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DIY、刺客に抗う
生産世界初訪 その02
しおりを挟む冒険世界 始まりの街 生産ギルド
生産世界へと向かうことを決めた俺。
ただ、そのためにはいろいろと準備することがあって……それらの処理を済ませるために、俺は一度冒険世界を訪れていた。
「──そうかい、ついにねぇ……」
「あの、そこまでの反応をされることとは思わなかったのですが……」
「君が謎の伝手を持つ『騎士王』様からの援助もあってね、ある程度は持たせられていたよ……でも、そろそろ限界みたいだった」
「それでこのタイミングで、私が進んで伝えに来たことを歓迎してくれたのですか」
生産ギルドの奥、ギルド長室にて中性的な子供(の姿をした者)と話す。
いつもお世話になっているからこそ、伝えるべきことは伝えておく。
「えっと、君の条件はたしか──」
「そのことですが、少し修正を加えたいのです。場所はここではなくあちらで、これだけで向こうも諸手を上げるのでは?」
「たしかにそうだろうけど……君はそれで大丈夫なのかい?」
「ええ、情報に関しては今までとスタンスを変えるつもりはありません。ただ──奪えるものなら奪ってみろ、そういって焚き付けてみてください」
うわぁ、といった表情のギルド長。
だが分かっているのだろう、職人気質と思われる彼らにその挑発が有効的だと。
「……うん、結果は見えているね。それで、わざわざそんなことを言うんだ──代わりの条件、それを聞かせてもらうよ」
「話が早くて助かります」
「希少なアイテム、向こう特有の職業やスキル、そして生産技術……いろいろとあるけど何を求めるんだい?」
「──各世界とのパイプを、それだけで私は充分です」
現在、アイスプルは冒険世界と夢創世界、そして遺失世界である幽源世界と幻滅世界とのアクセスが可能になっている。
そしてその逆、休人たちが初期選択により向かうことのできる世界──魔法世界、武闘世界、生産世界などには向かえない。
理由は定かではないが、『SEBAS』が探ったところ【救星者】を警戒しているとのこと……冒険世界は『騎士王』が居るし、夢創世界も何らかの理由で認められている。
だいぶ前に、魔法世界から『愚かな賢者』が来たことがあったが……俺が何らかの手段で向こうの世界に行っても、すぐにバレて追放されてしまうだろう。
「とりあえず、今回の来訪は他でもない生産世界の民が望んだこと。一時的な滞在ぐらいは許されるでしょう……」
「でも、君は『超越者』だもんね。あんまり長居は向こうもされたくないのか」
「ええ、ですのでそれを報酬とさせます。少なくとも、一度の訪問においてある程度自由な行動を認める。星の名の下、管理者権限を持つ者たちにそれを周知させたいのです」
「…………とりあえず、打診はしてみるよ。さすがにこれは……って、ある意味これが一番の時間稼ぎになるかもね」
そうして待つこと……たった一日。
まさかの許諾を得て、俺は生産世界へ向かうことになった。
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