上 下
823 / 2,712
DIY、就職活動へ

鑑定の仕組み

しおりを挟む


 鑑定を行い、着実にレベルを上げていく。
 俺には“職業系統樹”があるので、職業にその先があるかどうかだけは理解できる。

 そして【高位鑑定士】にも、先があった。
 ただし正当進化である【鑑定王】は、誰かが先に就いているため就くことができない。

「そして、複合的な条件を持つ派生職業には就くことができない……だって、だいたいスキルが条件なんだから」

《【高位鑑定士】のレベルは、ただ鑑定するだけでは途中で止まってしまいます。複数の種類──人や魔物、アイテムを万遍なく鑑定することが条件となります》

「まあ、それぐらいならどうとでもなる……ただ、時間が掛かりそうだな」

《旦那様の鑑定では、隠蔽スキルを看破することは難しいですからね。そのうえ、下位のスキルである(鑑査瞳力)が失われたことで、さらに鑑定率が低下しておりますので》

 無くともどうにかなるが、有った方が鑑定の成功率は上がる。
 初期のスキルセット枠、そしてそれに伴う制限もあるが……そこは無縁だな。

 職業を重ねれば重ねるほど、あとでセットできなくなる数が増えるのだが……本当、システム外に取り残されているよな、俺って。

「アイプスルの魔物たちにも協力してもらって、とりあえず魔物の鑑定を済ませよう。あとは外で……これ、犯罪だっけ?」

《許可なく鑑定を行う行為は、町中では禁止されています。また、外で行った場合も最悪難癖を付けられ殺されますね》

「俺なんか、鑑定された側なのに殺されるのに……なんか理不尽だな。しかも、ちゃんと情報は送られる死」

 あながち間違っていない送信による死亡。
 これによって得られる『死天』製のアイテムも……あっ。

「これ、どういう効果だっけ? 鑑定で殺された場合に出てくるヤツ」

《効果は魔力波を送り、相手の波長を狂わせて殺すというものです。鑑定とはあまり関係が無かったため、話には挙げませんでした》

「……思いのほか、残虐な方法で俺って殺されてたんだな。一瞬だから気づかないけど、その一瞬でそんなことが起きてたのかよ」

《鑑定は魔力によって個人情報を開示させ、それを閲覧する権限のようなモノです。隠蔽の方が権限が高ければ、情報は開示されず閲覧はできません》

 権限のチェックのために魔力を用い、それが理由で死んでいたと……だからこそ、同様に生みだされるアイテムもそうなるのか。

「俺が指向性を持たせたら、変化を持たすことはできないか? せめて、カウンター式に鑑定を行うようにするとか」

《…………なるほど、可能かもしれません。鑑定そのものは、私やカエンでも行うことができます。試してみましょう》

 まあ、それとは別にアイプスルへ戻らなければならない……うん、なんだか最近はレベリングが楽しくなってきたな。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

凡人領主は優秀な弟妹に爵位を譲りたい〜勘違いと深読みで、何故か崇拝されるんですが、胃が痛いので勘弁してください

黄舞
ファンタジー
クライエ子爵家の長男として生まれたアークは、行方不明になった両親に代わり、新領主となった。 自分になんの才能もないことを自覚しているアークは、優秀すぎる双子の弟妹に爵位を譲りたいと思っているのだが、なぜか二人は兄を崇め奉る始末。 崇拝するものも侮るものも皆、アークの無自覚に引き起こすゴタゴタに巻き込まれ、彼の凄さ(凄くない)を思い知らされていく。 勘違い系コメディです。 主人公は初めからずっと強くならない予定です。

【完結】捨てられ令嬢は王子のお気に入り

怜來
ファンタジー
「魔力が使えないお前なんてここには必要ない」 そう言われ家を追い出されたリリーアネ。しかし、リリーアネは実は魔力が使えた。それは、強力な魔力だったため誰にも言わなかった。そんなある日王国の危機を救って… リリーアネの正体とは 過去に何があったのか

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する

こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」 そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。 だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。 「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」 窮地に追い込まれたフォーレスト。 だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。 こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。 これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

運極さんが通る

スウ
ファンタジー
『VRMMO』の技術が詰まったゲームの1次作、『Potential of the story』が発売されて約1年と2ヶ月がたった。 そして、今日、新作『Live Online』が発売された。 主人公は『Live Online』の世界で掲示板を騒がせながら、運に極振りをして、仲間と共に未知なる領域を探索していく。……そして彼女は後に、「災運」と呼ばれる。

異世界は黒猫と共に

小笠原慎二
ファンタジー
我が家のニャイドル黒猫のクロと、異世界に迷い込んだ八重子。 「チート能力もらってないんだけど」と呟く彼女の腕には、その存在が既にチートになっている黒猫のクロが。クロに助けられながらなんとか異世界を生き抜いていく。 ペガサス、グリフォン、妖精が従魔になり、紆余曲折を経て、ドラゴンまでも従魔に。途中で獣人少女奴隷も仲間になったりして、本人はのほほんとしながら異世界生活を満喫する。 自称猫の奴隷作者が贈る、猫ラブ異世界物語。 猫好きは必見、猫はちょっとという人も、読み終わったら猫好きになれる(と思う)お話。

処理中です...