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シザク王の死

反逆者の処分

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 眩しい陽の光でルウクは目覚めた。とは言っても夜中遅くに部屋に戻り、亡くなったシザク王の事やセレンの事が気になってなかなか寝付くことが出来なかったので、目覚めはすこぶる悪かった。

「……起きなきゃ」

 ゴソゴソと起き上がり、布団をはいで顔を洗いに行く。冷たい水で顔を洗うと、少しだけシャキッとしたような気がした。

 本当はすぐにでもセレンの顔を見に行きたいと思ったが、あえていつも通りに身支度を整えて食堂で朝食を済ませた。主どころではなく国の一大事だからこそ、下に仕えているものは冷静にならなければならないと思ったからだ。

 食堂を出たところでハイドと出会った。

「おはよう。少しは休めたか?」
「おはようございます、ハイドさん。……はい、何とか……」

 ルウクを気遣うハイドも、少し疲れた表情をしている。ハイドだけでは無い。今日は食堂に居る面々も、どこか落ち着きがなく不安な様子が見て取れた。

 だが、それも致し方ないことに違いない。代替わりしたばかりの国王が暗殺されたのだから。

「今日は、セレン様らは朝からコンサイト侯爵らの処罰について話し合いをされるそうだ」
「コンサイト侯爵、ですか?」
「ああ、ルウクはまだ聞いていないのか。……もしかしたら、コンサイト侯爵のことも知らないか?」
「はい」

 ハイドは、簡潔にコンサイト侯爵とセレンやシザク王との関係をルウクに教える。シザク王のはとこの舅が首謀者と知り、ルウクはひどく驚いた。

「そんな……。身内ともいえる方じゃないですか!」
「ああ。権力欲とは恐ろしいものだな」

「……酷いです。せっかく、せっかくセレン様とシザク王が、打ち解けていきそうな雰囲気になっていたのに……。犯人が身内の方だったなんて……っ」

 セレンに仕えている者たちは、みな同じことを考えているはずだ。ハイドも沈んだ表情で、「そうだな」とポツリと呟いた。

 二人はそのままシガの部屋を訪れた。三人でセレンの事を案じながら、シザク王の葬儀の事も話題に上る。

 シガが言うには、ほんの数か月前にシエイ王の国葬を済ませたこともあって、ほぼ、それに沿った国葬になるだろうという話だった。だがシエイ王と違いシザク王は在任期間がほんのわずかだった事から、パレードはせずに、諸外国からの参列の受け入れや王宮広場前での献花だけになるだろうとの事だった。


 コンサイト侯爵の処分を話し合ってから二日が経過したが、まだ決定には至っていない。それというのも初めてともいえる身内の反逆における処分とあって、それぞれの見解が分かれ、処罰の方法や程度などで揉めているのだ。

「コンサイト侯爵とアレフ男爵の処刑には賛成ですが、公開処刑のような形は賛成いたしかねますな。民衆の不安や恐怖を煽ることになるのではないですか?」

「だが、見せしめとしては必要でしょう。殺されたのは外ならぬ国王なのですよ。反逆は大罪だ。……シザク王はこれからのお人だった。本当なら斬首なんて生ぬるい……! もっと苦しませて、屈辱を与える刑にして欲しいくらいです!」

 冷静に意見を述べるミッドランコム伯爵に対し、フリッツが怒りに震えて抗議する。その隣で、カルロス伯爵の友人であるナハエル伯爵が口を開く。

「カルロス……、カルロス伯爵は気の良い男です。確かに彼の父親は権力欲や名性欲に駆られていましたが、息子は別人格です。……サイハン島に幽閉とはあまりにも厳しいのではないでしょうか。……あそこは劣悪な環境です。あんなところに幽閉するのは、マラリアに感染しろとでも言っているようなものです」

 それぞれがそれぞれの立場から意見を述べる状態が続いているため、現時点で決まったのはコンサイト侯爵とアレフ男爵の死刑執行くらいだ。だが、いつまでもこのままズルズルと会議を長引かせるわけにはいかない。議長を務めているナイキ侯爵が、パンパンと手を叩いて皆を注目させた。

「各々方のそれぞれのお考えはよく分かりました。コンサイト侯爵とアレフ男爵の公開処刑には私も賛成の立場です。彼らのシザク王暗殺の動機があまりにも身勝手で、酌量の余地は無いと存じます。……マラダンガム公爵はいかがお考えですかな?」
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