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第三話 この胸の思いを伝えたい
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リンや来い
「は~い神様。くるくるリンただいまきたりん」
良く来たリン。
今下界では、多くの人間共が溜息を付いている
「う~ん。競争社会は厳しいりん」
それでな。うっとおしくて昼寝もできん
リン、いっちょ下界に行って人間共の溜息を黙らせてこい
「了解りん」
くるくるリンは、こうして下界にくることになったりん。
僕は、彼女のことが好きでたまらない。
点のドットムラもなく染まるクリアブラックの黒髪。
その髪が、ハイポリマファイバーのように、さらっと腰まで流れている。
ああ、あの髪に一度でいいから手櫛を入れてみたい。
きっと何の抵抗もなく、さらっと指が流れるんだろうな。
彼女の魅力は、髪だけじゃない。
あの瞳。ドール職人が魂を込めて焼成したような歪み無い瞳。
あの瞳に見詰められることが出来たら、それだけでイけてしまう。
小さく閉じられた口から見える、囓りたくなるイチゴのような唇。
甘甘噛みしたくなる耳たぶ。
僕は、授業中だというのに、田部 代さんから目が離せない。
彼女の席が、僕の席の前側にあって良かった。
もし後ろだったら、授業中彼女の姿が見れなくて狂ってしまう。
今日も学校が終わってしまい、家に帰り着いた。
机に付いた僕は引き出しから、クラスの集合写真を取り出す。
ちっちゃく映っている 田部さん。
本当にどうしてしまったんだ。
勉強は手に付かないで、彼女の感触ばかり想像してしまう。
このままじゃ、僕は駄目になる。
分かっていても この青い衝動は胸を張り裂ける程に渦巻く。
「はあ~、僕の胸は張り裂けそうだよ」
「どうしたりん?」
「うごっ」
急に開かれた引き出しに、僕は吹っ飛ばされた。
苦しい腹をさすりながら、机を見えれば。
何の捻りもなく、引き出しから出てくる女の子がいた。
なんだ、未来のアイテムで僕を助けてくれるのか?
「君は誰?」
「わたし、くるくるリン」
彼女は、凄く可愛い。僕のメモリ一杯一杯まで、リンちゃんの画像データで埋まってしまう。
田部さん浮気してご免なさい。でもこれは恋と言うより、可愛いです純粋に。
「で、溜息付いてどうしたりん?」
これだっ。直感で僕のOSは再起動した。
ここで悩みを打ち明ければ、きっと助けてくれんだ。
不思議美少女が机から、前触れ無く表れる。
何か不思議な力で助けてくれる。
よしんば失敗しても、慰めてくれる。
これだ。このパターン以外無い。
「実は好きな子がいるんだ」
それから、僕は3時間程リンちゃんに蕩々と彼女の魅力と僕の思いを語った。
「わかったりん。彼女に想いを伝えるりん。それで溜息は解消」
「それが出来れば苦労しないよ。リンちゃんが、何か魔法で助けてくれるんじゃないの?」
「甘えたこと言ってじゃね~ボクンラ」
スコーンと抜けるような張り手を喰らった。
左、左斜め後方、真後ろ、右斜め後ろ、右。
パノラマのように自分の周りの風景をくるっと連続視聴して、再びリンちゃんに向き合った。
「そういうことは、自分で言わないとだめりんこ。
分かった?」
僕は、リンちゃんのめっとする可愛い怒り顔に全力で肯いた。
カクッ。
はれ?下を向いたら、そのまま自分の胸に顔がくっついちゃった。
わ~いびっくり人間もびっくりだ~。
次の日の放課後
僕は、田部さんを校舎裏に呼び出した。
「ねえ首大丈夫?」
「はは、ちょっとしたむち打ちだよ」
今の僕は、首の骨が治るまでギブスで固めている。
幸い360度回って、骨が砕けただけで、神経系は切れてなかったので応急処置だ。その内直るだろう。
「そう。
それで何か用なの、門司君?」
言わなきゃ、この胸の想いを言わなきゃいけないのに。
苦しい、鼓動が早くなり顔が真っ赤になる。
体じゅうから、思春期臭のする汗が滲み出てくる。
ああっ彼女を思う、熱い血潮が渦巻いて、胸が張り裂けそうだ。
これを口から吐き出せばいいのに、口は閉じてしまう。
「ねえ、どうしたの?」
田部さんが、あの瞳でこちらを心配そうに見る。
このこの、胸の気持を……。
「くるくるくるくる」
僕が、ひたすらもじもじしていると、前方よりリンちゃんが
テーマソングを口ずさみながら、表れた。
「くるくる リン」
吹き荒む風と共に悪魔が、ピンクの悪魔がやってくる。
やって来てしまう。
「何この子?でも可愛い」
リンちゃんは、田部さんを避けて僕の前まで来るとニッコリ笑う。
「あなたのお願い叶えます。
門司さん、あなたのお願いなんなのりん?」
ああ、ピンクの悪魔とか言ってご免、リンちゃん。
最後には助けてくれるんだ。
「この張り裂けそうな胸の思いを伝えたい」
「その願いかなえるりん。マジック 青龍刀」
僕の願いに答え光り輝き、天使の姿となったリンちゃんの手に、刀身が虹色に輝く青龍刀が握られた。
「ズバッと、斬り裂けな」
一閃、僕の胸はすぱっと切り裂かれた。
ずばーーーーと、血が5G並の勢いで吹きだした。
ああ、すっきりする。
胸に渦巻いていたものが、みんな吐き出されていく。
僕の胸の思いを受けて、体中を真っ赤に染めた田部さんが、僕の方を真っ直ぐ見た。
「門司君、あなたの胸の想い、確かに伝わったわ」
え、それじゃ。
バサッと、真っ赤な髪が下に垂れた。
僕は初めて、田部さんの綺麗に渦巻くうなじを見れた、感激。
「ごめんなさい。あなたの思い濃すぎて、私では受け止められません」
言うが早いが、田部さんはワープ並の速度でいなくなった。
ふられてしまった。
でも胸の内を全て吐き出して、妙にすっきりしている。
「ところで、リンちゃん一つ聞いていい?」
「な~に?」
「僕出血多量で死んじゃわない」
「だいじょうぶりん。天使は人を絶対殺せないりん」
「安心した」
「じゃあ、願いは叶えたりん」
それ以来、僕は胸の内を吐き出せる男として明るくなった。
そう言いにくいことがあっても、胸を開けば大丈夫。
真っ赤な血潮が、思いを伝えてくれる。
ただ、女子には、告白しても、思いが熱すぎるとふられてばかり
でも、もう溜息はつかないよ。
つくもんか。
おわり
このお話は、完全オリジナルのフィクションです。
存在する人物団体とは、一切関係ありません。
では、感想待ってるリン。
「は~い神様。くるくるリンただいまきたりん」
良く来たリン。
今下界では、多くの人間共が溜息を付いている
「う~ん。競争社会は厳しいりん」
それでな。うっとおしくて昼寝もできん
リン、いっちょ下界に行って人間共の溜息を黙らせてこい
「了解りん」
くるくるリンは、こうして下界にくることになったりん。
僕は、彼女のことが好きでたまらない。
点のドットムラもなく染まるクリアブラックの黒髪。
その髪が、ハイポリマファイバーのように、さらっと腰まで流れている。
ああ、あの髪に一度でいいから手櫛を入れてみたい。
きっと何の抵抗もなく、さらっと指が流れるんだろうな。
彼女の魅力は、髪だけじゃない。
あの瞳。ドール職人が魂を込めて焼成したような歪み無い瞳。
あの瞳に見詰められることが出来たら、それだけでイけてしまう。
小さく閉じられた口から見える、囓りたくなるイチゴのような唇。
甘甘噛みしたくなる耳たぶ。
僕は、授業中だというのに、田部 代さんから目が離せない。
彼女の席が、僕の席の前側にあって良かった。
もし後ろだったら、授業中彼女の姿が見れなくて狂ってしまう。
今日も学校が終わってしまい、家に帰り着いた。
机に付いた僕は引き出しから、クラスの集合写真を取り出す。
ちっちゃく映っている 田部さん。
本当にどうしてしまったんだ。
勉強は手に付かないで、彼女の感触ばかり想像してしまう。
このままじゃ、僕は駄目になる。
分かっていても この青い衝動は胸を張り裂ける程に渦巻く。
「はあ~、僕の胸は張り裂けそうだよ」
「どうしたりん?」
「うごっ」
急に開かれた引き出しに、僕は吹っ飛ばされた。
苦しい腹をさすりながら、机を見えれば。
何の捻りもなく、引き出しから出てくる女の子がいた。
なんだ、未来のアイテムで僕を助けてくれるのか?
「君は誰?」
「わたし、くるくるリン」
彼女は、凄く可愛い。僕のメモリ一杯一杯まで、リンちゃんの画像データで埋まってしまう。
田部さん浮気してご免なさい。でもこれは恋と言うより、可愛いです純粋に。
「で、溜息付いてどうしたりん?」
これだっ。直感で僕のOSは再起動した。
ここで悩みを打ち明ければ、きっと助けてくれんだ。
不思議美少女が机から、前触れ無く表れる。
何か不思議な力で助けてくれる。
よしんば失敗しても、慰めてくれる。
これだ。このパターン以外無い。
「実は好きな子がいるんだ」
それから、僕は3時間程リンちゃんに蕩々と彼女の魅力と僕の思いを語った。
「わかったりん。彼女に想いを伝えるりん。それで溜息は解消」
「それが出来れば苦労しないよ。リンちゃんが、何か魔法で助けてくれるんじゃないの?」
「甘えたこと言ってじゃね~ボクンラ」
スコーンと抜けるような張り手を喰らった。
左、左斜め後方、真後ろ、右斜め後ろ、右。
パノラマのように自分の周りの風景をくるっと連続視聴して、再びリンちゃんに向き合った。
「そういうことは、自分で言わないとだめりんこ。
分かった?」
僕は、リンちゃんのめっとする可愛い怒り顔に全力で肯いた。
カクッ。
はれ?下を向いたら、そのまま自分の胸に顔がくっついちゃった。
わ~いびっくり人間もびっくりだ~。
次の日の放課後
僕は、田部さんを校舎裏に呼び出した。
「ねえ首大丈夫?」
「はは、ちょっとしたむち打ちだよ」
今の僕は、首の骨が治るまでギブスで固めている。
幸い360度回って、骨が砕けただけで、神経系は切れてなかったので応急処置だ。その内直るだろう。
「そう。
それで何か用なの、門司君?」
言わなきゃ、この胸の想いを言わなきゃいけないのに。
苦しい、鼓動が早くなり顔が真っ赤になる。
体じゅうから、思春期臭のする汗が滲み出てくる。
ああっ彼女を思う、熱い血潮が渦巻いて、胸が張り裂けそうだ。
これを口から吐き出せばいいのに、口は閉じてしまう。
「ねえ、どうしたの?」
田部さんが、あの瞳でこちらを心配そうに見る。
このこの、胸の気持を……。
「くるくるくるくる」
僕が、ひたすらもじもじしていると、前方よりリンちゃんが
テーマソングを口ずさみながら、表れた。
「くるくる リン」
吹き荒む風と共に悪魔が、ピンクの悪魔がやってくる。
やって来てしまう。
「何この子?でも可愛い」
リンちゃんは、田部さんを避けて僕の前まで来るとニッコリ笑う。
「あなたのお願い叶えます。
門司さん、あなたのお願いなんなのりん?」
ああ、ピンクの悪魔とか言ってご免、リンちゃん。
最後には助けてくれるんだ。
「この張り裂けそうな胸の思いを伝えたい」
「その願いかなえるりん。マジック 青龍刀」
僕の願いに答え光り輝き、天使の姿となったリンちゃんの手に、刀身が虹色に輝く青龍刀が握られた。
「ズバッと、斬り裂けな」
一閃、僕の胸はすぱっと切り裂かれた。
ずばーーーーと、血が5G並の勢いで吹きだした。
ああ、すっきりする。
胸に渦巻いていたものが、みんな吐き出されていく。
僕の胸の思いを受けて、体中を真っ赤に染めた田部さんが、僕の方を真っ直ぐ見た。
「門司君、あなたの胸の想い、確かに伝わったわ」
え、それじゃ。
バサッと、真っ赤な髪が下に垂れた。
僕は初めて、田部さんの綺麗に渦巻くうなじを見れた、感激。
「ごめんなさい。あなたの思い濃すぎて、私では受け止められません」
言うが早いが、田部さんはワープ並の速度でいなくなった。
ふられてしまった。
でも胸の内を全て吐き出して、妙にすっきりしている。
「ところで、リンちゃん一つ聞いていい?」
「な~に?」
「僕出血多量で死んじゃわない」
「だいじょうぶりん。天使は人を絶対殺せないりん」
「安心した」
「じゃあ、願いは叶えたりん」
それ以来、僕は胸の内を吐き出せる男として明るくなった。
そう言いにくいことがあっても、胸を開けば大丈夫。
真っ赤な血潮が、思いを伝えてくれる。
ただ、女子には、告白しても、思いが熱すぎるとふられてばかり
でも、もう溜息はつかないよ。
つくもんか。
おわり
このお話は、完全オリジナルのフィクションです。
存在する人物団体とは、一切関係ありません。
では、感想待ってるリン。
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