流れる川

連鎖

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トヨトミ①

仕事

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雪も降っていなく、風も吹かない異様な静けさの中、
三人の男性がスネ辺りまで雪に潜りながら、
簀巻きのように布で包んだ巨大な荷物を、肩に乗せて運んでいた。

「ザッザッタザア。。寒い。寒い。」「うるさい。黙って歩け」
「ザッザッザ。」
「真ん中と変わって貰えませんかアァア?ふわぁぁあ。
後ろでもいいよ。一番後ろでもいいからあぁ。ふわぁああ。」
「。。。」「黙れ!ザク。。ザザザ。。ガザガサ。」

先頭の男は、誰も歩いていないきれいに凍った雪道を踏みしめ、
二人目は、そこを踏み間違わないよう注意しながら歩き、
最後の男は、身を震わせうつむき加減で二人に続いていた。



誰も通っていないような、雪原の森を通ってきた三人の男達は、
凍りついた雪の中を進み、暗闇に包まれた森を抜け、
遮るもののない、開けた平原のような広い雪原に到着していた。

「ちゃんと持てよ。。ガサ。。ガサ。ガザガサ。」
「。。(おも)。。」「かせ。。カチャ。。」「ガサガサ。ガサガサ。」

開けた雪原で三人が立ち止まると、ここが目的の場所なのか、
一番後ろの男が列から離れ、先頭の男から剣を受け取り両手に持つと、
開けた雪原の中央に向かって入って行った。

「ガサガサ。。。。。ガチャ。。。」

もちろん、まだ雪深い場所なので、
膝辺りまで雪に埋もれながら中央に男が立つと、
両手に持っていた剣の先端を前に向けたまま、
両足を軽く開き気味にして、目をつぶったまま何かの始まりを待っていた。

その待っている男が手に持つ剣は、夜の静寂とは対照的に、
舞台の幕が上がるのを待ち焦がれる観客達のように、
雪山に二つの帯を作っていた。



男の心に舞台の幕が上がる歓声が響き渡ると、

「フゥううう。。(イクゾ)。カチャ。。。ブオン。。。。」

その男は、
空を切り裂くように右手を突き上げ、
左手は脇に構え、視線は雪山に伸びていく光の帯を睨んでいた。
続いて男は、
世界を光で満たすように、両腕をクルクルと回転させながら、
左右の腕を入れ替え、さっきと同じ姿で雪山を睨みつけていた。

「フゥゥゥゥ。」

全ての準備が揃った男は、
左手は頭上に腕をのばし、右手は畳んだまま後ろに引いて、
目線は右手を睨みつけるように向けてから、
右下に向かって腰を大きくねじって、念を集中していた。



念が溜まると、溜まった念を解放するように腰を戻し、

「ブゥゥウウン。」

左手は真上から、右手は切り上げるように持ち上げながら、
途中で二つの腕が触れると、両腕を一緒に揃えて、

「ビジャジャァアアア。。。」

同時に二つの光が、真っ直ぐ目の前に叩きつけられていた。

周りの風景は、光が通った場所は全てが溶断され、
叩きつけられた地面など、さっきまでの雪原が嘘だったかのように、
真っ赤に溶けて、すぐに蒸発した水蒸気が男を取り囲んでいた。

少し離れた場所で見ていた男たちは、いつもの儀式が始まったと、

「オヤジ。持つから、休んでください。」「ああ。」「。。」

「(本当に、これって必要なんですかぁぁぁ?)」
「(ヤラしとけばいい。ダマレ!やらせればいいんだって。)」

(はァァあぁ。。しごとしごとしごとおおおおおお。せんぱーいぃ。
 だいじょぉオブぉお?終わったァあ?ハァァァ。しごとぉおお。)

もちろん、三人ともウンザリした顔で目の前で踊っている男を見ていた。

もちろんエリカと離れられて、やる気がみなぎっている男は、

「ブオン。。ブフォフォン。ジュアァアア。。ガチン。」

今度は、腰を曲げたまま両手で大きな円軌道を描くと、
膝を真っ直ぐ伸ばして、身体全体を一本の弓のような形にしてから、
顔の前で剣を交差していた。

これで全てが終わりなら、男たちのウンザリした顔も無いのだが、

「ブオン。。ブフォフォン。ジュアァ。ブオン。ガチン。ブフォフォン。」

それからは同じ動きを左右に折り返して、この世界を照らしていた。

世界に祈るように、狂ったように、この世界を溶かすように、
両手を上。。その後に左上。前に。。上下を。。倒すように。切り裂く。

男の持っていた剣で、雪景色が焦げ臭い湯気が立ち込めるまで、
狂ったように大きく剣を左右に振り続けていた。



雪景色が、少しだけ暖かく感じ始めると、

「バサァアアア。。ガサガサ。。バサアアア。ゴウゴウゴウ。」

雪景色の山が左右に割れて、見慣れた箱が亀裂から現れていた。

「(あれって、多くないですか?)」「(オヤジ?)」「(待て。)」

いつもなら、この場所には一つの箱しか来ないのに、
なぜか今日は数台の箱が山から現れ、
遠くからだとよく見えないが、山の奥からも次々に現れそうで驚いていた。

「ビチャ。。ブチャ。バチャバチャ。バチャ。。。
おっ。お待たせしました。本日の商品を、お持ちしました。」

これは有難い結果ではあるが、膝まであった雪原も消え、
溶けた雪の水も蒸発しているので、
少し水の多い湿原のような場所で、箱に向かって走りよっていた。

「ソレ。ピィイイ。。ココ。。オケ。ガチャ。ガチャガチャ。」

見た目で判断するのは難しいが、
台数以外は、動き方からいつもの箱と同じだと理解できた。

しかし、何故か全ての箱が、腕を前に上げたままで停止していたので、

「薬は、何処に?バチャ。バチャバチャバチャ。」

報酬の事だけを話して、後ろを振り向かずに逃げ出していた。

「ド。。ドーン。。ジャバババ。バチャン。。コレ。ソレ。。ヨコセ。」

逃げ出す男の事など興味が無いのか、
すぐに箱から包みに入った袋が打ち出され、男たちの近くに落ちていた。

「(大丈夫ですか?)」「バチャン。(準備しろ!)。。イケ。。。」
「バちゃ。バチャチャン。そらよ!。ブゥウウン。。。。ジャババァア。」

もちろん、馬鹿と言っても現状がわかっている馬鹿なので、
思い切り振りかぶり、肩の上でもたれかかっていた簀巻きを、
出来るだけ遠くに投げ捨てていた。

「(逃げろ!)」「ダダダ。。」「逃げろぉおお。」「ヒヒャホォオ。」
「ビビビ。。」「ビィイイイ。。」「ジィイイイ。」「ビビィイ。」

相手が逃げ出しているのだから、
少しは躊躇うことぐらいありそうだが、取引が終わったと認識すると、
機械の手から、サーチライトのような光線が一斉に照射されていた。

「ボウボウ。」「ドバァアア。」「ジュアァアア。」「ビジュアァア。」

周りの人が光と認識する前に、
タオルを巻かれたエリカの身体が蒸発デモしているのか、
周囲と一緒に溶けだし、遅れて周りから炎が立ち上っていた。

一瞬にして、暴れ回る光が氷の世界を照らし、
炎が周りを取り巻くように広がって、
氷が急激に溶け出して出来た水が、爆発的に放出される音が轟き、
静寂だった世界は、美しい歓声で包まれていた。

「ビジャガガア。。」「集まれぇえ。ビシャァア。」「ビジャァア。」

もちろん、高額な魔道具を持っている三人は、
運悪く照らしてきた光さえも、少しも影響を受けずに男達を守っていた。

「ボゴゴォオ。ガリリガリィイ。ボウボウ。ビジャァア。ゴォオオ。」

光の洗礼。炎の洗礼。風の洗礼。水の洗礼。氷。雷。炎。水。
あらゆる力が、一瞬で溶けて消えた場所に注がれていた。

「走れぇぇぇ。ガサガサ。はやくしろぉお。早く逃げるんだァアア。」
「アハハハハ。大丈夫ですよ。オヤジ。ビジャァア。ボボゴォオオ。」
「大丈夫ですよ。ガガガ。ヂドドン。じゃば。。ザザザ。。」

もちろん、そんな魔法攻撃など防御出来るのは当たり前なので、
走れと言われたので走っているだけで、
一人の男以外は、少しも焦っていなかった。

「ビジャ。ビジャァア。ギャギャギャ。ガロガロ。グッギャァア。」

(受けるだけよねぇえ。入るけどぉお。トロトロ入ってくるけどさぁア。
 やっぱり、ズブ。ズコズコ。びちゃびちゃ。とかぁあ。ズルズルもぉ。)

その攻撃を一身に受けている女も、別の事を妄想していた。

(部屋に。。やっぱり、そと。。ウゥン。トイレカナァ。そこでぇえ。
 どちらですか?。こちらがオススメですよ。。後ろからで。うふっ。)
 
仕事中に考える妄想は、最高に楽しいので色々と考えていた。

(お客様。本日は、コチラはどうでしょう?特別に二割、増量中ですよ。
 コレは、じゃあ。コチラは?うへぇ。アハハんっゥ。いやぁあん。)

「ガチャ。。ガチャガチャ。ガチャ。ガチャガチャ。
ガガガガガガ。。ドンドンドン。。ガガガガ。ガララ。ガガガガガ。」

火も水も氷も風も雷だって、少しも効いていないと思った箱達は、
プログラム通りに、次の質量攻撃に切り替えていた。

「ガリ。ガリガリ。。ヤバい。。早く走れぇぇぇ。早く逃げろぉおお。」
「ギギギ。。ギャぃいい。ギイイ。。。何?この音。」
「ブン。ジュ。バギィイイン。。ギギャァア。バギィイイイン。」

さっきまでの事象攻撃から、質量攻撃に変わった途端に、
男たちを守っていた魔法障壁から、とても嫌な音が響き始めていた。

「パラパラ。。ガガガガガ。ガガガ。ガガガガガ。」

(ふあぁあ。やっぱり、沢山並べてもらうのも飽きちゃうしぃ。
 寝たままでってのも、こちらから手を出せないッテノモォオ。
 さあ、ぼぉおやぁあ。おぁぉおおねえさんがぁあ。うへぇゲえへええ。)

「うぎゃぁぁぁぁああああ」「いててええっ。」「いヤメロォお。」

(そろそろ、終わったァあ。。ふぁあ。センパーイ。もういいのぉ?)

「ガガガガガガ。ビチャァア。ガガ。ビチャビチャ。ガ。ベチャベチャ。」

自然現象(魔法)を、薄い断絶幕で守られていた男達は、
多量の衝撃を受け止める事など出来なくて、
防御幕を破壊されたあとは、そのまま質量の嵐に晒されて、
肉の破片と、すり潰された体液に変わっていた。



「ガガガ。。ガガ。。ガ。。。。敵の排除を確認。フェーズを変更。」

弾切れになったのか、オーバーヒートで銃身が壊れかかったのか、
それとも、目標が体液のように地面に広がったからなのか、
箱達はいっせいに攻撃をやめて、目標を確認しようとしていた。



さっきまではいなかった物達が、

「死んだ?さすがに、死んだよね。」「じゃあ。俺たちって。昇進?」
「アハハハ。やったぞ。やった。」
「ちょっと待て、もう一度だけ燃やす?凍らせる?溶かす?」
「さすがに、必要が無いだろ?ただの肉片と水溜まり。。うん?」

嬉しそうに真っ赤な水溜まりを見て相談していると、
水溜まりが何故か、さっきまでと違っているように思えていた。

そのこと自体は、気の所為かもしれないが、

「そうだよな。じゃあ、報告しようか。。ピッ。。。。ん?故障か?」
「。。俺のも。ピッ。。ピッピッピッピッ。」

ふたりの持っていたコンソールを触っても、何も反応をしなくなり、
嬉しそうに話していた黒装束の二人に向かって、

「ガチャ。。ガチャガチャガ。。」

周りの箱達が、一斉に腕を上げて狙っていた。

もちろん、箱たちが狙っている先には、

「ウフフフ。。やあ。あなたは何号?それとも?」

もちろん、全身真っ白な美しい裸体の女が、
二人の頭を鷲掴みにして、笑って聞いていた。

「エラー。ビィイイイ。エラー。。エラー。もう一度入力してください。」

何を言われているのか分からない物達など、

「アハハハ。まあイイワ。死んでなさい。」

全身から血の雫を滴らせている女の瞳には何も映っておらず、
ただ淡々と続く仕事をこなしていた。

「エラー。。ビイイィイイ。エラー。」

「これも理解できないのぉおお?じゃあ、ここもハズレよね。
続きは、そオネェえ。消去。。でりーと。。ううぅん。じゃあ、〇〇〇。」

言葉に何か意味があったのだろうか、ただ淡々と続く音を紡いでいた。

「本設備は、自壊シーケンスに移行します。
設備に残っている所員は、ただちに本設備より退去してください。

ビィイイイ。ビィイイイ。

本設備は、自壊シーケンスに移行します。
設備に残っている所員は、ただちに本設備より退去してください。」

(今回もハズレって事よね。まあ、そうだろうけど。アハハハ。
 じゃあまたね。愚かなお馬鹿さん。また沢山集めてね。アハハハハ。)

いつものように、琥珀色の笑顔で、

「アハ。アハハハ。。キャハハハ。ギャハハハ。ヒイッヒヒ。ヒャハハ。」

悲鳴をあげて、逃げ惑っている子供たちの悲鳴を聞いて笑っていた。



「ミャ。。。」「お帰り。先輩。何かあったぁぁぁ?」
「ミャッミャ。」「ふーん。本当に好きね。無駄なのにぃい。」
「ミャァアア。」「アハハハ。わかったわよ。外れ?そっか。。。。」
「ミ。」「ありがとう。じゃあ帰りましょうか。」

。。。

「サクサク。サクサク。」

また凍えるような寒い服装で道を歩く女の横を、
荷台を空にした馬車が、通り過ぎようとしていた。

「ねえねえ。マイルズ。帰るのぉおお?」
「ガラガラ。。仕事は終わったからなぁ。」
「じゃあ、次の街まで乗せてぇええ。
いいでしょおお?こんな美人いないよぉ。ブルブル。ホラホラぁあ。」

もちろん、コートの前は全開にしているので、
薄い真っ赤な布から透ける全身を覗かせて、
ヒールなどで歩いているので、スカートはギリギリまで持ち上がって、
太ももが終わった場所から先が、覗けそうになっていた。

もちろん、コートに隠れた背面は、布からお尻がはみ出していた。

そんな恰好の女が、美しい流し目で誘っているのだが、

「あ゛あぁぁ?びっじんかぁぁああ?びっじんかぁぁああ????」

もちろん、自分の肉棒が痛いぐらいに大きくなっているのは自覚している。
いますぐに、襲い掛かりそうになっている気持ちも知っている。

今朝まで楽しんでいたが、やっぱり反応してしまう事は止められなかった。

だが。。だが。。。この女の本性が、今まで聞いていた事など断片だと、
ただの情報統制されている事だと、理解してしまった男には、
この女とかかわりを持つメリットと、デメリットの間で揺れていた。

「ひっどぉおおおい。もう乗るわよ。」

この女に気に入られてしまった時点で、逃げようとしてももう無理だが、
魔法なのだろか?それとも運動神経が異常なのか?

目を離した?

エリカがマイルズの視線を奪うように、軽く片足を持ち上げた時に、
太ももに貼り付いていたスカートが、微かに持ち上がったので、
ついその場所を集中して監視していると、

「ブルルン。。ボウゥゥン。。おまえ。おい。おい。エリカァァア。」

気づいた時には、ピッタリと横に並んでエリカが座っていた。

つい最近も見ていたので、免疫ぐらいできていそうだが、
女性特有の匂いが、身体全体にまとわりつき、

吸い込まれそうな目が、真横で自分を見つめて笑いかけ、

少し離れて見ていた時でも、我慢できない程に疼いていたのに、
手を伸ばせば届きそうな場所に、

ムッチリとした柔らかそうに誘う太ももに、
つい見てしまう女の象徴は、透けるように薄い布が光の加減で透けて、
監視する方向によっては、布から透けて見えていた。

もちろん少し前といっしょで、二人は御者台の上で並んで座っているので、
少し前に身体を傾けて覗き込めば、
脚を開き気味に座っているエリカの割れ目が覗けて、
この淫乱痴女の露出狂なら、発情したままの割れ目から、
愛液が溢れ出して、ビクビクと誘っている姿も覗けるはずだった。

覗かなくても丸見えな、胸の膨らみが一段と張り出して、
胸を縦断している布から、大きくはみ出してと言うよりも、
胸が押しつぶされないように、逃げ出そうと飛び出していた。

「ううぇお?」

(でっか。。でかくなったのか?スゲぇな。こんなにでかかったか?)

男の夢。パフパフを、パプパフ?ぐにゅぐにゅ。ジュルジュル。
バウウン。バウウウン。バチィイン。バチィイン?
めちゃくちゃに、巨大な胸を味わっている妄想が頭を駆け巡っていた。

「アハハ。何よ。マイルズ?」「ニヤァァアア。。ニャアアアアアアア。」
「うん?。。ああ、先輩がぁああ。。めしは?だって。サァアアア。」

「めし?。。アハ。。あはハハ。アハハハハ。そうか、先輩もか。
めしな。いいぞメシ。アハハハ。めしがいいんだな。アハハハハ。」

三人の旅は続くのか、それとも何か別の仕事が有るのか、
また楽しそうに、馬車が三人を乗せて踊っていた。


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