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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会開発技部門終了 その10
しおりを挟む女神のようにもてはやされているルリ様。
どうやらその知名度はかなりのもので、信仰値がカンストを超えてバグってしまうほどだったようだ。
「──他に質問はあるかしら?」
「……いえ、ございませんです」
その後、俺とクレセンキャットでいくつかの質問をしたのだが、どれも常識外れというか「わたし、何かしちゃいました?」みたいな感じの回答連発。
お陰で、クレセンキャットのテンションもかなり低下してしまった。
自分たちの布教をどれだけ頑張っても、さすがにそうはならんと分かるからこそだ。
ルリは布教したいと思っているわけじゃない、ただそこに存在するだけで自然と人々が崇め奉ってしまう……それだけのカリスマと実績を兼ね揃えている。
要するに、信じる者は救われるという宗教の大前提を実現しまくっているので、見合った対価を手にしているわけだ。
当人は無自覚だろうし、それを誇るような真似もしていない。
無欲の勝利、聖女……ではなく聖母らしい振る舞いが、自然と人々を惹きつけるのだ。
閑話休題
そんなこんなで質問も終わった。
クレセンキャットは護衛を引き連れ、この教会を去る。
「──では、私はこれにて。お二方、今回は本当にありがとうございます。アズル様、そしてツクル様……お二方に、月猫様の祝福があらんことを」
「失名神話の神々、御方々の祝福があらんことを」
「えーっと……祈っておくわね」
三人それぞれ、お互いに祝詞を唱えてから解散という流れになった。
……ルリだけ少しアレなのは、他ならぬ彼女自身がその崇められている神様だからだ。
ただ、ルリが祈った瞬間、俺たちにバフが掛かるエフェクトが発生。
クレセンキャットと共に[ステータス]を見てみれば、一定時間の命運上昇が発生中。
「「…………」」
「?」
命運、幸運とは似て非なる概念。
だがそれゆえに、休人たちだけでなく原人たちもが彼女を崇め奉り、他の宗教団体や神話の神々も彼女に手を出せないでいる。
バフの詳細を調べれば、たしかに記されている効果内容。
そのうちの一つ──蘇生の確定成功、ルリ以外の神様には実現できない効果だ。
◆ □ ◆ □ ◆
残されたのは俺とルリ、そして彼女を守護する騎士団。
だがその騎士団も彼女の指示でこの場から外され、俺と彼女だけが残った。
「無制限部門、出るんでしょう?」
「そのつもりだけど……まさか」
「ううん、出ないわ。ちょっと、やるべきことがある気がして」
「…………物凄く不安になってきた」
「大丈夫よ。ちゃんと最後まで上手くいく、そんな気がするもの」
裏を返すと、最後まで終わった後には保証が無いわけなんですけど。
……どうやら今回の闘技大会、一筋縄ではいかないようで。
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