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DIY、冒険を求める(続)

腐れ縁

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 冒険世界 始まりの街

 拓真からしばらく、運営公式イベントは無いだろうという話を聞いた。
 休人たちが盛り上がるナニカが有る時、イベントはあまり設けられないらしい。

「──まあ、そんなわけでな。いろいろと試しているが……どうしたらいいと思う?」

「…………自らを殺そうとした相手に、よく訊ねるな」

「それを言ったら、俺はこの世に生きるすべての存在を……アンデッドも含めたら森羅万象ありとあらゆる概念すべてに助言を求められなくなるんだよ。頼れる相手に頼る、時と場合を選んだ結果だ」

 場所はいつもの串焼き屋台、憮然とした表情を浮かべる『騎士王』に助言を求めた。
 俺の脱獄を阻んだ最後の敵、だがすでに脱獄した俺に過去は関係ない。

 何より、顔を合わせたからと言ってすぐに捕まえたり通報したりしない相手なので、俺もそこまで警戒をしていなかった。

 俺は星敵であり、それそのものが解除されることなど無い。
 だが『騎士王』は、命を受けていないという理由だけで何もしなかった。

「なあ『騎士王』、結局のところ俺ってお前さんを真っ向から倒せなかったわけだが……それができるヤツっているのか?」

「急にか……結論から言えば、条件次第だが能力値として私を超えるだけの出力を出すことができる者は何人か居る」

「おおっ…………って、嫌な言い方」

「出力だけですべてが決まるのであれば、私や【冒険勇者】などは決して星敵たちに勝ることは無いだろう。本来の、それこそ普通の星敵は高い能力値を有しているからな」

 まさに今、ちょうど『騎士王』の前に立つ星敵の能力値は千と少ししかない。
 だが星敵はボス──それもラスボスレベルの実力の持ち主だからな。

「そも、『騎士王』の権能はあらゆる資質を継承している。初代から連なる『騎士王』すべての力を引いている以上、負けは決して許されないのだ…………そういった意味でも、『生者』にはしてやられたものだ」

 核兵器──対抗できない科学毒とレベル差デバフで強引に弱らせ、何重にも拘束したうえで脱獄するため逃亡。

 こんなやり方でしか『騎士王』とやり合うことができなかったのだから、まだまだ真っ向から勝つことは難しい。

 もう核系の攻撃は通じないだろうし、似たような化学兵器も今回の経験である程度対策が設けられているはず……それができるからこそ、冒険世界最高の存在なのだ。

「まあ、この話はいいや。それよりさっきの件について意見を頼む。報酬は……おっ、来たみたいだな」

「くっ、今回もまたなんと香ばしい……いいだろう、だが報酬は内容次第で上乗せだ!」

 だが今は、友との語らいを楽しもう。
 串焼きに目を輝かせる『騎士王』に、そんなことを思うのだった。

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