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DIY、お祭りを満喫する
聖獣祭終篇 その08
しおりを挟む──侵雪蝕界[スノウエスト]。
かつて、世界に現れた災凶種。
氷属性の微精霊だったソレは、あるとき突然変異した。
その理由が何なのか、一説によればそうなる直前に足を踏み入れた者が居たそうだが、それがどう関わるかは不明だ。
現在も『侵雪』と名の残るその現象は、過去に振り撒かれた雪の残滓である。
触れたモノを奪い、閉じ込め、喰らい──雪は無限に増えていった。
《──そして、最終的には当時の精霊種の頂点や特級職業によって封印されました。封印は神々に回収されましたが……現在のように用いられているのですね》
「ふぅ……頑張りますか──“華焔”」
その手に仙丹を変換した炎を宿して、厄災に向き合う。
あくまで模造品、意志のようなものは感じられない……当時の動きをなぞるだけだ。
それでも存在感、やっていることは同じなのでその死の予感は本物だろう。
結界を張っていなければ、すぐにでも俺は当時の人々と同じ悲劇を味わっていた。
俺が火を燈したのは、何もしなければ雪の猛威が結界にも喰らい付いていたから。
魔力を蝕む雪は、俺を包む結界をも取り込もうとしていた。
「だからこそ──“灼凪嵬”、“炎天渦”」
炎の量を増やし、結界の周辺の領域を確保していく。
自然エネルギーである仙丹を用いる以上、普通に魔法を使うよりかは効果が出ている。
本物が相手だったらどうなったか分からないが、模造品である以上成長や発展などはしないだろう……少しずつ、可能な限り自分に有利な状況を広げていく。
「とりあえず一発──『火竜の呑柱』」
奇しくも、一度目の獣神様の神練で得られたアイテム。
火竜が放った息吹、それを再現できる筒の形をした魔道具だ。
魔力……の代わりに残っていた仙丹を流し込んで起動する。
ただのアイテムではなく、『死天』の権能で生み出したからこそできること。
魔道具は仙丹を用いたアイテム──宝具となり、その性能をさらに高める。
そして、筒が尋常ではないほどに熱を帯びると……空間を焼き焦がす火を噴き放つ。
俺は自死ならばどれだけ死んでも構わないし、聖獣様も結界で守られている。
つまりこの空間ごと攻撃しても、被害を受けるのは[スノウエスト]のみ。
だからこその大火力攻撃、普通の攻撃が通らない精霊の災凶種でも、自然エネルギーで攻撃すれば通じるだろう……そう思っていたのだが。
《攻撃の全吸収を確認。攻撃は雪に変換されました》
「……吹雪いてきましたね」
ただ闇雲に攻撃しても、『侵雪』が増えていくだけのようだ。
ちゃんとした攻略法を見つけないと……どうすればいいのだろうか。
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