貴方から逃げます

まる

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兄妹2

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「離して!!」

 力一杯押し返してるのに、お兄様の腕から抜け出る事が出来ない。それどころか、どんどん力が強くなる。

「必要以上に近付かないようにしていたのに…」
「っ!?」

 少し抱き締める力が緩んだあと、むりやり顔を上向きにされ、口づけされた。

「んっー!!」

 押さえつけるようにされ、逃げることが出来ない。

「っっ!?」

 私の唇を割って、舌が入ってきた。
 男女の色事を知らない訳じゃないし、お友達からも口づけは唇を重ねるだけではないと聞いていたけれど、この状況を受け入れられない。

 自分の口内に、他人の舌が入ってくる違和感。
 絡めるようにして私の舌を追いかけてくる。それから逃げる為に舌を動かすと、よけいに深くなっていく。

「…ん……」

 苦しい、
 そう思った時、唇が離れた。

「ハァハァ……」

 早く逃げないと。
 お兄様がいつもと違う。
 兄妹だからと、気軽に部屋に入れてしまった私は馬鹿だった。

 逃げると言っても、抱えられて床に足がつかなければ動くことも出来ない。

 お兄様は私をベッドに下ろして、覆い被さってきた。


 ここへきて兄が何をしようとしているのか、わからないほど私も馬鹿じゃない。

 何とか抜け出ようと足をばたつかせたり、体をひねってみるけるど、きつく両手を捕まれベッドに押し付けられれば、どうしたって逃げられない。

「お兄様!こんな事、許されません!」
「本当の兄妹ならな。」

 そういって、夜衣の帯を無理やりとかれた。

 襟と裾が大きく開き、冷たい空気と共に、お兄様の手が這って来る。

「止めてっ」



 大声が聞こえれば誰かきてくれるよね。
 兄妹のこんな状況を見られるのは困るけど、背に腹は代えられない。

「人払いしてある」
「……この家で誰もこんな事望んでいません」
「残念だが、跡継ぎが出来るなら、見て見ぬふりをする。ここは、そういう家だ」

 跡継ぎ……
 そんなの絶対に駄目。

「お兄様はお母様が好きだったのでしょう!私を代わりにしないで」
「……」
「今の私が、お母様に似ているから、こんな事をするのでしょう?」

 お母様とお父様が生きていたら、お兄様は絶対にこんな事はしない。

「興が削がれた」

 覆いかぶさっていたお兄様は、冷たい顔をして私の部屋を出て行った。


「……っ」

 明日の朝、この家から出ていこう。


 涙で月が滲む中、私は大切なものを風呂敷に包んだ。
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