上 下
17 / 328

第十七話 トイレの怪異

しおりを挟む
「もれちゃうもれちゃう」
 夕暮れの日が射すショッピングモール。3層の吹き抜け構造で中央から入る夕日に染まる通路をショートカットの少女が小走りしていた。人混みの中、ホットパンツから伸びる日に焼け引き締まった太股を思うように躍動させられないもどかしさに焦れながらも必死にトイレを探している。
(まいったな~急にもよおしてくるんだもん。さっき食べた特大パフェがまずかったかな)
 きょろきょろセミロングの髪を靡かせ顔を左右に振っていたが視線が固定された。
「あそこだ」
 丁度通路の角にあるトイレに駆け込むとスラッと並ぶ個室の内一番奥の個室だけがドアが開いていた。
「やった誰もいない」
 いつもなら列を成している女子トイレだが今に限って列も無いどころか一つとはいえ開いている。このラッキーを逃すものかとばかりに猟犬の如く少女は個室に駆け込みドアを叩きつけるように閉め、おもむろにパンティーを降ろしつつ洋式の便器に座り込む。
「ふう~。間に合った」
 安堵の息を吐く少女。
 ズリッ。
 少女は自分のお尻が下にずり落ちるのを感じた。そのショックで尿意は止まってしまった。
「何よもう、この便器壊れたの?」
 少女はしょうがないなとはにかんだ顔をする。
「はう」
 晒した局部を舌に舐められたような感覚が走った。
「なっなに、ウォシュレットも壊れたの!?」
 襲われた不快な感覚、少女はウォシュレットが故障してお湯が噴き出したのだと判断した。
 ズリッズリッ。
 さらに尻が下に落ちていく。
「何っ? 立ち上がらなきゃ。」
 少女は足にありったけの力を込めて立ち上がろうとする。しかし尻は噛みつかれたかのように食い込まれていて外せない。
 ズリッ。
 逆に更に下に落ちていく。
 ズリッズリッ。
 少女は恐怖でパニックになった。もはや尻は完全に便器に落ち切りもう腰のところまで便器に呑まれている。
足はもう床に着かない、少女は手で便器の端を持って必死に体を持ち上げようとする。だが上体はぴくりとも上がらない。尻はまるで蛇に呑み込まれていくようだ。もうカエルの如く自力での脱出は不可能という恐怖が少女の全身を駆け巡った。
「だっ誰か助けてっ!!!」
 少女はあらん限りの声を出して助けを求めた。それはもう喉が潰れても構わないほどの大声を出すが、反応は返ってこない。
 おかしい、トイレの他の個室には誰かがいたはず。こんな薄壁一枚で遮れるような声じゃ無い。
 でも事実は無情、助けが来ないどころか反応すら無い。
 ズリッズリッ。
 少女の体がU字に曲げられていく。足が胸の前に布団を畳むように押し付けられる。
 ははっ自分ってこんなに体柔らかかったんだ。陸上で柔軟やっていたおかげかな。未だ砕けない体に少女はとりとめも無い感想を述べる。
 ズリッ。
 Uの字からIの字に体が変形させられ便器に吸い込まれていく。
 バキッ。
「ごぼっ」
 口から助けの悲鳴で無く血が噴き出された。少女は自分の体の肋が砕けたのを感じた。
「ひゅううう~」
 もう声は出ない、ただの呼吸音のみが虚しく響く。
 ズリ。
 体が下に落ちていく。
 バキッバキッ。
 体がすり潰されて行く。
 もはや少女の頭と手と足が便器からもやしの如く生えているのみ。
「ひゅひゅ~」
もはや少女の目は空ろに成っていた。
 バキッズリ。
 砕かれ落ちていく少女。やがて体は完全に便器に飲み込まれ
 ジャーーー。
 水が流れ、少女は押し流され後には便器のみが残っていた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ゾンビ発生が台風並みの扱いで報道される中、ニートの俺は普通にゾンビ倒して普通に生活する

黄札
ホラー
朝、何気なくテレビを付けると流れる天気予報。お馴染みの花粉や紫外線情報も流してくれるのはありがたいことだが……ゾンビ発生注意報?……いやいや、それも普通よ。いつものこと。 だが、お気に入りのアニメを見ようとしたところ、母親から買い物に行ってくれという電話がかかってきた。 どうする俺? 今、ゾンビ発生してるんですけど? 注意報、発令されてるんですけど?? ニートである立場上、断れずしぶしぶ重い腰を上げ外へ出る事に── 家でアニメを見ていても、同人誌を売りに行っても、バイトへ出ても、ゾンビに襲われる主人公。 何で俺ばかりこんな目に……嘆きつつもだんだん耐性ができてくる。 しまいには、サバゲーフィールドにゾンビを放って遊んだり、ゾンビ災害ボランティアにまで参加する始末。 友人はゾンビをペットにし、効率よくゾンビを倒すためエアガンを改造する。 ゾンビのいることが日常となった世界で、当たり前のようにゾンビと戦う日常的ゾンビアクション。ノベルアッププラス、ツギクル、小説家になろうでも公開中。 表紙絵は姫嶋ヤシコさんからいただきました、 ©2020黄札

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

女子切腹同好会

しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。 はたして、彼女の行き着く先は・・・。 この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。 また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。 マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。 世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

怪物どもが蠢く島

湖城マコト
ホラー
大学生の綿上黎一は謎の組織に拉致され、絶海の孤島でのデスゲームに参加させられる。 クリア条件は至ってシンプル。この島で二十四時間生き残ることのみ。しかしこの島には、組織が放った大量のゾンビが蠢いていた。 黎一ら十七名の参加者は果たして、このデスゲームをクリアすることが出来るのか? 次第に明らかになっていく参加者達の秘密。この島で蠢く怪物は、決してゾンビだけではない。

処理中です...