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DIY、家族と戦う
第二回家族イベント前篇 その20
しおりを挟むマイ、そして聖獣と魔獣王による三位一体の連携攻撃。
従魔師の補正もあって、かなりの効果があるはず。
──だがそれでも、ルリの障壁に罅を生む程度にしかならなかった。
≪な、なんということでしょうか……ルリ選手、マイ選手の攻撃を完封!? しかも、障壁が受けたダメージも、すぐさま修復されているぞ!≫
《障壁の色が変わっています。どうやら、聖気への変換を止め、神気として障壁を構築したようです。障壁の再生は、あの防御力にしてなお余ったリソースの一部が、自然と修復に使われているからでしょう》
絶対的な壁、ルリはマイにそれを見せた。
大半の者であれば、その時点で挫折していたことだろう──破壊が困難なのに即座に修復……絶望的でしかない。
それでもマイは──諦めない。
再び従魔たちに多くのバフを施し、攻撃すると思った……瞬間、彼女たちは光を放つ。
≪こ、これはいったい……≫
《──従魔師の奥義、その一つにこのような現象を生みだすものがございます。それは、信頼関係を築いた従魔とのみ可能な合体や融合と称される技術です。もし、先ほどの現象がそれに当たるのであれば……》
≪まだ可能性は、ある?≫
光が収まり、やがて彼女は姿を現す。
マイによく似た長身の女性──ルリによく似た、ちょうどマイが大人になったらと思えるような美人さん。
ただ、絶対的にありえないと思うのは、頭に生えた狼の耳と尻尾。
獣人を選んでいたマイだったが、どの動物由来かは分からないものだった。
それに手から伸びた真っ黒な爪……こっちはまあ、可能かもしれないけど。
ともあれ、それらは聖天狼と闇黒熊の性質なのだろう。
≪せ、『SEBAS』さん、これが?≫
《間違いありません──“人魔一律”、本来であれば困難な相反する存在をも同時に取り込み強化する【調律姫】の能力です》
≪……そのデメリットなどは?≫
《制限時間ぐらいでしょう。多くを同時に取り込む場合、その時間は著しく減少するとのこと。聖獣と魔獣の王を同時に取り込んだとなれば、おそらくかなり短いはずです》
短期決戦のようで、マイはすぐさま結界を攻撃──すぐに罅が入り、そして修復。
だがマイは連撃を叩き込む、ルリはただそれを見ているだけで何もしない。
そのまま攻撃を続け、だんだんと、罅が広がっていき──障壁を打ち破る。
勢いのままに、マイは攻撃を……しようとしたところで、光の鎖が彼女を縛った。
≪ここでルリ選手、ついに動いた!≫
《障壁を鎖に変形、動きが取れなくなったマイ選手に、アレを破壊することはほぼ不可能でしょう》
藻掻いてはいるが、ルリは鎖を操作してそのまま舞台の下へ。
創作物なら、ここで覚醒でもするかもしれないが──ルリにそれは通じない。
≪試合終了、場外にてルリ選手の勝利!≫
《相手に何もさせないのではなく、自由にさせたうえでの勝利でしたね。果てして、ショウ選手にこれを攻略する術はあるのでしょうか……見物です》
≪決勝戦は明日行います! 皆さん、本日はこれにて終了です!≫
そんなこんなで、準備期間を挟んで決勝戦が行われる。
ルリ……彼女がこの戦いの果てに望むのはいったい、何だというのだろうか?
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