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昇級試練!

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 九十一話  NGワード



 「いい感じに仕上がってきましたわーー!!!」


 氷と砂の防壁の近くで密かにアソコを弄っていたウルゼッタがクリスタルソードを抜く。


 「ではあの悪者を成敗してきます!!」


 ウルゼッタが壁から飛び出して悪魔のもとへ。


 「みーちゃんも!!」


 ヒミコもウルゼッタの後ろに続く。


 「ヒミコちゃん! 大丈夫なの!?」


 私はヒミコに叫ぶ。
 こう言ってはなんだけど、ヒミコがまともに戦えるとは思えない。
 しかしー…。


 「うん! みーちゃん、前のでこれだけコツ掴んだ!」


 そういうとヒミコは氷と砂の防壁に向けて手をかざす。
 すると金色に輝く結界がそれの前に出現。悪魔の放つ電流を倍の大きさにして弾き返す。


 『ーー……!!??』


 これには悪魔も驚いた様子。
 跳ね返された電流を避けるために高く飛翔した。


 「ちょっー…! 卑怯ですわよ!!」


 悪魔の真下からウルゼッタが叫ぶ。


 『ーー…マサカ、ココマデノ強サノ人間モ イルトハ。』


 悪魔はウルゼッタを無視してヒミコを見据える。
 私が下から火炎弾を連射するも、やはり下位魔法ー…悪魔には全く効いていないみたいだ。
 地獄の業火はー…この距離で撃ったら爆風と熱風で氷の壁が溶けかねないので撃てない。


 『コノママ逃スノハ危険。』


 悪魔は防壁を超えた上空から電流を放つ。
 このままではヒミコに直撃コースだ。ヒミコを守るためにはー…。


 「ーー……!!」


 私はツクヨミに言われた言葉を思い出す。


 ーあの悪魔の攻撃は私には効かないー


 ーー…信じるしかない。


 私はヒミコを抱きしめ上から覆いかぶさるようにして電流を背中から受ける。
 耳からは途轍もない轟音。
 ーーただ…。


 「ーー……あれ?」


 そうー…背中に当たってる感覚はあるんだけど、全く痛くない。
 なんて言えばいいんだろうー…土砂降りの雨を背中で受けてる感じに似てるかな。


 「ーー…え、ナタリーちゃん大丈夫なの!?」
 

 ヒミコが驚いた顔で私を見る。


 「うん。なんか平気みたい。」


 ツクヨミが言ってたこと…本当だったんだ。
 でもどうしよう。あの悪魔の攻撃は効かないけど、私の攻撃も悪魔に効かない。
 空を飛んでるからウルゼッタも実行委員も為す術がない。 
 どうすればー……。


 「ーー……!」


 電流を上空から浴びながら考えているとツクヨミと目が合う。


 「ーー…いいけど、私が空飛んだらバレるわよ?」

 「だよねぇ。。」


 対抗策を考えていると悪魔が私たちを見て一言。


 『フン、以前の魔王然リ…コノ世界ノ住人ハ 邪神様ノ足元ニモ及バナイナ。』


 ーー…え、今なんて言った? 邪神様?
 てことはあの悪魔は邪神の仲間?


 「邪神」という言葉を聞いてヒミコの表情が強張る。


 「ナタリーちゃん、今邪神様ってー…。」

 「大丈夫だよ。ヒミコちゃんはなんとしてでも守ってあげるから。」


 私は優しい声でヒミコを落ち着かせる。
 しかし「邪神」という言葉に反応する人がまだいることを忘れてはならない。



 「ーー……。」



 ツクヨミが身体中に瘴気を纏わせながら冷酷な視線を悪魔に向けていた。
 
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