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DIY、偽装工作に走る
第一回プレオープン その10
しおりを挟む本の隠し方について『学者』と語り合う。
お互い、情報の重要さについて分かるうえ広めることに頓着が無い……『騎士王』にバレないよう、あの手この手を使うつもりだ。
「──さて、皆さん楽しんでいただけましたでしょうか? お渡ししましたお土産を、胴か忘れずにお持ち帰りください」
その辺は後で実行するとして、一先ずは彼らを元の世界に戻すことに。
アイスプル名物の品々を詰め込んだ袋を渡し、転移門まで連れて行った。
「ああ、充分に満足させてもらった。それにこれ……販売するのか?」
「いえ、こちらでご招待した客人に限ってのプレゼントですかね。中身の方、これの数が少々問題となっています」
「…………まあ、これではな」
袋の中には、神・世界樹から得られた素材がふんだんに詰め込まれている。
きちんと厳選されており、持ち出されても希少性以外の問題は無いはずだ。
分からない人でも凄さが分かり、分かる人には存在する意味が理解できる代物。
世界樹が存在している、それだけでその星はある意味繁栄を約束されているのだ。
なお、お土産というより贈答品なので中身に関してはお値段はなんとタダ。
特に目を輝かせていたのは『錬金王』コンビと『白氷』……用途は違うだろうけど。
「貴公の誠意、理解させてもらった」
「ええ、であれば──」
「相応の誠意をこちらも返すしかあるまい。その承認として、わざわざ彼らもまた招待してもらったのだからな」
まあたしかに、いろんな方面に顔が効きそうな人たちばかりだ。
彼らの厚意を得られるのであれば、案内した甲斐があったわけだな。
「──では、またいづれ」
「はい、ありがとうございました」
頭を下げている間に、続々と転移門を潜りこの世界から去っていった。
しばらくしてから頭を上げると、ようやく緊張の糸を解せると一息吐く。
「ふぅ……これで良かったか?」
《はい。百点満点とは言えませんが、目的は達成できました》
「やっぱりパーフェクトは無理か……どの辺がダメだったか?」
《『騎士王』が旦那様と『学者』の会話を一部、掴んでおります。使い魔を図書館へ差し向けようとしておりました》
していた、ということはきちんと防衛はできたようだな。
あそこには特殊な区画もあるので、その辺はきちんと対策してあるのだ。
とはいえ、やはり知識があると堂々と示すのは危険だろうか。
しかし、散らす方が危険だと言われていたので図書館に一纏めにしてあるわけで。
「いっそ、図書館の中に迷宮でも創った方がいいか?」
《それも良いかもしれませんが、異なるアプローチを考えましょう──木を隠すなら森の中、本の中に本を隠すという『学者』のアイデアは参考になります》
「魔本か……まあ、考えてみるか」
今までは再使用可能なスクロール、ぐらいの認識しか無かった魔本だが、どうやら異なる用途もあったようで。
今回のプレオープン、初回にしては上々の成果が出たな。
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