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DIY、監獄ライフに勤しむ

脱獄実行 その23

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 無限……いや、無尽に武技を繋げるという常識外れなことをやりだした『武尽』。
 既存の武術から外れた戦闘スタイルに、俺は真っ向から挑むことを諦める。

「──『瀟殺の枯風』」

「ッ!」

「外しましたか……ええ、良かったです。それはとても危険なものでしたので」

「…………気は確かか?」

 風を封じ込めた『死天』のアイテム。
 触れたアイテムを朽ち果て、殺す死の風を怒涛のスピードで避けた『武尽』。

 これまでは何だかんだ、武人と対等な形で挑むやり方ではある。
 ラーニングやらもしていたが、それでも俺は『武』を用いていた。

 だがここからは、『道具』に頼る。
 そもそもの話、俺のメインは生産したアイテムを使うスタイルだしな。

「申し訳ありませんが、貴方の実力にこの本来のやり方を選ばざるを得ませんでした。ですので、恨むのであればご自身の強さをお恨み頂けますと」

「言ってくれる!」

「ええ、何度でも申しましょう。ここからが私の本気です──『轢殺の車輪』」

「ええい、ならばこちらも全力を以って潰すのみ!」

 俺が[インベントリ]から出したのは、巨大な車輪。
 勝手に自走し出すと、『武尽』をどこまで追いかけ轢き殺そうとする。

 一度目の回避でその仕組みに気づいたようで、すぐに側面からの破壊を試みだす。
 彼だけの権能、尽きることの無い武技の乱舞が容赦なく叩き込まれる。

 死の因果が付いている一点を除けば、基本的に生成の域を超えない『死天』アイテム。
 要するに耐久度が低いので、あっさりと壊されてしまう。

 ──だがそれは時間稼ぎ、本命はここからである。

「では、これで失礼を──『インストール:スウィープスイーツ』」

「な、甘味……だと?」

「さぁ、飴の雨にご注意を」

 空から降り注ぐ大量の飴。
 小粒程度にもならない小さな飴、だがそれに『武尽』が触れた瞬間──強烈な衝撃音と共に遠くへ吹き飛んでいく。

「ぐっ……これは!?」

「甘味の質に応じて、相手を吹き飛ばすことができる能力です。効果はしばらく持続しますので、存分にお楽しみください」

「うぐぐ……おのれ、『生者』ッ!!」

 本来の使い手がどう使うのかは不明だが、少なくともお菓子の冒涜はしないだろう。
 それでも俺は大量にストックしていた飴をドローンから落とし、吹き飛ばしに使った。

 まあ、逸脱した連中に使うのだから最高品質は大前提になるし、相手が結界を構築するような使い手ならば無駄になってしまう。

 防御系や回避系の武技は連発できず、攻撃系の武技もある程度解析が済んでいたからこそ、これを使う選択肢が取れたのだ。

「おっ、転送陣が出てきた……ずいぶんと飛ばされたみたいだな」

 この場から『武尽』が居なくなったと迷宮からの認知が取れたことで、次の階層へ進む転送陣が出現──彼が戻ってくる前に、さっさとこの場から退散するのだった。

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