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DIY、偽装工作に走る
魔導世界密入 その17
しおりを挟むついに、『求まれぬ道』らしき迷宮を発見した。
墓場の中に存在したその入り口に、俺たちは足を踏み入れ──
「……条件、忘れてたな」
──ていなかった。
正確には、入る直前でUIが表示されて俺の視界を塞いだのだ。
いつかのアップデートにより、持っている[称号]によって迷宮に入る前にそこが迷宮か分かるようになった……きっと、休人たちが多くのイベントに巻き込まれたからだな。
「書いてある条件を満たしていれば、入れるわけだな……『犯罪者であること』だけ、これ大丈夫か?」
《──旦那様は現在、星に指名された犯罪者となっておりますので……》
「条件は満たしているわけだ。というか、それだけなら少々あくどいことをしている奴はほとんど入れそうな気がするんだが?」
《最低限の条件のみとし、来る者拒まずとすることに意味があるのでしょう。それこそ、用途は様々でしょうし》
仲間として迎え入れる、あるいは……実験の対象としてトラえるか。
犯罪者であればどうしてもいいというわけでもないだろうが、ここはそういう場所だ。
「メリットもデメリットもあるわけだな……さて、消えるかもしれないし、さっさと入るとしますか」
確認を終えたので、迷宮の内部へ。
なお、条件を満たしていない場合入れないのは当然のこと、場所によっては迎撃をされたり警鐘を鳴らされたりしてしまう。
今回は条件を満たしており、また迎撃にそこまで力を入れていない場所だからか何も起きない──そして、俺の存在はこの場から消え去った。
◆ □ ◆ □ ◆
迷宮『求まれぬ道』
そこは不思議な世界だった。
バラバラな空間、継ぎ接ぎと例えるのが相応しいだろうか。
建て方の異なる住居群だけでなく、一部分だけの樹海。
先ほどまで居た場所に似た墓場や、船の浮かぶ湖のような場所なども存在する。
「『SEBAS』、これは……」
《建築様式や景観から、各魔道の要素を見受けられます。おそらく、それぞれの魔道の神秘性を体現しているのでしょう》
「術式の行使にそれが必要だから、ってのも理由の一つか。あとは単純に、そうして術式の研鑽を積んでもらう方が都合がいいんだろうな……伸ばした分、他に対抗できるし」
たしか、ここに居るであろう『八大星魔』の『必要悪』が求めているのは対魔導士の術式だったはず……強力な術式を創らせ、その対抗術式も創れば一石二鳥だ。
「っと、そうだった。見つからないようにしないと」
『──もう遅い』
「ッ!?」
今の俺は完全な透明化は行っていなかったが、それでも『騎士王』の“孤絶ノ衣”を発動して存在を周囲から遮断している。
だがそれでも、声の主は何らかの方法でそれを暴いた。
そして、転移で的確に俺をどこかへ連れ出そうとし──
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