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DIY、シンコウに備える

魔王防衛策 その08

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 ショウの斬撃によって、結界に綻びた穴。
 水上歩行や飛行が可能とする魔法により、休人たちは早急に[ギフチャージ]を討伐するべく前線へ向かう。

 その目的は単に討伐をすることだけではなく、もっとも功績を残したうえで倒すこと。
 たった一人のみが得られる特典を求め、彼らは──死に戻りする。

「……はっ?」

 次々と消えていく休人の姿に、船の上からその様子を見ていた者たちから息が零れた。
 原因が分からない、少なくとも光が放たれた様子は無かったはず。

 船はその動きを止めることなく、着々と前に進みつつある。
 魔族大陸に近づくにつれて、その正体が明らかとなっていった。

「…………まだ、居たのかよ」

 彼らは総じて、同じモノを見た。
 光の玉が輝き、その頭上に浮かび上がった文字の羅列──その同類を。

 記された名は『黒淵穴亡[エクリエンド](再)』、それは光源から生じるほんの僅かな陰に潜んでいた。

「名前と状況からして、闇か影を操るような存在か……そしてそれは、[ギフチャージ]のせいでどこまでも拡大できる。チッ、本当に遊ばれてやがる」

 呟いた通り、その気になればどこまでも光が影を伸ばすことだろう。
 そして、その影を通じて[エクリエンド]が攻撃を行えばあっさりと全滅だ。

 しかしそれを行わない。
 船を直接破壊しないのと同様、何らかの制限を設けているか……あるいは、こちらを舐めているからこその選択なのだろう。

「光線は例の少年が何とかしてくれるだろうが、特典欲しさに闇の方へ突っ込んだ連中はどうしようもないにせよ……対策が何か必要になるな」

 今は行っていなくとも、相手の行動次第ですぐにでも[エクリエンド]からの攻撃が行われる。

 現状、[ギフチャージ]に手を出さなければ[エクリエンド]からの攻撃は来ない。
 だが、何もせずとも[ギフチャージ]からの光線は飛び続ける。

 また、光線も一定間隔で一定本数だからこそ対処ができていた。
 船が近づくにつれ、その数も少しずつ増えつつある。

「ここまでくれば……行けるぞ、やってやろうぜ──『マナキャンセラー』!」

「おう──『エクストラエクステンド』!」

 そんな中、休人二人組が前に進み出た。
 一人が展開した結界を、もう一人がさらに拡大する。

 そこに放たれた光線。
 結界はそれを防ぎ──何も起きない。
 これまでは防御も貫通し、術者を殺していたが……それを防ぎ切る者が現れた。

「一日に一度だけの俺の必殺技、本当なら少ししか防げないが──」

「それを俺の必殺技で広げてやるってわけ。さぁ、船を飛ばしてくれ! そんなに長くは持たないぞ!」

 魔力現象の一切合切を無効化する、あらゆる事象の規模を超拡大する。
 そんな『プログレス』を保有する二人組の活躍で、船は妨害を超えて上陸した。

 休人たちは甲板から降りると、地に足を付け──討伐へと向かう。
 相対する固有種たちもまた、討伐されまいと反撃を行うのだった。

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