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第一章『格闘家編』

NTR魔王VS最強

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 *

 昨昼、アルカが戻るより前の事。
 宿部屋で策を練っているところに、ネロが訪れ戸を叩いた。

「差し入れだよダーリンくん」
「ネロさん? どうもありがとうございます」

 戸を開けて迎え入れる、この時はまだ彼女がこちらに気づいている事を知らなかった。
 土産に持ってきたのは名産の甘い菓子類。
 僕も知る、オーガ種の一部魔族の伝統菓子だ。

「私を倒す策は思いついたかな?」
「まだ全然。頭を使いすぎていたので、差し入れはありがたいです」
「遠慮せず食べてくれよ。特にこのダイフクとオハギというオニ族に伝わる菓子は格別でな、甘いだけでなく疲れも吹っ飛ぶ」

 腕を組み、観察してくるネロ。
 僕がお菓子を食べているところを見ていたいらしい。
 バレているのか、毒でも盛られているのかと不安の中で食べるが、特に何もなくそして美味しい。
 まあ、結局バレていたわけだが。

「ところで良かったのかい? 恋人がいるというのに、部屋に女を連れ込んで」
「理解が良いですから。それに僕がなかなか手を出せない奥手だと、身をもって知っているので」
「あんまり泣かすなよ?」

 関係性を察したのか、ガチめのトーンで指摘される。
 据え膳食わぬは男の恥とは、本当なのだろうか。
 だがその悩みを消すように、彼女は神妙に続ける。

「そういえば、キミも学者だったね。果たしてキミの目には、この世界はどう映る?」
「世界?」
「戦争の後、この大陸を中心に世界は大きく変わった。私もこの地を治める者として振る舞っているが、正直為政者は向いていないからな」

 今思えば魔王相手として尋ねていたのだろうが、僕はまだそれを知らない。
 しかし僕自身には、変わらぬスタンスがある。

「納得はいっていません」
「意外だね、ハニーちゃんといる時のキミは幸せそうに見えたが」
「確かに幸福は感じています。でも、僕が決めた命題はまだ残っているので」
「命題?」
「友達がいるんです。ただその友達は、それこそ世界のシステム的になかなか幸せにはなれなくて。そんな彼らが少しでも幸せになれたらと思って、活動しているんです」

 誤魔化した表現ではあったが、嘘はなかった。
 ただこれは、以前に彼等の力で否定されている。
 僕たちの正体に気づいているなら、彼女はこれも把握していただろう。

「そうか、頑張れよ」

 俯き気味にそう言うと、彼女は部屋を後にした。

 *

 ネロの拳が空を切る。
 衝撃波を加味し深めにしゃがむ。
 読まれて振り上げられる鋼鉄のような細い脚。
 すぐに彼女の軸足を読み、その裏側に転がるように飛び退けた。

「力が落ちているとはいえ、随分小賢しい戦い方をするじゃないか魔王!」
「これも作戦だからね」
「勝とうと思っている者の策には見えないぞッ!」

 からぶった足を地面に叩きつけ、ネロは前に飛ぶ。
 距離を取るためではない。後ろに回った僕に、跳躍時に舞う砂埃で攻撃するためだ。
 普通ならそんなものは攻撃にならないが、規格外の彼女の走り出しは武器になる。

 なんとか察知し腕で守りを固めるが、細かな砂粒が一腕に食い込んでいく。

「痛いなぁっ」

 小さな裂傷は感覚強化のデメリットで痛みを倍増させる。
 耐えながら見る前方、彼女が走り抜けた跡は、半筒状に抉れていた。

「甘いッ!」

 前方で声を放った彼女は、宙を蹴り再びこちらに突っ込んでくる。
 ほぼ突進だが、喰らえば勝ち目はないだろう。
 だが、これはチャンスでもあった。
 左右に避ければいいものを、僕はあえて前に出る。

「なにっ!?」

 後出しの行動に驚嘆するネロ。
 腕を振り空中で進行方向を変えようとする。
 それができる時点で凄いが、幸いなことに狙いの軌道からは逸れていない。
 突っ込んでくる彼女の腕をギリギリで掴み、両足の重心を操作し、斜め下に投げる。

 多少力は使うが、遥かな力量差があってもうまくいき、ネロは地面にぶつかり転がる。

「ぐうっ! なかなかやるじゃない、か……っ?」

 立ち上がる彼女は、自分の中に起きたもう一つの異変に気付いたようだ。
 証拠に目を見開いた彼女は僅かに紅潮し、それを隠すために伏せた落ち着いた顔を作る。

「魔王、一体何をした。キミの使っているのは、吸血種の力じゃないのか」
「その通りだけど。あ、もしかして淫魔が吸血種である事を知らなかったかな。エナジードレインの遅さで気づくと思ったけれど」
「……吸血種全体が、あの程度の能力と把握していたよ」

 催淫、成功。
 触れなければ発動できないのは扱いづらい。
 戦闘前では対策される可能性があったから、戦闘中に発動しなければならず、これに関しては一つの賭けだった。

 後から気づいたネロは自らの油断と戦闘の場にふさわしくない力に、明確な憤りの顔を見せる。

「だけど残念だったな。私は戦闘に身を捧げ未だ|処女(おとめ)、機微な性欲の揺らぎなんかに惑わされは」

 こちらの策を嘲ることに必死になっている。
 僕が変身し、飛翔して尾による攻撃を繰り出しても、直前まで気づかないほどに。

 ギリギリで察知したネロは、咄嗟にバックステップし回避する。
 尾は転がっていた土塊を簡単に切り裂き、砕く。

 だが攻撃の暇を与えた事が衝撃だったのだろう、露骨に苦い表情をする彼女に、意趣返しに語る。

「残念だったね。僕は千年以上自分の欲求に悩まされたムッツリ、一度自覚した性欲がどれだけ思考を阻害するか、痛いほど知っている」
「くっ……待った、千年? あのハニーちゃんとは?」
「ああ、千年据え膳食わずだった」
「それは……本当にどうかと思うぞ?」

 結果的に僕のほうがダメージ受けている。
 実質的な仕切り直しからいち早く我に帰ったのは、ネロのほうだった。

「……はっ、い、いくぞぉっ!」

 飛翔するこちらを相手にどう戦うのかと思えば、ネロは徐に巨大な土塊を空中に投げ、殴り抜く。
 先程の砂埃による攻撃の大規模版。
 拳大の土団子が、無数の砲弾となり迫る。

 糸を通すように土弾の間を縫い、加速をつけてネロに迫る。
 ありったけの勢いで、矢のように放つ蹴撃。
 だがそれすらも、容易く受け止められる。
 そして意趣返しのように、ぶっきらぼうに投げ飛ばされる。

「ふんぬっ!」

 急速に遠のいていくネロ。
 瞬く間に壁に激突し、全身に激痛が走る。

「ん、ぐぅっ!?」

 飛びかける意識を繋ぎ止め、視線を前へ向け続ける。
 眼前には、追撃に迫るネロ。
 振り抜かれるまっすぐな拳に、壁を蹴り咄嗟に回避する。

 催淫の効果か、攻撃自体は単調になっている。
 だが割り切ったのか、威力が上がっている。
 次に大技を喰らえば、僕は確実に意識を失う。

 だからこれが、最後のチャンスだ。
 羽ばたくだけで痛む翼を広げ、天井まで飛翔する。

「またか、ならば!」

 再び砲弾攻撃を仕掛けるネロ。
 だが今度は土ではない、割れた壁面を補強していた、より硬い岩弾だ。

 意識を、完全に殺す。
 視界一杯に広がる岩の弾丸、その一つ一つを観察し、ツバメのように美しく、回避する。
 後方では、岩同士が衝突し、弾ける音。
 細かな岩粒もまた、新たな弾に変化する。
 それすらも避け、最高速でネロに迫る。

「——来いッ!」

 もはやガードする気もなく、こちらを受け止めようと手を大きく広げる彼女。

 これを待っていた。
 僕は蹴りではなく、前を向いて同じく両手を広げ突き出し、視線を合わせ叫ぶ。

「『|魅了(チャーム)ッ!』」

 視界が薄桃色に染まる、効果があった証拠だ。
 稼げる時間は一秒にも満たない。
 だがそれで十分、一気に彼女の体に迫り、抱きつくように体当たりする。

「ぐぅあっ!」

 ネロの口から、初めてまともに悲鳴が聞こえた。
 反撃を恐れターンし、距離をとる。

 体当たりの衝撃は、天井まで砂埃が上がるほど。
 だが砂埃が晴れるにつれ、浮かび上がるのは二本の足で立つシルエット。

「今のは良かったな……鳩尾に、グッと来た」

 傷は、負っていない。
 多少汚れているのと、僅かに汗が浮かんでいるだけ。

「この一撃でもダメか」
「でも、不意打ちは予測できなかった。なるほど、あの術でオーガの襲撃から時間稼ぎをしていたのか……だがこれならどうかな」

 ネロは何気なく足に巻いていたバンダナを取り、目を目を隠して縛る。

「その能力は、視界が合うことが発動条件らしい」
「目を隠して戦える、か」
「当然、肌を伝う感覚さえあれば、敵の位置なんて読み取れる」
「……そっか」

 簡素に返し、三度翼を羽ばたかす。
 今度は対空攻撃もなく、加速させて行く。
 半円を描き、後ろから回り込むようにしながら、身を捻って尾を加速させていく。

 果たして、どのように感じているのだろうか。
 ネロの頭の中に、この情報はどう映っているか。

 先程の余裕と裏腹に、ネロは迷うように戦闘体勢を崩し、自ら隠した視界を頼るように頭を動かしていた。

「何なんだ、これは——っ!?」
「最大まで上がった感度で見る気配はどうかな?」

 恐らく彼女の頭の中には、感度強化で高められた気配により、僕が無数に感じるだろう。
 先程の突進で、仕掛けさせてもらった。

 当惑に、ネロの全身が隙だらけになる。
 そこに尻尾を振り抜いて行く——瞬間、声がする。

「アークス様っ!」

 アルカの声。
 僕の不在に気づき、魔力の残滓でも辿って来たのだろう。

 それを合図にするように止まる。
 位置は、今まさに目隠しを外し、カウンターを仕掛けようと拳を構えるネロの眼前。
 彼女は自らの攻撃に驚くように、声を上げる。

「な……ッ!?」

 振り抜かれた拳が、僕の胴体を完璧に捉える。
 全身に響く激痛。そこから時間をおかず、視界はブラックアウトした。

 *

 目が覚めたのは、宿のベッドの上。
 開いた視界に入ったのはアルカと、協力者というオニ族の美女だった。

「アークス様っ!」
「驚きましたぞ、まさか魔王様が気絶した状態であのネロにここまで運んでこられた時は」
「なに一人で行って、ボロボロになってるんですかぁっ!」
「巻き込みたくなくて」
「もお、もおおおおおおおおぉぉぉぉっっ!」

 アルカは牛のように安堵の声を上げ、僕のことを弱々しく殴ってくる。
 まだ体は痛むが、傷は塞がっているようだ。
 何気なく、頭部に手を伸ばしてみる。
 耳の少し上から伸びる、左右対称の二本角。
 そのどちらもが、折られてはいなかった。

「良かった。作戦成功だ」
「作戦って、私の言った作戦ですか?」
「うん。角が揃っているのがその証拠だよ」
「わたくしには全身ボロボロにも見えますが」
「負けたと思わせるには、これくらいやられないといけなかったからね」
「ぬぅ……よくわかりませぬが、とりあえずもう少し治癒させてもらいまする」

 浮かない顔をしながら、手をかざしてくる美女。
 どうやら回復はアルカだけではなく、彼女も手伝ってくれていたようだ。

 アルカも涙を浮かべつつ、一生懸命手をかざす。
 肉体に残っていた痛みも徐々に引いて行くなか、アルカに問いかける。

「今はいつ頃?」
「正午過ぎくらいです、けど」
「そうか。じゃあ悪いんだけど、この国の人口推移とそれに付属する資料をいくつか、闘技場の上の建物内にある役所で取ってきてほしい」
「どうして」
「一応、手札として」
「……わかりました。ジャマルさん、あとは頼みます」
「は、はいっ!」

 涙を拭ったアルカは、顔を隠すようにしながら部屋を後にする。
 残された僕はジャマルと呼ばれた美女の治療を受けながら、確認する。

「君は僕とネロの不在の時に、ここにいてくれたの?」
「は、はい。留守番として」
「戻ってきた時のこと、覚えてる?」
「えっと、智将が、魔王様を抱えたネロと入ってきて、ベッドに寝かせて。すぐネロは部屋を出て行きました」
「その時のネロの様子、覚えてる?」

 尋ねると、ジャマルはへし折れそうなほど首を捻り、絞り出すように答えた。

「今の智将のような、悲しげな。どちらかというと不甲斐なさを押し殺すような?」
「そうか、良かった」
「な、何が良かったのです?」

 ジャマルを完全においてきぼりにし、僕は安堵する。
 あとは、対話だけだ。
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