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DIY、流れて交わる
霊体の問題 その03
しおりを挟む「分かった、とりあえず装置については直してみよう……場所は?」
「……本当に、直るのですか?」
「さぁな、実際に行ってみてみないと確実なことは言えない。ただまあ、俺に直せないのなら、それこそ製作者本人か神様でも居ないと無理だとは思うぞ」
「……分かりました、すべてお任せします」
そうされても困ると言いたかったが、ここはそのまま聞き流して座標を知る。
すぐに『SEBAS』がドローンに転位装置を持たせて運んでくれるので、話が終わり次第無いようによってはすぐに向かえるな。
「それで、他の問題とはいったい」
「……我々のような霊体の他にも、幽魔と呼ばれる存在が居ます。他の世界で言うところの、魔物などが該当しますね」
「幽魔ね……どういう生体なんだ?」
「先ほどの例を使うのであれば、魔核の代わりに霊核と呼ばれる器官を心臓代わりに生きています。なお、これは我々も同じです。違いはその霊核が汚染しているかどうか……ただそれだけです」
冒険世界の人々に、魔物が持つ魔核のようなモノは存在しない。
竜人族という種族は、竜族が持つ第二の心臓──竜核という器官を持つらしいが、魔核は魔族だけの特権だ。
魔物が知性を得ると魔族と呼ばれ、さらに人になる術を得ると魔人族になる。
その子供は生まれながらの魔人族で、魔核も持っている……チート種族だ。
まあ、今は魔核云々の話から戻るが、霊核とはつまり心臓と同義なのだろう。
ただし魔核とは違い、心臓そのもの……破壊された瞬間に死亡する。
「そんな幽魔がどうかしたと」
「外部からの力に頼れなくなった結果、少しずつ幽魔の数が増えていった。次第に奴らの支配領域が増えていき、すでにこの世界の大半が奴らのものとなっている」
「この世界にも強い奴はいるはずだろう?」
「……数の問題です。いくら英雄が数千を相手取ることができようと、万全の態勢での話です。あまりに数が多くなっていた……故に我々はバラバラになり、少しずつ数を減らしていきました」
ガイドたちの集団は、幽魔たちが現れない最果ての地──つまり初期地点まで逃げ延びてきたが、それ以外の集団は住処を守ったり逆に攻め入ったりをしていたんだとか。
「それで、俺に何をすればいいと? さすがにすべての幽魔を屠れなんて無理難題は言わないでほしいんだが……」
「そうではなく、他の場所を見て回ってもらいたいのです。家族や友人と生き別れた者はもちろん、情報共有をしたいのです……はるか昔に別れてしまった者たちですので、あまり期待はできませんが」
「なるほど。いろいろと確認したいことはあるが、これだけは言っておこう──了解、やれるだけやってみるさ」
それから情報をいくつか集め、さっそく作業を始めることに……うん、つまりは他力本願なドローン派遣である。
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