流れる川

連鎖

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トヨトミ①

店番の災難①

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男は、二人が店にいなくなっても、
代わりに訪れる男達の群れにウンザリとしていた。

「限界だって、もう無理だから。今日は帰ってくれ。
もう入らない。これ以上は入らないんだ!だから終わりだああぁぁぁ!
また。また今度来てくれ。全部完売。完売だあああぁぁぁ。
今日は閉める。店は閉店。閉店だから、帰ってくれぇぇぇぇ。」

(でも、スペシャルまでかよ。
 あんなゴミチケットと、もっとゴミの掛け湯チケットまで完売。
 あれ、知っているのか?客が使わないとゴミだぞ?ゴミのチケット。
 俺も、何か見落としたのか?それとも、忘れているのか?
 たしかに美人でスタイルも良かったが、俺が最高級って煽ったからか?
 やっぱり、俺のおかげか。。。あはははっ、俺ってすげぇぇええええ。
 そうだよ。俺が煽ったからか。あはははっ。あははは。)

店に並んでいた客も多かったが、
連絡した客や常連まで、スグに購入すると連絡が来ていた。

もちろん、客全てに対してぼったくりの10倍。
スペシャルなどのゴミでさえも、同じくぼったくり価格。

もちろん、もっとぼったくる予定で確保したチケットまで、
ぼったくりのぼったくりで完売していた。

(でもなあああ。これなら、それ以上でも。はああああああ。)

買った客が、100倍で転売しているのを見た時には呆れたが、
そのチケットでさえ売れているように見えていた。

(これなら。もっと。そうだ。もっと入れちまえば。。あははは。)

今でも身体を少し動かしただけでお互いが触れそうなのに、
まだ増やせないか考えていた。

(風呂で重なるってバカなのか?
 直接身体が触れるっていうのも、勘弁して欲しいよね。)

(流石に。バレたら。。な。)

こんなゴミチケットを嬉しそうに買える客に嫌われたら、
こんな小さな街のゴミなどスグに消えると、バカな男も知っていた。

(壁を壊せば。。)(バカなのか?雪があるだろ。)
(屋根だ。。)(やってみろよ。上に凍った雪があるぞ。)
(そうだ。床。床だよ。。)(床なら雪は無いね。あはは。)

頭の中は、湯水のようにお金をばらまく客達でいっぱいになっていた。



もう少しで女が来る時間に、何故か来て欲しくない男がやってきた。

「おい、お前。チケットは無いのか?」

いつも通り、適当に聞いてくる声にウンザリと答えた。

「ねえよ。ねえって、何回も言わせ?。。ん。。な。。。。あ。。。
スミマセン。スミマセン。ごめんなさい。申し訳ございません。」

(ああ。。あ。死ぬ。は。。ハハハハ。アハ。絶対に殺される。)

仲間と言えば仲間なのだが、
腰に不思議な黒い塊と、反対側には円い筒を吊るした男が、
不機嫌な顔で睨んできた。

(あれが。。あれで穴だらけにされるのか。。あっちで刻まれるのか。。
 はああああ。何で来るんだよ。店に来るなら、連絡しろよぉぉぉぉ。)

必死に頭を下げて謝っていたが、
相手のキレやすい性格、何をやっても許されてしまう立場、
こんな時間に働く事が無いワガママな心、
そんな相手に断りを入れてしまった自分、
ただ許してもらう事しか出来なかった。

「あ゛っあぁああ゛あ゛!。。。ま゛あ゛あがあ。。ぎいい。
適当にアイツらから貰う。悪かったな。
お前が消えたら女も疑うか。そうだろ?そうだよなあぁぁ。
ハハハハ。今回は女に感謝しろよ。
お前も、女に感謝しておけ。アハハハハハ。」

(感謝?こいつが、感謝だと?)

それでも、返す言葉は。。

「女には感謝しますが、
次は特別席を開けておきますので、是非また御来店下さい。
今回は、すみませんでした。申し訳ございませんでした。」

相手の機嫌が変わらないように、必死に頭を下げていた。

「おう、そーだな。さすがは、お前だ。
楽しみに、今回だけは待ってやるよ。
お前は、約束を守るよな。流石に約束ぐらい守れるよな?」

(約束?。。やくそくだとよ。あはは。)

もちろん、なにも変わらない。返す言葉は。。

「はい、はい、はい。。。。ハイハイハイハイハイハイ。」

(流石に、ここからは殺されないよな。ふうぅぅ。
 流石に無いよな。はあぁぁ。良かった。)

「ハハハハ。いいな。解ったな。約束だからな。ハハハハ。」

(なんで、俺が我慢だと!ふざけんな。何が監視だ。
 いつもの様に事故か、連れ出してアイツらに渡せばいいだろ。)

笑っているのは声だけで、
宿屋で男から聞き出した事と、上役?邪魔者からの命令で、
こんな遅い時間に働いている事にムカついていた。

(いい女って噂だろ?あの気に入らねえ。女神ってやつに良く似た。
 女神にそっくりだってな。そうだ。女神を蹂躙すれば俺が神か、
 あははは。あっははは。俺が神だぞ。アハハハハ。)



もちろんマイルズは、こいつに協力していた。

(おい、一緒に。。。。)
(ひイイ。すっごい。いい女ですって。ぜひ。どーぞ、めがみ。。。)
(モンスターは、どうやっ。。。。)
(まほ。なほおおで。でっ。。。も。にげげった。にげられました。)
(ほ。。)
(ひ。。ひと。。り。ぺぺっと。。。ひひとっり。)

(もう忘れろ。何を言えばいいか、わかっているよなああぁぁぁ)
(大丈夫。大丈夫です。アイツにも言いました。
 数日経ったら、ちゃんと間違いと報告します。)
(ああ。。俺はどっちでもいいがな?お前が敵でも味方でも。。)
(ひいイイ。大丈夫。大丈夫です。
 すぐ。すぐかっかえいい。かえり。。ひっひぃぃぃい。)

(まあ、こんな奴なら。)(バカは簡単だねえ。あははは。)



(まあ、アイツが言ってた女神じゃなくても、
 都会からの女っていうんなら、楽しめそうだしな。
 監視しろと言われているが、身体も監視しないといけねえよな。
 しかたがねえなあ。仕事だからな。何かあってもアイツに、
 チケットは無くても、コレがあれば。あはは。ハハハハ。)

お金が無くても、ムカつけば殺せばいい、飽きたら壊せばいい。
俺が王様で、世界で一番強いと思っていた。

こんな守られている場所で一番?
王様だと思っているだけで、とても幸せで楽しい人生を送っていた。

(あーーーあ、エリカ。お前は悪魔か?俺の命も。。。もう終わるのか?)



(あっ。。もう1時間か。。そろそろ来る?来ないなああぁぁぁ。
 逃げたのか?こないとか?連絡が来ないのも、逃げられたから?)

「ツーーー。。」

子供に命令した。もちろん、仲間にも監視するように命令した。
それでも誰も来ない、連絡も来ないので、嫌な汗が出始めていた。

「おいおい」「まだかあああ」「まさか!」「うそっ!」

「(やべえぇぇ)酒だ酒、皆に酒をサービスしとけ。」
「(酔わせて潰せば。。。)店の奢りです。どーぞ、お好きなだけ。」
「(潰せ。。さっさとだ。)どーぞぉぉぉぉ。沢山飲んでください。」

「酒だああ」「あはははっ」「おうう」「うぐうっぐ」「飲もうぜえぇぇ」
「いいな。」「飲めって。。グイグイ。」「うぐぐ」

今回の売上だけで、数ヶ月分になるので、
店の食料や酒を全て出して、少しでも時間を稼ごうとしていた。

「エリカ。来てくれぇぇえええ。」

ただ必至に、エリカが来る事を女神に祈っていた。



ソレから30分がたち、
酒を大量に飲まされて酔っ払った男たちも、続きのツマミを待っていた。

「ヒック。。フウウ。コロス。」「ああ、殺るか?」「騙したか?」
「。。」「あはははっ殺ろっぜえ。」「いいねえ。やっっろっか。」

(逃げたか?逃げたのか?来ないの?
 エリカちゃん。。ねえ、エリカちゃん。お願い。。)

必死な祈りを哀れに思った女神から、
男の希望を持った使者が近づいてきた。

「ドガガ。どけぇぇえええ。どかどか。どけって。ダダダ。ドドドド。」

女神からの使者は、下賜された宝物を携えて駆け込んできた。

「はあ、はあ、はあ、これチケットな。これでいいんだよな。イイよな。」

女がこないと紙くずになるチケットを、
大事そうに渡してきたので、申し訳なさそうに受け取っていた。

「あ、はい。どーぞ、お入り下さい。入っていいですよ?」

(ん?なぜ。こんなに遅れて?今頃?予定は?
 もう終わり。。。はああああ。こいつらにも。こりゃダメだなあぁぁあ。
 逃げる?こんな夜中に逃げる?お金は有るし、にげるかああああ。)

駆け込んできた客に、良く知る上客がいたのだが、
真っ赤な下着を、大事そうに握り締めているのが気になっていた。

(お楽しみのあとか?別の店で楽しんでから来たのか?
 使い古しみたいだし、そういう趣味?そういう人だっけ?)

その男が奥に行くと、さっきまでの空気が一気に変わっていた。

「うおぉぉぉぉ。スゲえぇぇえ。」「コレかああああああああぁぁぁ。」
「これか?」「違う。これ以上だって。」「うごぉぉおおおお」
「広げてみろって。」「ほら、これだぜ。コレコレ。これ以上。」
「でけえ。。これがあ!」「なっ。。これ以上?だとおおぉぉぉぉ。」

まず女神から下賜されたのは、
左右に金属の金具が付いて使い古された真っ赤な布で、
布には大きな二つの丸い膨らみと、
膨らみの頂点には、小さな膨らみが出来ていた。

その布に顔を近づけると、
何処かで嗅いだような甘い匂いを確かめようとするのか、
布に包まれようと思う気持ちが膨らんで、
思わず顔を押し付けようとする男の群れが出来ていた。

(エエ?)

「でな。下は、これだああああああああぁぁぁ」
「スゲ。ヌルヌル。いい匂いだな。はあああ。ふぅぅ。ハアハア。」
「スケスケだな。こんなヤツ履くのか。ハアハア。ハアハア。」
「よこせ、こっちに見せろよ。」「かせって、かせええぇぇぇぇえ」

もう一つの宝物は、小さく台形な薄い布で、
既に裏になっているのだろう、
もう一つの宝物とは違って、とても動物的な臭いが強烈に男を誘っていた。

近寄るだけで男達の肉棒が反応しているのでわかりやすいが、
本当は宝物に付いている白濁した粘液があったのだが、
沢山の男達に分け与えられたのか、残っていなかった。

それでも、布を舐めよう。直接味わおうとする男の群れが出来ていた。

その持ち込まれた二つの宝物で、男たちの熱が上がっていた。

「これで、エリカ様だろ?安いよなああぁぁぁ。」
「それって、エリカ様?」「ああ、そっくり。そっくりなんだぞ。」
「絶対にムリだと思ったら、まだチケットがあって、良かったああぁぁ。」
「そうだよ。あのエリカ様が、目の前で脱ぐんだぜぇぇぇぇ。」
「すっすううげええええ」「うぉぉぉぉ」「ぐおおおおお」「うっうぅぅ」

(エリカ?エリカ様って?
 なーんか嫌がっていたな。エリカ様はダメ?って言ってたよな。
 そーいえば、エリカ。エリカ様?エリカ。さま?ねぇ?有名なの?)

「でも、見てもいないのに、なぜエリカ様が来るって知っているんだ?」
「ああ、それな。
門番が、エリカ様に似た女に絞り取られたってのは知っているか?」
「酒場で自慢した件だろ?あいつらから、さっき聞いた。
もう自分の幸運は終わったって。最高だったとか言ってたやつな。」

「それって、絶対嘘だと思ってたんだよ。ぜったい嘘だって。」
「そういえば、俺も。
商人が店主にエリカって女が来るって頼んでいたんだ。
どんな女が来るのかと待ってたら、美人かな程度だったよ。
門番に遊ばれたから風呂に行くって言ってたから、暇だし来たけど。
あれと、門番の話が一緒?本当は、搾り取ってたって事か?」

「そうだよ。門番の話を聞いて嘘かと思っていたら、この連絡だろ。
その女も風呂に入るって言ってたし。名前もエリカ。
慌ててチケット買ってから服屋に見に行ったら。。いたよ。
そうだよ。あの女神がいたんだって。全て脱いで全裸でいたんだ。」

「いやー最高だね。エロ。エリカ様だ。
覗かれているのを知っていたのに、隠さずに全て魅せていたぞ。」
「そうそう、身体も喘ぎ声も最高だったぞ。あの身体。あの顔で。
あっ。。そうだ。エリカ様は禁止な、殺される。絶対ダメだからな。
店でも。。。んっ。怒ら。。ブルブルブルブル。ギイィィ。」

無理やり何かを思い出してしまったのか、恐怖の顔で固まっていた。

「おい、どうした。何が。何だよ。おいって。」

「(パチン)。。。。。。ああ、こわ。怖かったダケだ。
何も。ナニモナイゾ。怒られたダケダ。あの顔?優しい?まあいい。
いい女が、脱いで。楽しめるって事だよ。あと、エリカ様は禁止な。」
「ああ、そうなんだな。よっしゃ楽しもうぜ。ははは。」

(エリカ様?エリカ様ねぇぇぇぇ。。。エリカ。。さま?
 あ゛。ああぁぁぁぁぁぁ。。?!。肖像画。建国の女神。
 やべーよ。忘れていた。あれがエリカか?なんで?なんで忘れていた?
 まあ、気づかないのはいい。(前向きだね。あはは。)
 続けるのが重要だ。こないとアイツに殺される。(そうだといいネ。)
 絶対に、次もな。その次も。定期的にで。ずーっとだあぁぁ。)

頭の中は、国中からのお金が。。。
お金をばら撒きに来る大量の人達の群れを妄想していた。

(今から来るのか?ああ、それでこの数か。。それでかああ。
 もし知っていれば、知ってればなああ。。はあぁぁぁ。)


店番の災難①
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