1,269 / 2,712
DIY、一先ず配達終了
ラグナロク後 その04
しおりを挟む「──まあ、しばらくは後回しだな」
いかにもな台詞を『SEBAS』と考えて言ってはみたが、結局調査をしてもらってから実行する予定なので、俺がすぐにやるべきことはない。
とりあえず今は、ラグナロク後の宴会を楽しむことにしよう。
時間帯はすでに夕刻、死者たちが蘇って宴に参加していた。
ヴァルハラは特殊な小世界で、たとえ死のうと夕方になれば生き返ることができる。
休人でなくとも、それができるというのはかなりの利点ではないだろうか?
「だいぶ酔いが回っているみたいだな」
神様用のお酒を配りまくった俺だが、何度も死に戻るので酔いはリセットしている。
それ以前に、酒の成分が悪かったからか酒自体で死んだりもしていた。
なので冷静な視点で、周りが盛り上がっている様子を眺めている。
そして、あることを思い付いてさっそく実行に移してみる。
「簡易屋台──展開」
魔道具として圧縮しておいた屋台を、ワンタッチで用意した。
その物珍しさから集めってきた者たちの前で、[ストレージ]からアイテムを出す。
「それじゃあ、今から料理を作るぞ! 欲しかったらここに並べ!」
「おい、何を作るんだよ!」
「何って……どんな奴でも食べられる物だ」
現在、ラグナロクの会場であるヴァルハラには多種多様な存在が居る。
普通の人族は俺だけ、他は死者だったり神様だったり……巨人なんかも居た。
「よっそっほっと……」
タイミングよく食材を引っ繰り返し、ドバドバと真っ黒な液体を零す。
それが焼けた匂いが当たりに漂うと、周囲の者たちがそれに反応して……寄ってくる。
後は簡単だ、パフォーマンスをしながら料理を完成させるだけ。
あとは向こうから、その連鎖効果で集まってくる。
現在、料理をその場で作るという行為はここでしか行われていない。
戦闘中に料理は用意されており、ルーンで保存されていたのだ。
わざわざ料理を作ることで、客はどんどん集まっていく。
そして、その中には巨人なども含まれているので──見せる。
「それじゃあ、行ってみよう!」
『おぉーーッ!』
大きな鉄板の上でジュージューと焼けていくソレに、これまた大きな素材を入れてはかき混ぜていく。
ただ、これは自分ではできないので、すべて『ミラクルハンド』と『ワンダーハンド』で持ち上げてやっています。
それ以外はすべて他の種族用の料理と同じように、盛り付けて配っていく。
「──はいよ、焼きそばお待ち!」
誰もがその美味さの虜になっていく。
やはり、祭りといえばこれに限るな……お陰で俺も得をしているよ。
10
お気に入りに追加
643
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
凡人領主は優秀な弟妹に爵位を譲りたい〜勘違いと深読みで、何故か崇拝されるんですが、胃が痛いので勘弁してください
黄舞
ファンタジー
クライエ子爵家の長男として生まれたアークは、行方不明になった両親に代わり、新領主となった。
自分になんの才能もないことを自覚しているアークは、優秀すぎる双子の弟妹に爵位を譲りたいと思っているのだが、なぜか二人は兄を崇め奉る始末。
崇拝するものも侮るものも皆、アークの無自覚に引き起こすゴタゴタに巻き込まれ、彼の凄さ(凄くない)を思い知らされていく。
勘違い系コメディです。
主人公は初めからずっと強くならない予定です。
【完結】捨てられ令嬢は王子のお気に入り
怜來
ファンタジー
「魔力が使えないお前なんてここには必要ない」
そう言われ家を追い出されたリリーアネ。しかし、リリーアネは実は魔力が使えた。それは、強力な魔力だったため誰にも言わなかった。そんなある日王国の危機を救って…
リリーアネの正体とは
過去に何があったのか
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する
こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」
そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。
だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。
「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」
窮地に追い込まれたフォーレスト。
だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。
こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。
これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。
運極さんが通る
スウ
ファンタジー
『VRMMO』の技術が詰まったゲームの1次作、『Potential of the story』が発売されて約1年と2ヶ月がたった。
そして、今日、新作『Live Online』が発売された。
主人公は『Live Online』の世界で掲示板を騒がせながら、運に極振りをして、仲間と共に未知なる領域を探索していく。……そして彼女は後に、「災運」と呼ばれる。
異世界は黒猫と共に
小笠原慎二
ファンタジー
我が家のニャイドル黒猫のクロと、異世界に迷い込んだ八重子。
「チート能力もらってないんだけど」と呟く彼女の腕には、その存在が既にチートになっている黒猫のクロが。クロに助けられながらなんとか異世界を生き抜いていく。
ペガサス、グリフォン、妖精が従魔になり、紆余曲折を経て、ドラゴンまでも従魔に。途中で獣人少女奴隷も仲間になったりして、本人はのほほんとしながら異世界生活を満喫する。
自称猫の奴隷作者が贈る、猫ラブ異世界物語。
猫好きは必見、猫はちょっとという人も、読み終わったら猫好きになれる(と思う)お話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる