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DIY、偽装工作に走る

魔導世界密入 その43

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 海を操り、創り出すことができる『八大星魔:真海の主』。
 それを相手取り、鎮圧するとこの場に居る他の『八大星魔』に語った。

 俺だけが前に進み出ることで、その意思を表明する。
 あちらはまだ人工の海を増やしている最中で、牽制はするが本格的な攻撃は来ない。

「というわけで──“術式鑑破”」

 残しておいた切り札の一つ。
 他者の術式を模倣、記録する『愚者の石』に保存しておいた『騎士王』の術式。

 発動すると対象が発動している術式に関する情報を、少しずつ暴いて還元してくれる。
 ──似たような術式やスキルはあるようだが、本来のそれには発動者用の制限がある。

 単純な話だ、人は機械と違ってそこまで膨大な情報を受け止められない。
 システム経由でもともと緩和はされているのだが、それでも限度があった。

 話を戻そう──要は『騎士王』の開発した術式に、その制限は存在しない。
 相手の情報隠蔽度合いで変化はするが、可能な限り最速で情報を暴き出す。

 ただし、処理に人体は耐えられず死ぬ。
 それでも情報そのものは[ログ]に記録され、『SEBAS』が再度解析を行い正しい形で術式の無効化を進めてくれる。

「そして──『ワイズマンブラッシュ』、加えて“術式模倣スペルトレース”だ」

 術式を模倣する、そんな『プログレス』の力で解析している術式をさらに調べていく。
 事前に調べている分、進行はより速く──完成はあっという間に。

「できた。さあ、勝負といきましょうか──“模倣術式03”」

『ッ……』

 模倣できた術式は、やはり予想通り人工的に海を創るためのもの。
 水を生み出し、塩分と金属を混ぜ、海としたうえで操るという代物だった。

 それを発動すると、遠くで『真海の主』が驚く声が漏れる。
 きちんと隠蔽されていたので、晒して良くても教えるつもりは無かったのだろう。

 そして、そんな術式を敵対しているはずの俺が使ったのだからそうなる。
 その隙を突くように、生み出した海水を飛ばし──あっさりと無効化された。

「まあ、そうなりますよね。所詮は猿真似、これ以上のことはできません。だからこそ、重ねるのです──“千変宝珠”」

 展開するのは無数の魔力球。
 属性や形状の指定はせず広げたそれらに、筆を当てて再度宣言。

「──“術式装填:模倣術式01”」

 03ではなく01、ゆえに『真海の主』は最大限の警戒をしてくる。
 自分の術式を03と呼称した以上、同等程度ではあると判断したからだろう。

 俺が飛ばした魔力球の尽くを、到達する前に海水で相殺していく。
 あわよくばその効果も確認したいのだろうが、この術式は相殺では発動しない。

 それからしばらくは、ポーションで魔力を回復しながら術式を飛ばすだけの時間。
 向こうも向こうで少しずつ海水を増やし、反撃の時間を待っている。

 ──それが満ちた時、そこが勝負だ。

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