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DIY、偽装工作に走る
第二回プレオープン その09
しおりを挟む指令室
反則ギリギリ、『プログレス』の管理者権限で休人たちの[ログ]を漁った。
本来なら使えないが、操られていた彼らには特例事項が該当したのだろう。
「──さて、気を取り直して監視だな」
招いた休人は彼らだけじゃない。
他にも何か細工をされた休人が居ないかどうか、しっかりと探っていく。
時限式の細工だった以上、問題が起きてからでないと分からない……では困る。
すでに[ログ]を『SEBAS』が解析して、判別方法を探ってくれていた。
「対象を[ログアウト]処理できない状態にする、そんな『プログレス』もあるのか……本当に多様性に溢れているな」
今回使われたモノかは分からないが、調べる中でその『プログレス』もあるとのこと。
肉体から魂を隔離する、そのうえで行動できなくするという特殊過ぎる仕様だ。
原人にも効果はあるらしく、一時的な蘇生阻害になるらしい。
……それはそれで、敵に回すと面倒そうな能力だよな。
「俺も気を付けた方がいいよな、『生者』はあくまで死に戻りの高速化だけだし」
特殊な蘇生権能があるわけではなく、あくまで休人ならば誰でも使える死に戻りに手を加えるのが『生者』の権能だ。
ゆえに、闘技場などでは死に戻りした時点で退場なので使えなかったし、死に戻り自体が封じられる環境では再起は困難だろう。
「…………まあ、そういうことを考えるのもゲームの相性勝負みたいで面白いけどさ」
多様性には多様性で、俺だからこそ可能なメタ張りがある。
それを今度試して……と、モニターに変化があったな。
「進入禁止区域への強行突破か……これは、正直どっちか分からんな」
自発的なものなのか、何者かの意図が絡んでのことなのか。
いずれにせよ、人形を介して警告を出してもなお行うのならば仕方がない。
「エクリ、状況は理解しているな?」
『はい、現場へ急行しております』
「話が早いな。今回は初犯だ、捕縛したうえで注意。見せしめに寄生アイテムを装着させて、噴水前に放置しておいてくれ」
『畏まりました』
寄生アイテム、要は着用者の意思を無視して強制的に装備されるアイテムだ。
広義の意味では『プログレス』もまた、外せないという理由でこれに含まれる。
まあ、今回着けさせるのは『反省中』と書かれた板状の装飾具なのでそこまで酷くは無いと思うが……ただし、とんでもないデバフ付きの。
「一度目は許そう、人形が付いていない人もこれから来るわけだし。見せしめで充分に理解してくれるだろう……だが、二度目からは容赦しないからな」
あっさりとエクリに捕縛され、休人は連行されていった。
これでもう何も無ければいいんだが……無理だろうな。
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