファンタジー
「魔力が使えないお前なんてここには必要ない」 そう言われ家を追い出されたリリーアネ。しかし、リリーアネは実は魔力が使えた。それは、強力な魔力だったため誰にも言わなかった。そんなある日王国の危機を救って… リリーアネの正体とは 過去に何があったのか

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する

こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」 そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。 だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。 「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」 窮地に追い込まれたフォーレスト。 だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。 こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。 これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

運極さんが通る

スウ
ファンタジー
『VRMMO』の技術が詰まったゲームの1次作、『Potential of the story』が発売されて約1年と2ヶ月がたった。 そして、今日、新作『Live Online』が発売された。 主人公は『Live Online』の世界で掲示板を騒がせながら、運に極振りをして、仲間と共に未知なる領域を探索していく。……そして彼女は後に、「災運」と呼ばれる。

異世界は黒猫と共に

小笠原慎二
ファンタジー
我が家のニャイドル黒猫のクロと、異世界に迷い込んだ八重子。 「チート能力もらってないんだけど」と呟く彼女の腕には、その存在が既にチートになっている黒猫のクロが。クロに助けられながらなんとか異世界を生き抜いていく。 ペガサス、グリフォン、妖精が従魔になり、紆余曲折を経て、ドラゴンまでも従魔に。途中で獣人少女奴隷も仲間になったりして、本人はのほほんとしながら異世界生活を満喫する。 自称猫の奴隷作者が贈る、猫ラブ異世界物語。 猫好きは必見、猫はちょっとという人も、読み終わったら猫好きになれる(と思う)お話。

処理中です...