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ヴォラルの姫

43 やっぱり痴女

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四十三話  やっぱり痴女


 ヴォルフの北側にある小さな山。
 そこに山賊たちが住み着いているアジトがあった。
 私は木の幹に隠れながら周囲を見渡す。

 山の途中の岩がむき出しになっているところに大きな横穴。
 明らかに人の手によって掘られたって感じだ。
 そしてその穴の両側には見張り役っぽい男が二人。

 中に入るにはまずその見張りをどうにかしないとなんだけどー……。


「ーー…ウルゼッタ、なにやってんの?」


 私は冷たい視線をウルゼッタに向ける。


「だってー…んっ、仕方ないじゃありませんか……あっ。」


 私の瞳に映るのは胸の先端を弄りながら息を荒げているウルゼッタ。


 ーー…分かるよ? スキル【性の解放】でステータスを高めるためなんだよね?
 でもー……。


「今それ、この状況でよくできるね。」


 私はその声があちらさんに聞こえないかが心配だよ。


「あら、これはこれで興奮しませんか?」

「ーー…は?」


 ーー…なにを言い出してるのこの人は。
 私の呆れなど無視してウルゼッタは続ける。


「だってそうでしょう? こんな解放的な野外でこんな行為。いつ見つかってもおかしくないんですのよ?」

「ーー…うん。」


「興奮しません!?」


 ウルゼッタが鼻息を荒くして私に顔を近づけてくる。


 いつの間にか私のウルゼッタに対するイメージが、自らの誇りを示す為に行動する『孤高のお姫様』って感じになってたけどー…。


 ーー…そうだ、ウルゼッタって痴女だったんだ。



 ◆◇◆◇




「さて、始めましょうか!」


 自信満々にメリッサは隠れていた木の幹から飛び出して見張り役の男たちの前に立つ。


「ーー…え!? ウルゼッタ!?」


 正面突破とかそういう感じ!?

 そんなことを私が思っているのを感じ取ったのだろう。
 ウルゼッタはこちらを軽く振り返った後、ひらひらと手を振った。
 そしてー…。


「ーー…スキル【魅惑】!!」


 ウルゼッタを中心に桃色の風が発生。
 それは一瞬で見張り二人を包み込みーー…。



「あなたたち、私を愛しているのならこの穴の中がどうなっているのか説明しなさい。」



 ウルゼッタのその一声に見張り二人はビクッと反応。
 二人はウルゼッタの目の前で跪き、穴の中のことを事細かに話し出した。



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