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なにゆえ女装?十二単でフルムーン

第5話 天慶さま。口を慎んだほうが・・・。MUGON♥️

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5

 しゃべらないでいい、
 とばかりに優しい口づけで口を塞がれここの所ずっとつきっきりでご指導いただいた腕の中で溶かされてしまふ。

「今日はやけに素直だな・・・」ふふ

「えっ」ドギマギ

 ずっと、舞の稽古のあいだじゅう、天慶さまの大きな腕の中にいたから・・・。
 ずっと天慶さまの息遣いを感じていたから。

 愛されたくなってたのかもしれない。

 ギューッと背中に手を回してもう一度、天慶さまを感じてみるる。

「・・・ずっと十二単じゅうにひとえでもいいかもな・・・」

「えっ・・・」さーっ

 なんとゆう恐ろしいことをっっ!
前言撤回!
 気の迷いだったっっ。

「絶対いやです!」

  もうやめてっっ
 さわらないでっっ
バカバカっっっ

「はっ(笑)冗談だ、冗談っ」

 あやしい雲行きになったようですねー。
天慶さま、がんばってー。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 そんな颯太の苦労など知るよしもない望月丸は。

 前々からお招きに応じることがなかった天慶さま(有義親王)が珍しく出向いてくれることになった右大臣家の大事な宴に際して。

「よいか?望月丸。
今上帝の兄にあたる有義親王ありよししんのうさまがお忍びとはいえ、摂関家とはいえ、貴族の館にお越しくださるのはたいへん名誉なこと。
内々の主立っおもだた者を集めて、内々だけど失礼のないように盛大に催さねば、と、ゆう宴に・・・」

「はあ・・・」

 父、大納言護国からの長ったらしい薫陶くんとうにうんざり。

「じじさまが(右大臣 康長)がおまえとわしを呼んでくださったのは、増長しておる毒長ではどんな無礼があるかわからないからよくよく失礼のないよう、場を円滑えんかつに・・・」

 もうわかったからやめてほしい。
そんなこといって、おじじさまはいつもオレに会いたいだけなんだから。

 大納言家だけではなくどこにいっても可愛がられて愛されてる望月丸は、良い子、でいることに不満がでてくるお年頃。

 良い子に良い子でいろ、なんていわなくても何をしたって良い子がにじみ出てしまって、良い子、の型をやぶりたくなるもの。

「今は通称の天慶を名乗られるそうだ。くれぐれも失礼のないようにな。」

「はーい」

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 宴の日の大納言家。

 宴の当日は朝から時雨しぐれていて肌寒くて屋敷から出たくなかった。

「母上・・・。どうしてもオレ、いかなきゃいけないの?」

「あらあら具合でも悪いのかしら・・・?」



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