流れる川

連鎖

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トヨトミ①

世界最強の男

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周囲は真っ白な雪景色に包まれ、物音一つしない静寂が広がっていた。

そんな静寂の中、

「〇〇〇〇」

漆黒の服装をまとった男が、何かを呟くと、
突如として別世界から連れてきたかのような、巨大な門が目の前に現れ、
彼の行方を塞いでいた。

(いつもそうだよ。まあ、仕方が無い。これもいつもの事だったな。)

「あなたは現在、管理セクションにいます。すぐに立ち去ってください。」
「お前たちに、言われることなど何もない。アケロ!」

お互いの言葉が理解できないのか、
それとも、最初からお互いが聞いていないのか、
巨大な門の前に立っている男は、怒ったように命令し、
ゆっくりと手を前に突き出して、何かをしようとしていた。

「ビービービー。ビービービー。
警告。警告。管理セクションにいます。 管理セクションにいます。

これ以上このセクションにいると、敵対行動と見なし、対応を行います。

ビービービービー。
警告。警告。管理セクションにいます。 管理セクションにいます。」

「うるせえ。黙れ!さっさと開けろ!すぐに開けないのなら、ぶっ壊すぞ!
深淵の炎よ。我の前に集い、
我の道を阻むものを、全て焼き尽くせ。ファイヤー。。。」

本当に相手の言っていることがわからないのか、
それとも、最初から何も聞いていないのか、開かない門に向かって、
一段と怒ったように声を荒げて、魔法を発動し始めていた。



「ゴォオウウ。ゴォオオン。」

魔法が発動し始めて、
男のかざした手に炎が集まり、周囲を真っ白に照らし始めると、

「ビュウウゥビュイ。。危険。危険。ヒュイ。ヒュイヒュイイイ。。。」

まるで子供が、大人の一方的な暴力から身を守るために、
必死に許しを請おうと、泣いているような声が聞こえてきた。

(ああ、すまない。お前達も、俺と一緒だったな。)

「〇〇〇」

子供の泣く声で冷静になった男は、
魔法を発動するために、前に突き出していた手を下げ、
相手が理解できる言葉で話しかけていた。

「ピィイイーーーー。
認証しました。。ゴウン。。ゴウン。ゴウンゴウン。」

男の言葉が、本当に嬉しかったのか、
鳴き声が消えると同時に、素直に門が開いていた。

「今回こそ当たりだといいが。。。。まあ、ハズレだろうが。。。な。」

(最近は、あの子に流されているような気がするなぁああ。
 はぁ。付き合いが長くなると、相手に似てくるってことかな。あはは。)

腐れ縁の顔を思い出しながら、ゆっくり開いている扉を見上げていた。



「ゴゴゴン。。ガコン。」
「ああ、ここだな。さあ、何か残っているといいが。。ライト。」

薄暗かった部屋の明かりがともり、煌びやかな光景が男を包み込んでいた。



男は、何度も通ったことのある場所を抜けて、
液体に満たされたカプセルが並んでいる場所に着くと、
すぐにその場所で、何かを探していた。

(違う?)(違う!)(そっか。)(おめでとう。)(良かったね。)
(うふふふふ。)(そっか。)(あはは。やったね。)(そっか、君も。)

男は、何も浮かんでいないカプセルを覗き込むと、
優しく喜びに満ちた顔で、旅立ったものに向かって祝福していた。



何もないカプセルを見ながら、言葉をかけて喜んでいたが、

「。。っ。」

なぜか欠片のようになったものが、浮かんでいるカプセルを見つけると、
男の表情が、凍りついたように変わっていた。

「アハッ。ハハハハ。やあ、おめでとう。君は選ばれた。選ばれたんだよ。
さあ。おめでとう。苦しみの世界へ。アハハハハ。キャハハハハ。
お前の繋がりが選んだ。望んだ。必死に願い、望んだ結果だ。
苦しみの世界へ、俺が戻してあげよう。アハッ。アハハハハハハハハ。」

言葉では喜んでいるように見えるが、とても苦しそうな表情で、
何かの形をした欠片に向かって、泣きながら呼びかけていた。

「ヒール。。」「コポ。。コポ。。」「リジェネ。。。」「。。。」
「ヒール。ヒール。ヒール。」「ドン。。起きろ。。ドンドン。」

本当に起きて欲しいのか、
本当は失敗して欲しいのか、よく分からない顔でカプセルを殴っていた。

「光。あなたの心に灯る光。灯す夢。貴方を求める人の旅。
まだ終わらない、人の旅。心に灯る光の為に、ヒール。」

(ああ、女神よぉお。全知全能の神よ。少しでいい。少しでいいから。
 この命に慈悲を。この悲しい子に救いの手を。この悲しい心に灯火を。)

どちらを望んで願っているのか、
救いの手は何なのか、よく分からない複雑な顔で魔法を紡いでいた。

「君を待っている。待っている人が。頼む、少し。少しでいいから。。」

「ゴボボボ。。」「ヒール。ヒール。。ヒールゥゥウ。」

(悲しいね)(ああ、わかっている。わかっているさ。。でも、人は。。)

男の願いが届いた結果なのか、それとも、この人の願いなのか、

「ゴボボボボボボボ。。。」

浮いていたものに周りから何かが集まってきて、
集まる度に透き通った水が泡立ち、形が次第に浮かび上がってきた。



少しだけ塊が大きくなって。

「君の名前は?」「。。。。」
「君は誰?」「。。」
「君が誰なのか、教えてくれないか?」「。。。。。。。」

欠片が泡立ちながら集まり、小さな塊が次第に大きくなっていた。

その塊を見つめる男の顔は、
ついさっきまでの泣き顔が嘘だったように、
研究者がサンプルを観察しているような、薄ら笑いさえ浮かべていた。



また少し塊が大きくなって。

「あ。あ゙が。。」「さあ、おいで。」
「ががが。」「さあ、来るんだ。」
「ぐががが。」「君。。みえるだろ。あの光へ。そこへ飛び込むんだ。」
「ググがぁあ。」「見えるだろ。おいで。さあ、くるんだぁあ。」

「あ゙っ。びぃぎぎゃぁあああ。。」
「さあ、待っている。待っている。その人は、待っているんだああぁ。」

塊だったものが集まり、少しずつ人らしい形に変わっていた。

この時の男は、聖人や紳士といった風貌で、必死に人々に語りかけていた。



とうとう、塊が。

「いやあああ。ギヤかあああ。いやァあああ。来ないでぇええええ。」

「キュア。ブレッシング。ヒール。リジェネ。あと。。
フォース。ブレス。サニティ。うーん。。
リザレクション。。。。。ホーリーライト。」

「イタイイタイい。。イヤッイヤ イヤ!!!。ぎいたィィイいい。」

「ごめん。ごめん。ヒール。。」「ひぎやぁあああ。。いぎゃぁあ。」

ボコボコと泡立って濁っていた液体が、
徐々に塊に集まって消えていくと、
まともな神経では正視できないほど、
むき出しになった繊維に包まれた人形が、
絶叫を上げながら、カプセルの中でのたうち回っていた。



さっきまでの絶叫が嘘だったのか、それとも、今は息をしていないのか、
傷一つない綺麗な肌をした女が、カプセルに横たわっていた。

その女が目を覚ますと、

「んっ。。。あっ。。あなたは?」

どこか分からない場所で、異性に全裸を晒しているだけで、
何か叫ぶか、すぐに逃げ出しそうだが、
自分を見つめている優しそうな男に向かって、素直に聞いていた。

「僕かい? 僕はマイルズだよ。
ここに捜し物をしに来た冒険者さ。君は誰?」

上手く言えないが、相手に救われた事ぐらいは理解出来ていたので、

「〇です。ん?〇〇?あれ、私。。うん?〇デス。。〇だよ。〇〇だ。」

必死に聞かれたことに答えようとしたが、何故か答えられなかった。

「疲れているんだね。さあ、これを見て。ちゃんと、見てご覧。
さあ、この光を。。ゆっくりでいいから、見つめるんだよ。」

男がみている光景を思い出していると、

「温かい。。。とっても、この光。。知ってる。この光。ああ、これ。」

凄く心地よかったことを思い出し、
全身に幸福感が満たされていくのを感じていた。

「その先へ進みなさい。
そのまま、そのまま、まっすぐ先へ進むんだよ。。。。スリープ。」

「。。。」「テレポート。」

「。。。。コン。。。コン。」

(おかえり、地獄へ。苦しみの世界へようこそ。〇〇。)



何かを忘れていたのか、また同じ場所に漆黒の男は戻っていた。

「あはは、君もだね。君も僕と一緒さ、さあ女神が求める世界へ。
さあ、一緒に歩もう。これからは、命を掛けてね。アハハハハハ。」

さっきとは違い、確実に嬉しそうな顔で笑っていた。

「さあ、次は君だ。アウェイクン。アシッド・クラウド。」



さっきまでの心地いい最高の気分から、

「げぼ。。くっせえなああぁああ。俺様誕生。。げぼげごげぇぇええ。
はあはあ。さあ、オタカラ。。ペタペタ。。エッ。ぷるん。。アハハハ。」

(もしかして。。。アハハハハハ。。よし、誰か。。いない。よーっし。
 侵入成功。オタカラ。。。アハハハ。よし確認。あるゾ。よっしゃー。)

身体を満たしていた液体が、色々な場所から逆流していたが、
身体を触って確認すると、アレがあったので安心していた。

「さあ。。。。。。ガツン。。いたっ。。ふうふう。。。。」

(魔法?魔法は?)
(よおおっし、敵はいないぞ。確認完了。)
(薄暗いから、光の魔法でも唱えたら?)
(危ない、そんな事で敵が来たらどうするんだ。)
(最強なのにィい?)
(最強だから無駄な戦闘はしないし、情けをかけるのは最強の証だ!)
(フゥうん。そうなんだァああ。)

「ゴン。。。ひーっひっひ。。ふぅぅうぅう。」

(あのぉぉ。。本当に大丈夫ぅう?)
(こ。。これは、敵をあぶりだすために、わっ。。わざとだ!)
(あのぉぉお。ほんとう?)
(よし、お。お前に命令だ。俺の。おっ。。おれのだなぁあ。)
(わかった。。フルチンじゃ落ち着かないよね。アハハハ。)
(うるっさいいぃい!)
(あっちいって、こっちいって。。そうして、ぐるっと回って、後ろ。)

「ガツン。。ひーっひっひいい。。こっちだな。。ドン。いってえええ。」

微かな明かりが点灯しているので、
訓練を受けている男なら、周囲も見えるはずだが、
なぜか障害物のある方向へ歩き出し、突起物に身体をぶつけていた。



何かに当たっている男を、見ているのも飽きたので、

(そうそっち、そっちだから。適当に拾って。)(ありがとう。友よ。)

「フウフウ。やっヤツらも。。俺に恐れて。。。ガチャン。。あったァ。」

あの男達には、特に興味など無かったのだろう。
部屋の隅に、男の装備品が乱暴に積まれていた。

「スルスル。カチャン。。カチャカチャ。コレは。。。
ああ、こっちだな。ああ。コレも。よし、これだな。」



「ふうぅうう。。俺様。爆誕。コレで最強だァあああ。。」

(じゃあ、光りをつけてくれない?よく見えないし、危ないよ?)
(あ。。あぶないから、だっだめだ。ぜったいに、だめだぞ。ダメだ。)

薄暗い場所で着替えていたのだから、
最初から見えていたように感じるが、全ての装備品を付けて安心していた。

「おったから。。おたから。。。なーにがあるかなぁぁぁあ。」

(暗くてもいいけど。。。あっ。。。)

「キラキラ。」(この光る。。これでいいか?)
「ザク。ガリガリ。ゴリゴリ。」(この変なやつでも?。。これかなぁ。)
「チャプン。」(この液体もいいの?さすがに、飲める?美味いとか?)
「バリバリ。」(薄いけど、これは紙か?包むとか?)
「ミシ。。ミシミシ。ビシィイ。」(うーん、これ?)
「バチバチ。ビシィイ。」(うーん、見た事ないなぁ。)

目が慣れて来たからか、それとも装備品の中に何かがあったのか、
周りに見えるもので、自分が破壊できそうな物を適当に壊していた。



「ポイ。ビキビキイィ。。アハハハハハ。光らないなぁ。
コッチか。バチン。。ギィイイ。フゥーん。ガリガリ。」

周りに見えるもので壊れそうな物を、破壊?接収?検品?盗んでいると、

「ビィイイイイイイ。。ビィイイイイイ。。〇〇〇〇。
ビィイイイイ。。。〇。。△。。」

けたたましい、何か大きな音が部屋を満たしていた。

「おっ。。。やっとか。俺様の脅威がわかったか。
あははは。だが遅かったなぁあ。アハハハハハ。」

「ビィビィ。。ビィイイイイ。」「お。俺は。。ヒィイ。」
「ビィイイイイイ。。〇〇〇〇。。ビィイイイイ。。。〇。。△。。」

「おらぁあああ。こいよこいったら。。
おれさま、さいきょぉおおおおおおお。
さあ、俺が。こ。こわいかぁあ。こっこ、わいんののおかあ゙あぁあ。」

自分が何をしていても、何も変化しないことに焦りを感じ、
必死に声を出して、不安を抑えようとしていた。

「ビィイイイ。。○○○○○。○○○○。○○○。○○。ビィイイイ。」

「おらぁぁああああ。ごおおいい。さあ、こいよぉおおおお。」

「ビィイイイ。。○○○○○。○○○○。○○○。○○。ビィイイイ。」

(減ってる?そういえば。。規則的に変化している。。のかなァ?)

「そろそろ、死ぬよ?」

マイルズが幸福感に包まれていた時に、
聞こえていた声が、突然語りかけてきた。

「おっ。。」「早くにげな。」
「おお。。神様。」「はやくしろ!」
「おおぉおお。神よぉおお。」「ニゲロよ。」
「ガンガン。神よぉお。」「にげろよぉお。」

「ガサガサ。。どうぞ。。これを。お納めください。」

盗んで袋に入れていたものを取り出し、
相手の声がする方向へ、積み上げていた。

「はぁあ゙あ゙?」

もちろん、神と呼ばれた男が欲しいはずもなく、
不機嫌そうに返事をしていた。

「こんなものなど。じゃあ、何を捧げれば?」「だから逃げろって。」
「神よぉおお。何をお望みですか?」「なんでもいい。ダカラ逃げろ!」

「ガサガサ。さあ、奥ゆかしい神様。」
「お約束は、イ。ラ。ナイ!」

さすがに、お約束が三回というのも付き合っていられないので、
力強く拒否していた。

「では、何を?」「もういいや。メシでいい。メシをおさめろ!」
「なっ。。なあんという慈悲深い神だぁあああ。」
「生き残って、ちゃんとメシだよ。さっさと逃げろって!」
「おぉおお。。これで、俺も神の伝道者。神の使徒。ありがたやぁああ。」
「はぁあぁあああ?まあ、もういいから、さっさと逃げろよ。」



「ビィイイイ。。○○○○○。○○○○。○○○。○○。ビィイイイ。」

もちろん、望みを叶えてもらっていないので、男はまだ逃げていなかった。

「そ。。それで、神よ。。我に祝福。。使徒へのしゅく。。」「ポン。」
「かみぃいいい。」「ボン。。ドドドン。。」
「使徒への祝福を。忘れていませんか?」「ガガガゴン。グラグラ。」
「強大な力トカァア。権力。。あっ。。お金。。女でもぉお。」
「ガゴゴン。ボンボンボン。」「若ければ、なんでもいいからぁあ。」

「ビィイイイ。。○○○○○。○○○○。○○○。○○。ビィイイイ。」

。。。。。

昨日は大変な目にあったマイルズも、
役目を終えたので、素直に馬車に乗って帰っていた。

「ガラ。。。ガラガラ。ガコン。。ガラ。。ガラガラ。」

(監視かぁああ。ハァァアア。俺が出来るのか?あんな、バケモノ。)

昨日は、必死に遺跡から脱出して疲れ果てたマイルズは、
走ることもできずに、ゆっくりと歩いて街に戻ると、
なぜか同僚からお礼を言われたり、娘にまで言われて戸惑っていた。

娘など、顔を涙でグチャグチャにして強く抱きしめて来たので、
少し小ぶりだが、十分に柔らかい胸の感触が嬉しかったが、

「(抱いて。。ハアハア。。マイルズ様。抱いて。お願い、マイルズ様。
ハアハア。お願い、マイルズ様。わたしを食べて。グイ。早くぅう。)」

明らかに夜の行為まで、誘ってくる言葉を囁いてきたので、
神様に会ってから、全てがいい方向に進んでいるようで喜んでいた。

その後は。。。まあ、男ですし。。同僚の娘ってのも抵抗?寝取り?
知り合いのを、好きに出来るって興奮しますよねぇええ。

もちろん、若いですし。疲れマラは、ビクビク反応していますからね。

抱いていいって言われたのを思い出して、部屋を離れに変えてもらったら、
何故か夜中に、オプションサービスが来たんですよ。

もちろん、素直に楽しんじゃいましたぁあああ。

まあ、色々あった内容に関しては。。割愛します。

(はぁあああ、最高だったなぁあ。
 出来れば、もう一泊。もっと。。街に骨を埋める?宿屋をつぐ?
 アイツを、おとぅ。。いや、むり。無理無理。やっぱり、無理だよ。
 ああ、神よ。ありがとう。神の啓示は一生忘れませぇええん。)

「ガタガタ。。ガタガタ。ふぅぅぅ。」

(遺跡は。。ハァァアア。。エリカかぁぁああ。山が壊れたぞ。
 たぶん、あの女がだなぁぁあ。山を崩すって何?
 遺跡も吹っ飛ばす魔法使いって、なによ。ハァアア。)

ギルド最強の魔導士。遺跡を壊すデストロイヤー。
淫乱痴女。露出狂いの変態。

色々と噂も聞いていた。
だが、その事全てが本当で、たぶんそれさえも、
本当は違っていると、何度も思い出していた。

美人。。。まあ。そうだな。
最強。。。アハハハ。笑うしかないなぁあ。
淫乱。。。あれは、いいよなぁぁああ。男の夢?男の天敵?
変態。。。ウフフフ。キャハハハハ。ダヨナァア。

そんな男の前に、またエリカが嬉しそうに手を振って来た。


世界最強の男
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