514 / 2,712
DIY、試練を受ける
当千の試練 その02
しおりを挟む映像の中で、古代人たちは健闘していた。
強化された魔物たちを相手に、武器や魔法で抵抗を続けている。
「ふむ、なんだか俺が悪役のように感じられるな。この、なんとも言えない戦いを傍観している感じ……ボスっぽいな」
《悪の首領といったところでしょうか?》
「ああ、そう。そんな感じだ……おっと、ついに来ちゃったか」
手元のボタンを操作し、対応するカメラを持つドローンが持つある装置を作動させる。
するとそのカメラの中で、霧状のナニカが噴出された。
「やっぱり魔物の方が強い場合があるな。予め伝えておいたが、あんまり無茶はしてほしくないよ」
レベルの高い魔物に挑み、ダメージを受けた古代人にスプレー状のポーションを吹きかけたのだ。
原液はさすがにアレだが、それでも千切れた腕を接着するぐらいの効能はある。
魔物から受けたダメージに苦痛の表情を浮かべていた古代人だが、ポーションで癒えたことを知ってすぐに反撃へ移る。
槍を勢いよく突きだすと、それまでに受けたダメージもあって魔物は絶命した。
「俺には到底できないな。痛覚を遮断しているからできるけど、苦しいのにどうして戦い続けれるんだろう?」
《彼らには守るべきモノが背にあります。旦那様も家族が後ろにいれば》
「──ああ、この命が果てようとも抗い続けるだろうな。この世界なら、先に家族を転移させるか結界を構築してからか」
痛みなんてなんのその、たとえ体がグチャグチャになろうと──家族が逃げるだけの時間を、用意することになるんだろうな。
現実だと……どうだろう、囮役の俺よりも子供が活躍する未来しか見えてこない。
「おっと、こっちもそっちもか……少し自動化した方がいいかもしれないな。それじゃあ『SEBAS』、さっそく頼む」
《畏まりました》
映像の中で少しずつ傷を負う古代人たち。
彼らの傷の程度に合わせ、『SEBAS』が的確な量のポーションをかけていく。
最適な量で施されるポーションは、彼らの傷を確実に癒していった。
「奥に行けば行くほど、強いのが多くなるのは定番だな。そしてそこには、明らかに禍々しい魔物が居ると」
ドローンを飛ばして状況を見ているが、確実に今ダメージを負っている者たちでは対処できないような、強大な魔物を見つけた。
もちろん、対処できる者は古代人たちの中にも居るが……全区画で現れているそれを、その少数精鋭では対処しきれない。
「となれば、俺の出番かな? ……というより、ドローンの出番なんだが」
ただ、頼られても困るのでタイミングは探らせてもらおう……死者も傷者もいないのだから、それで勘弁してほしいよ。
10
お気に入りに追加
643
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
凡人領主は優秀な弟妹に爵位を譲りたい〜勘違いと深読みで、何故か崇拝されるんですが、胃が痛いので勘弁してください
黄舞
ファンタジー
クライエ子爵家の長男として生まれたアークは、行方不明になった両親に代わり、新領主となった。
自分になんの才能もないことを自覚しているアークは、優秀すぎる双子の弟妹に爵位を譲りたいと思っているのだが、なぜか二人は兄を崇め奉る始末。
崇拝するものも侮るものも皆、アークの無自覚に引き起こすゴタゴタに巻き込まれ、彼の凄さ(凄くない)を思い知らされていく。
勘違い系コメディです。
主人公は初めからずっと強くならない予定です。
この世界をNPCが(引っ掻き)廻してる
やもと
ファンタジー
舞台は、人気が今一つ伸びないVRMMORPGの世界。
自我に目覚め始めたNPCたちによって、ゲーム内は大混乱。
問題解決のため、奔走する運営スタッフたち。
運営×NPC×プレイヤーが織りなすコメディ。
//////////////////////////////////////////////////////
やもと、と申します。宜しくお願い致します。
誤字脱字などありました際は、ご連絡いただけますと幸いです。
週1、2回更新の予定です。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する
こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」
そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。
だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。
「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」
窮地に追い込まれたフォーレスト。
だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。
こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。
これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。
運極さんが通る
スウ
ファンタジー
『VRMMO』の技術が詰まったゲームの1次作、『Potential of the story』が発売されて約1年と2ヶ月がたった。
そして、今日、新作『Live Online』が発売された。
主人公は『Live Online』の世界で掲示板を騒がせながら、運に極振りをして、仲間と共に未知なる領域を探索していく。……そして彼女は後に、「災運」と呼ばれる。
異世界は黒猫と共に
小笠原慎二
ファンタジー
我が家のニャイドル黒猫のクロと、異世界に迷い込んだ八重子。
「チート能力もらってないんだけど」と呟く彼女の腕には、その存在が既にチートになっている黒猫のクロが。クロに助けられながらなんとか異世界を生き抜いていく。
ペガサス、グリフォン、妖精が従魔になり、紆余曲折を経て、ドラゴンまでも従魔に。途中で獣人少女奴隷も仲間になったりして、本人はのほほんとしながら異世界生活を満喫する。
自称猫の奴隷作者が贈る、猫ラブ異世界物語。
猫好きは必見、猫はちょっとという人も、読み終わったら猫好きになれる(と思う)お話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる