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DIY、冒険を求める(続)
第二の箱庭 その25
しおりを挟む休人たちが試練に挑むためにも、俺は少しでもお巡りさんもとい魔工機士たちを足止めしなければならない。
アイテムは十全に売り捌いてあるし、試練の開始時刻も現実世界で休日の夜9時とそれなりに人が集まる時間だ……お昼ごろじゃないのは、忙しい大人のためだろう。
「さて、私たちも始めるとしますか」
『────』
「今頃、休人たちが再度試練に挑んでいる頃でしょう……ですが皆さんには、私との戯れにお付き合い願いますよ」
犯行予告(魔動機盤強奪)を差し向け、呼び出した魔工機士。
精鋭では無いものの、それなりの数をこちらに向けてくれていた。
ここしばらくの逃走の日々で、彼らの情報もある程度集まっている。
精鋭というのは、特別な魔動機盤を与えられている者たちのことだ。
その魔動機盤でのみ扱える、特別なプログラムを内包する優れた代物。
その担い手は現在、休人たちが向かった試練の舞台を抑えるべく戦っている。
「役不足、と言っても仕方ありません。貴方がたはこれまで、私を捕まえることなどできていないのですから……一度として、固有の力を持つ魔工機士が来なかったのは、少し残念ではありますが」
「……お前程度、俺たちで」
「おや? その程度扱い私を捕まえられないでいる無能さん、何か言いましたか?」
「っ、この──」「やめろ! 相手の挑発に無駄に乗るんじゃない」
特別な力を持っておらずとも、彼らは一般市民よりも強力な魔動機盤を与えられ、それに見合うだけの努力をしているはず。
青年ほどの魔工機士を煽ってみたが、ベテランと思われるダンディな魔工機士がそれを抑え込んだ…………くっ、ちょっとドラマみたいで盛り上がるじゃないか。
「……他の休人たちはここには来ません。そして、大半の休人たちと同様に私は試練が終われば現れなくなるでしょう。捕まえたいというのであれば、もしかしたらこれが最後のチャンスかもしれませんね」
「隊長、指示を……」
「ツクル、貴様を逮捕する。いかに休人と言えども、ターミナル破壊の罪を見逃すわけにはいかない。総員、特殊機盤の使用を許可する! ──なんとしても捕まえろ!」
『了解!』
特殊機盤、と呼ばれるナニカは人それぞれ形が異なっていた。
USBの形だったり、拳銃に籠める弾丸の形だったり……他にも手錠や警棒などなど。
そういった特殊な仕様の魔動機盤に魔力を流し、中に籠められたプログラムを起動していく魔工騎士。
それ自体は逃亡の中で何度も見ている。
魔力は身体の強化に回されたり、手にした武器の強化に回される──当たれば相手が致命的なダメージを受けるレベルで。
「単純、それゆえに面倒ですね。貴方がたのその諸刃の剣は。ええ、ええ、この身を以ってよく知っております。特殊機盤──量産品であると同時に、法により禁じられた魔物の素材を組み込んだ基盤……危ういですね」
警察が拳銃を持っていても許されるのと同様に、特殊機盤とは許可が求められる殺傷能力の高い魔動機盤。
だが、時間稼ぎをするのが目的な以上、健闘をしなければならない。
少々支払いが続いているので、前回と同じ手は使えない……今回は何をしようか。
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