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嘘が分かる少年と嘘がつけない嘘泣き少女
しおりを挟む嘘ってなんだろうな?
俺の名前は町村 田識。そこそこ田舎っぽい町から飛び出し、やや都会の高校に入学する。
前の中学を卒業した後、なんやかんやあって母方の叔父の家に預けられた俺はちょっとだけ特別? ……いや、変な力を持っていた。
それは、嘘が分かるって力だ。って言われても普通は信じられないよな?
それじゃあ、ちょっと見てみるか。例えばあそこで会話してる多分俺の同級生達。
同級生A「昨日のテレビ見た?」
同級生B「なんの?」
同級生A「昨日の8時からのやつ」
同級生B「あぁ、あれね。よくCMで流れてたやつだよな」
同級生A「そう、あれあれ。特に最後のとこなんかめっちゃ面白かったよな」
同級生B「あーすまん、最後の部分は親にチャンネル変えられて見れてないんだ」
同級生A「うわー、それ最悪なやつじゃん。大丈夫か?録画はしたか?」
同級生B「あたりまえだろ、お前とは違うんだよ」
同級生A「なにぃ!こ、この前のはたまたまだ、たまたま!」
同級生B「ほんとかなぁ……」
これが今の会話、一見何気ない会話に聞こえるが。実はこの会話には嘘が含まれている。
同級生Aがついた嘘はわかりやすいよな? おそらく録画のし忘れを同級生Bに誤魔化したんだろう。それじゃあ同級生Bは?
それは、親にチャンネルを変えられて~の所だ。録画したのは嘘じゃないので、ま、最後に寝落ちしたとかそんな感じだろう。確かに寝落ちは恥ずいよな……(田識の勝手な予測と偏見です)
と、通学途中の俺は、誰に対してか分からないが、ちょっとした自己紹介をしていた。
人気のまだ少ない時間帯。まだあまり慣れない道を歩いていた俺は、ふと、耳に聞きなれないような、か細い声に気づく。
「ん?」
チラッと声が聞こえた方へ目線を向けると、自分と同じ学校の制服を着た少女が電柱に向かって座り込んでいるのを見つける。
傍から見て綺麗でサラッとした黒髪ロングの少女は、ぶつぶつと電柱に向かって何かをずっと呟いていた。猫かなんかでもいるのか?
……いや、何もいないな。つまり、あれは独り言か。
俺は視線を元に戻し、変なものを見たなーなんて考えながら通りすぎる。それはなんてことない日常の一コマだった、が。
次の日。
俺は昨日のことなど、さっぱり忘れて登校していた。それよりも、まさか校長の髪がかつらだったとはなぁ~。
なんて、昨日発覚してしまった、俺だけにしか分からない秘密をどうしようかと思いふける。すると、何やらつい最近、というか昨日聞いたか細い声が耳に届く。
「あー」
そこで俺は思い出す。昨日見かけた少女のことを。
そして、チラッと視線を向けると、見つけた。
また、頑張っても俺の耳じゃ聞き取れない声でぶつぶつと何かを話す少女。
昨日は電柱に向かって話していたのに、今日は道端の雑草に向かって話している少女。
俺は話しかけるか、と一瞬頭によぎった考えを捨てる。いやいやいや、俺は何を考えてるんだ。
そのまま通りすぎた俺は、その日。少女のことをやはり忘れていた。
次の日。
「・・・・・・」
俺はある橋の前で立ち止まっていた。
電柱、雑草、の次は橋ですか。なるほど? よくわからん!
こいつは一体何がしたいんだ? いやいや、無視無視。
そう思い、俺は早歩きでその場を後にした。
さすがに印象がでかかったのか、その日、たまに少女のことが頭にチラッとよぎるも、すぐにその思考をかき消した。
次の日。
昨日のことを覚えていた俺は、歩く道を変えた。多少回り道にはなるが、時間も早めに出たのでまぁ、問題は無いだろうと思う。
近くの枝に止まった小鳥を見ながら、陽気に曲がり角を曲がると、なんと道の奥に例の少女が!
うそだろ……!? え、なに、新手のストーカーかなんかなのか? 心臓が急激に早くなるのを感じる。
俺は多少ぎこちないが、なんとか歩き続け。俺の人生至上最高の気合いでポーカーフェイスにする努力をした。
少女が今回座っていたのは電柱……の横にある糞の前!
犬かなんかの糞の前で座っていた!! おかしくね? あいつホントに女子か? 女の子なのか?
内心で叫び続けている俺は、少女の近くを通りすぎようとした瞬間。
「……………………なんで?」
聞こえたぁぁぁぁ!? 今まで一切聞こえなかったのに、なぜ今!
もはや、脳が正常な思考をやめそうになるのを必死にこらえて、わけもわからず俺は歩いた。なんとか校門まで着いたが、その記憶を最後に俺はぶっ倒れた。
後から教えてもらったが、校門で助けてくれた同級生、谷口の証言によると、俺はグッと親指を立てて気を失っていたらしい。
見事な生き様だったと、死んでもいないのに言われた、解せぬ。
その夜、俺は、考えた。あの女に出会わない方法を。作戦を立てて、何度もイメトレをした。
しかし。次の日、次の日、と日にちは進み、その度に俺の作戦は失敗し、毎日あの女と邂逅した。
ある時は、狭い路地で。ある時は、近道の林の中で。ある時は前回もいた橋の下で。またまたある時は、俺の家の前で。
・・・俺の家の前で座り込んでいるこの女を見た瞬間。俺は声にならない叫びを上げた。仕方ない、こうなりゃやけくそだ。
その次の日、俺は案の定そこらへんで座り込んでたあの女を、強引に引っ張って、近くの人気の無い場所へ連れてきた。
こう聞くと、なんだかいけない事のようだが、最早やけくそなので今さら止める気はなかった。
「おい、要件を言え。要件を」
「………?」
「首を傾げてごまかそうとすんな!」
「!」
俺が大声を出すと目の前のこいつは目を大きく見開く。
……こいつ、こんな綺麗な青い目をしていたのか。もったいねぇ。
「…………(じー)」
う、うーむ。見事にただ見つめてくるだけで、何も喋らない。
仕方ない、一向に話が進まないので、ちゃっちゃと聞くことにしよう。
「いいか、よく聞けよ? 俺は一回しか説明しないからな」
「!(こくこく)」
「まずお前は俺を知っているか?」
「…………学生さん?」
「そりゃ、見ればわかるだろ!」
これはもうダメかもしれない。いや、まだわからない、もう少し話してみよう。
「俺の名前は町村 田識、お前の隣のクラス。おーけー?」
「……おーけー」
こいつは……
「ある日、俺の通学途中にお前が座り込んでいた。最初は気にも留めなかったが、俺は毎日毎日お前を見かけた」
「…………」
「正直、俺は気味が悪いと思ったから、通学路を変えた」
「……しゅん」
「言葉にして言うな!」
ほんと、いちいち言う必要あるか?
「……続けるぞ。通学路を変えた俺だが、なぜかお前はことごとく俺の前に現れ、何度も何度も通学路を変えようが現れた。そして遂には俺の家の前で座り込んでいた!」
「……!」
「俺は聞きたい。無論怒りも当然あるが、それ以上になぜこんなことをしているのかを話してくれないか?」
「……信じてくれる?」
「あぁ」
「…………実は」
「実は?」
「私。…………嘘がつけないの」
「……ん?」
はい?
続く……?
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
正直に言うと、暇潰しに書いてみただけです。
続くかどうかはともかく、頭に浮かんだ構想を殴り書きしただけです。
ダンマスのこともあるので、ストーリーはできてますが、キャラが壊滅的に思い描けないので勉強中です。
ライト文芸かもわからない短編ですが、見てくれても見てくれなくてもいいので結局見てください(?)
それでは。あ、一応生きてます。
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