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DIY、闇に潜む
情報ギルド その09
しおりを挟む「社内食堂まである……【情報王】、こういうのも用意しているんだな」
景色や移動効率の関係から、中途半端な階にそうした施設が置かれることはあまり珍しいことではない。
だがそれは地球の場合、商会などが主であるこっちの世界では……企業があり食堂があること自体、異端とも言えよう。
「他にもいくつか、社員が心を休められる設備がこの階には用意されているぞ。シャワーまであるし、広域に作用する治癒系の魔道具が置かれた部屋とかな」
さすがに温泉や卓球台など、旅館染みた設備は置かれていないらしい。
自販機などの設備もないので、食事をするならこの場所だ。
「注文の仕方は簡単、カードをレジに通すだけの簡単仕様……まさかの無料ですよ」
さすが【情報王】。
気前がいいというか、自身に配下には少し優しいというか。
まあ、社員の階級や特別な条件で頼める料理に制限が入る辺り……やっぱり会ったときの印象通りだな、と思ってしまう。
「偽装カードの俺が頼むわけにも行かないので、どんどん次に行ってみよう」
時間帯的に、食堂に人が集まっている。
つまりは上の者たちも少しはこの場に居るだろう……早く行った方が良さそうだ。
◆ □ ◆ □ ◆
「九階は個人の部屋、階級の高い者たちに与えられた部屋があるぞ」
仕事をやれば、そうした褒美もあるというわけだ。
住むことも許されているようで、執務室と私室の二つで部屋は構成されている。
「ただ、物語でよくありそうな……無理強いする社内恋愛は禁止されている。パワハラやセクハラにも対応しているから、社員からの信頼も篤いギルド長である」
うん、そのやり方は監視カメラだが……上司からの嫌がらせの証拠もすぐに拾えるわけだし、考えたものだよ。
そんなこんなで社内のトラブルは少ないので、大きな問題は起こしていないそうだ。
《十階ですが、さすがにセキュリティのレベルが高く……旦那様の侵入を可能にするにはもう少し時間が必要です》
「なら、ここの情報売買場にでも行って時間でも潰しておくか」
光学迷彩を顔偽装から透明モードに切り替えて、目的地に移動を始める。
ドアばかりの部屋なので、剥き出しになっているその場所はとても分かりやすい。
「……実はここってさ、ホテルのカウンター的なサービスだったのかもしれないな」
《【情報王】自ら問いに応える場合、客人を待たせる場所として部屋を使うということですね。なるほど、さすが旦那様です》
「今日このサービスを使う奴がいれば、そこの正解も分かるんだけどな……」
ホテルの入り口でありそうな、スタッフたちの立ち姿にふとそう感じた……ただ、コイツらは戦闘力も持っているので、緊急時の警備員としても働いていそうだな。
《旦那様、準備が整いました》
「よし、それじゃあ行きますか!」
神代魔道具が待つ、十階へと!
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